SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2023年8月11日

#862 サイモニ ヴニランギ 『新しいチャレンジ』

大きくて優しいフィジーからの新人ヴニランギ選手。グラウンドに入るとスイッチが切り替わると言う、その人となりとラグビーについて聞きました。(取材日:2023年7月下旬)

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◆新しい文化、新しいラグビー

――日本に来たのは大学からですが、どういったきっかけだったんですか?

新しいチャレンジとして日本に来ました。日本に来ることで良いチャンスがあると思っていたので、日本に行きたいと思っていましたし、新しい文化、新しいラグビーのスタイルでやってみたいと思いました。だから日本でチャレンジしてみたかったんです。

フィジーから大東文化大学に行っていた選手を何人か知っていたので、心配せず安心して日本に来ることが出来ました。またそういった選手と競争して、成長していきたいと思って日本に来ました。

――実際に日本に来てみて、イメージしていた通りでしたか?

結構、違いました(笑)。ラグビーについては、日本に来た方が学ぶスピードなどが遅くなるのかなと思っていたんですが、ニュージーランドやフィジーにいた時よりもいろいろなことを学びましたし、成長のスピードは日本に来て速くなった気がします。

――日本の何が良い影響をもたらしたのでしょうか?

練習量だと思います。日本の大学では、毎日二部練をする文化があると思いますが、ニュージーランドでは週3回くらいしか練習をしていませんでした。練習量がぜんぜん違いました。

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◆最後までやり切る

――日本の大学でプレーしている時に、日本のトップでもプレーしようと考えたんですか?

最初はそういうことは考えてしませんでしたが、大学1年が終わることからリーグワン(当時はトップリーグ)を見始めて、「ここでラグビーをやりたい」という気持ちになり、そこからは目標として取り組んでいました。

――リーグワンでプレーしたいと思った理由は?

フィジーやニュージーランドと比べても、日本のリーグは高いレベルでやっていると感じましたし、外国人選手もたくさんいて、そういう選手たちとも一緒にプレーしてみたいと思ったので、日本でやってみたいと思いました。

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――リーグワンでもプレー出来ると思う自分の強みは何ですか?

アタックが好きなので、ボールキャリーや強くコンタクトすること、コンタクトエリアが自分の強みだと思います。

――実際に東京サンゴリアスに入ってみて、どう感じていますか?

サンゴリアスの選手はみんなが速くて強くて、練習量も多いので、自分の練習をしつつ、周りから劣らないように、ずっと練習をしていかなければいけないと思っています。

――練習量が多いことに関しては?

大変ですけれど(笑)、最後までやり切ることが重要だと思っています。ニュージーランドの時もフィジーの時も大学の時も、長くて辛い練習でも、最後までやり切ることが自分の成長に繋がると思っていました。ラグビーにおいては辛いことがたくさんあるので、そこで最後までやることがいちばん重要だと思います。疲れていて、もう無理だと思っても、それでも続けることが大事だと思います。

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◆穏やかな性格

――子どもの頃には獣医に憧れていたそうですが、なぜですか?

家族の中に医者や看護士はいるんですが、獣医はいなかったので、それでなりたいと思っていました。

――もともと優しさを持っているんですね

そうだと思います。

――それでもラグビーの激しさには抵抗なくすぐプレー出来ましたか?

もともと穏やかな性格だと思いますし、最初は出来ませんでしたが、そこはラグビーで学んだところで、好きな部分でもあります。グラウンドにいて相手からやられたら、やり返さなければいけないので、激しくやるしかないですよね。ボールキャリーでも激しくやるしかないと思っています。

――2人の祖母から影響を受けたそうですね

両親が忙しかったので、2人の祖母ではなく祖母と祖母の姉の2人に育てられました。他の兄弟は母親が育てましたが、私だけ生まれて3ヶ月から祖母と伯祖母に育てられたんです。祖母のことも伯祖母のことも、「お母さん」と呼びます。

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――自分にとってどんな"お母さん"ですか?

常に落ち着いていて優しくて、「正しいことをして生きていくべき」と言われて育てられました。その通りに育ってきたと思っています。

――ラグビーをやることについては何か言っていましたか?

9歳からラグビーをやっていて、その時から応援してくれていますし、フィジーでやっていた時はずっと応援に来てくれていました。「学校の宿題をちゃんとやっていれば、ラグビーをやっていいよ」と応援してくれていました。

――日本に行くことは悲しんでいませんでしたか?

祖母を置いて日本に行くことを悩みましたが、「自分の人生を楽しまなければいけない」と言ってくれて、日本に行くことを決めました。

――日本で試合に出ることになったら呼びますか?

残念ながら数ヶ月前に亡くなってしまいました。フィジーに帰った時には、祖母のお姉さんのところに行っています。だから試合に出ることになったら、祖母のお姉さんを呼びたいですね。

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◆優勝カップを掲げたい

――東京サンゴリアスやリーグワンのラグビーをどう感じていますか?

チームの練習の流れも分かってきましたし、ついて行けるようになってきているので、チャンスはあると思います。

――現在の課題は何ですか?

ひとつはフィットネスです。ポジションがロックだけじゃなく、フランカーやナンバーエイトでもプレーするので、ラインアウトの動きやひとつひとつの動きをすべて覚えなければいけません。それが今の課題だと思います。

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――次のシーズンの目標は?

多くの試合に出られるように頑張ることと、チームの勝利に貢献して優勝カップを掲げたいと思っています。

――試合に出る自信のほどは?

開幕までに一生懸命取り組めばチャンスはあると思っています。

(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:樋野ジェシー興太郎)
[写真:長尾亜紀]

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