SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2023年6月 2日

#850 齋藤 直人 『規律』

堀越選手と共にキャプテンを務めた齋藤選手。今シーズンの結果と来シーズンに向けてのチームの課題、そして個人として目指すラグビーについて聞きました。(取材日:2023年5月下旬)

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◆ぜんぜん満足していない

――長いシーズンが終わりしましたが、結果に対して今どのように考えていますか?

ぜんぜん満足していないです。求めていた結果とはほど遠かったので。

――満足しない結果とは?

シンプルに、優勝出来なかったことです。

――その優勝出来なかった要因は何だったと思いますか?

ひとつは、ざっくり言うと"規律"です。ラグビー中もラグビー中以外でも、そこが大事だと思います。

――そこがなかなか出来ていなかった感じですか?

そうですね。試合で流れを持っていかれるようなシーンが多く、試合中の"規律"というところがとても気になりました。そこからいろいろと考えると、それは結局、例えばふだんのクラブハウスの使い方などを含めて、ざっくり言えば"規律"というところでぜんぶ繋がっていているのではないのかなと思いました。

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――試合中の"規律"というのは、具体的にはどんなことですか?

難しいですが、試合中みんな熱くなったりします。シーズンの終盤にもその様な話は出ていましたし、実際にひとつの反則に対してはしっかりと全員で対処して、確実にそこについてのペナルティも減らせた時期もありました。ただそれだけではなくて、結局、それらもトレーニングの積み重ねで出来るようになったと思うので、そういう意味では他の反則も含めて、トレーニング中に自分たちで危機感を持ってやれていなかったのかなと思います。

――それはキャプテンとして責任を感じるところですか?

そうですね。リーダーとしてそこには責任があると思います。ただ、毎週コーチとミーティングをする中で、それらをどうやったら減らせるかということを考えてやってきたんですが、やはり来シーズンに向けてのひとつの大きな課題なんじゃないかなと思います。

最後の試合も後半に限らずですが、反則を重ねてしまうところもありました。基本的には体が大きくて、外国人選手も多い相手なので、そういう相手に対して反則をしてしまうとラインアウトモールやスクラム、ペナルティキックなど、自分たちにとって不利な状況を生み出してしまうので、そこは本当に大事になると思います。

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◆違った視点で見る

――先週堀越選手にインタビューをしたんですが、齋藤キャプテンについて「今までは優しい口調で話をしていたのが、厳しく怒ったりとか、意思表示が多くなった」という話がありました。自分ではどうですか?

そうなんですかね。でもやはりチームに対して喋る機会が増えましたし、そう言ってもらえるのはとても嬉しいです。やはりちょっと変わったのかなと思います。

――それは自分で意識していたんですか?

それはもちろん。

――2人キャプテン制はどうでしたか?

1人でやったことがないので、比べることは出来ませんが、僕は堀越さんに頼ってしまうことも多かったと思います。お互いポジションも違って、多分見えるところも違って、選手としてのタイプも違って、違った視点で見ることが出来たと思います。
シーズン初めの頃は堀越さんが怪我していましたが、少しずつ復帰してゲームメンバーじゃない方の練習に入っていた時に感じたことを話してくれたりして、やはりそういう違った視点の話は、本当に貴重な情報でした。

――キャプテンとしての来年の課題は"規律"の部分をよりちゃんとやっていくということですか?

そこがとても大事だと思います。あとは今シーズン、いろいろなアタックの形を試したと思いますが、それについての共通認識は、まだまだ強化出来ると思います。

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◆ゲームをつくる

――1選手としてはどうでしたか?自分の期待通り、成長できましたか?

いや、間違いなく成長はしたと思いますが、まだまだやれると思っています。

――どの辺が今年成長し、どの辺がまだまだですか?

スタートから試合に出してもらうことが多かったので、ゲームをつくるというところは成長したかなと思います。特にキックの使い方は、とても成長したと思っています。逆に今後の課題としては、ゲームをつくる中でも自分の強みを出さないといけないと思っています。自分の強みはスピードや嗅覚だと思っているので、今シーズンは少し考えすぎてしまって、その強みが出せない時期が多かったかなと思います。

――課題にしていたハイパントキックはかなり成長しましたか?

そうですね、実戦で蹴る機会が多かったので、そこは自分的にはとても成長したかなと思います。キック全般ですね、ロングもそうですし、裏に転がすのもそうですし、あとはプレスキックとかも昨年よりかなり蹴ったので、そういう意味ではキック全般を試合で経験できたのが、大きかったかなと思います。

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――走る選手をサポートして行ってトライ、というシーンが今年は少なかった気がしますがどうですか?

いや、それは自分でも思っていました。たまたまかどうかはわかりませんが、確かにチームも自分自身も、昨年よりは少なくなっています。ただ自分としてはサポートには毎回行っていますし、サポートがなくてボールをもらえなくてトライが出来なかったというよりは、サポートには顔を出しているけれど結果として外側にボールが渡っていたりとか、トライに繋がらなくてもボールをもらってチャンスをつくるシーンはあったと思うので、そこのサポートについては問題にはしていないです。実際にサポートはしていたと思っています。あとはディフェンスの部分も、伸びたかなと自分では思っています。

――どの辺ですか?

単純にタックルです。タックルは、シーズン中もトレーニングもしていたので。

――トレーニングというのは技術的なトレーニングですか?

それもそうですし、体の大きさも意図的に大きくしたので、フィジカルで弾かれてしまうことは昨年より少なかったかなと思います。

――大きな選手にも負けないという感じですね

まぁ、いけていたかなと思います。

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――あとは、考え過ぎないことですか?

考え過ぎないというか、ゲームコントロールをしながら、どうやって自分の強みを出していくかというところだと思います。

――どんどん強みを出していくだけではゲームコントロールは難しいんですね?

難しいですね。テンポを上げるところは、後半だったらスコアにも差が出ていたり、相手が疲れているかどうかもわかった上で入るので、結構入る前から「こうする!」って決めて出来ます。相手が疲れていたり、点差がビハインドの状況であれば基本的には点数を取りにいかなければいけないので、そうなるとメインはアタックになって、どんどんテンポを上げてアタックをしていけるんですが、前半0−0の状況から始まって、相手も元気で、まだどこにスペースがあるか、相手がどのようなデイフェンスをしてくるかがわからない状態で入るので、それは試合中に感じ取って、ただ単純にテンポを上げれば良いとか、キックをすれば良いというわけではありません。前半考えながらやる、その中でも自分の強みを出すという場面もあるんですが、そこを見極めるというか、数少ないチャンスで自分でランニングしたりなど、そういうシーンが少なかったなと思います。

――それが上手な選手っていますか?

アーロン・スミス(オールブラックス114キャップ)とか、そういうところが素晴らしい選手だと思います。

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◆必ず勝って一緒に喜びたい

――このあと、日本代表活動に入っていきますが、楽しみですか?

楽しみです!

――どんな楽しみが待っていますか?

ワールドカップイヤーということもありますが、自分があのユニフォームを着て試合をすると考えるだけで楽しいです。

――毎年代表に向けての自信は高まっているんですか?

はい。もちろん、自信はあります。なければダメだと思うので自信はあります。そして「今は楽しみ!」というのがいちばんあります。毎試合、テストマッチが終わる度に、「またこの舞台で試合したいな」と思います。それがあるから「また何回もあそこに戻りたいな」と思います。

――ワールドカップでの目標を聞かせてください

個人的にはやはり9番を着て試合に出て、チームの目標でもありますが、ベスト4。そこに牽引できるプレーをしたいです。

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――最後に今シーズンのファンの皆さんの応援に対して、メッセージをお願いします

本当に応援ありがとうございました。浮き沈みのあるシーズンだったなと思いますが、勝っても負けても毎回試合会場に足を運んでくださるファンの皆さんのおかげで、18試合の長いシーズンを乗り切ることが出来ました。試合会場でもそうですし、フレンズデーも経て、本当に改めてこれだけの多くの方に支えてもらっているということを実感したので、来シーズンはファンの方々のためにも、必ず勝って一緒に喜びたいですし、また違った形で来年のフレンズデーを迎えたいなと、強く思いました。

(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]

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