2023年4月21日
#845 テビタ タタフ 『やり切りたい』
着実に成長を続けるタタフ選手。インタビューはすべて日本語で行われ、日本語の成長も証明しました。(取材日:2023年4月中旬)
◆動きやすい
――体がだいぶ絞れているのでは?
いま体重は122kgです。ベスト体重は125kgなので、少し体重は落ちていますが、動きやすいです。
――体重が落ちてもパワー面は心配ないですか?
パワーは少し落ちるかもしれませんが、動きやすいので良い状態です。
――120kgの内の2〜3kgで動きは変わるんですか?
感じ方が違います。125kgの動きと123kgの動きは、ぜんぜん違います。動きやすいです。
――バランスの良い状態を見つけた感じですか?
そうですね、昨年のジャパンの時は体重をキープするために、トレーナさんといろいろやっていました。いまサントリーでもそれをやっています。体重が増えないよう、食事を減らすのではなく、運動量を増やしています。
――練習が終わった後にやっているんですか?
練習後に10〜20分ほど、エアロバイクを漕いだりしています。
◆良い状態
――今シーズンの自分の出来はどうですか?
試合80分間出場をするという目標を立てていますが、2試合ほど65分ありました。他は80分出場出来ているので、良い状態です。
――今シーズン良い状態なのはなぜですか?
自分の最後のシーズンなので、たくさん試合に出たい、結果を残したいという気持ちを持って臨んでいます。サントリーでチャンピオンになりたいです。
――サントリーに来て5年目、優勝はまだですよね?
そうですね、5年間で1回も優勝出来ていないです。いつも2番で、正直2番は飽きました(笑)。
――テビタ選手はラグビーをやってきた中で優勝の経験はありますか?
高校生の時、オール東京の大会で優勝した経験があります。優勝は良いですね。あの時を思い出すと、毎日フィットネスでした。練習後に1kmをだいたい皆5分ほどで走るんですが、その練習が印象に残っています。 僕はあまり速くなかったですけれど(笑)。試合でも疲れなくなります。
――今でもその練習は取り入れたりしているんですか?
はい、練習後にフィットネストレーニングやリピートコンタクトを今やっています。
◆まだ足りない
――今年のサントリーは1番になれそうですか?
はい、優勝出来ます。どの選手もみんな同じ目標に向かっています。昨年と今年はプレースタイルがぜんぜん違いますが、いけるかなと思います。
――自分自身の調子はどうですか?
うーん、まだ何か足りない感じがします。イエローカードをもらったときは、プレッシャーをかけに行きましたが、キッカーを越えたかなと思ったけれど最後にキッカーに当たってしまって、レイトチャージで、ぜんぜんキッカーを越えていませんでした。
――そこは自分のスキルの問題なのでしょうか?
コントロールを出来るところもあったけれど、最後にコントロール出来ませんでした。下の方にチャージに行っていたので、ぜんぜんキッカーが見えませんでした。そこはタイミングをもう少し合わせることが出来たかなと思います。今後は危ないと思ったらチャージには行きません。
――最後にトライで貢献しましたね
どうしても横浜キヤノンイーグルスには負けたくなかった。最後にトライを取ったけれど、フォワードのトライです。皆で押したから取れたトライで、最後のちょっとだけ僕がボールを持って行っただけです。
――何故どうしても横浜には負けたくなかったんですか?
相手にもトンガ人がいますし、結構仲が良いんですけれど、試合前のメッセージのやり取りでは、「俺が勝つぞ」みたいなやりとりがあって楽しみでした。勝った時は、イジって「もうちょっと頑張れ」って言ってあげました(笑)。
◆真っ直ぐ行く
――次戦も開幕戦で負けている相手ですが、やはり今回は勝ちたい?
開幕戦の時、クボタスピアーズは強かったです。今週再戦でチャンスがあるので、開幕戦とは違うプレーをやっていきたいです。
――自分自身の課題は?
ボールキャリーの時に体をいつもより低く行くことや、ディフェンダーに当たった瞬間のリアクションで、少しでも前に行くようにパワーで押して行きたいです。ずらすこともしますが、2人目が来る時にもう少し前に力をかけたいです。それには体のパワーが必要です。
良いシェイプだったらトライ出来るけれど、体がちょっと横に向いたりしていると、なかなか出来ません。ウォーミングアップとか練習でも、2人がいるところへぶつかって行って中に走るんですが、真っ直ぐ行くことを心がけて2人のバランスをちょっとでも崩して押すとか、当たられても真っ直ぐの態勢を維持して行こうしています。時々当たって真っ直ぐではなく違う方向へ行ってしまうこともあるので、難しいです。
――この間は相手のトンガ人選手へも真っ直ぐ当たって行って押した訳ですね
そうですね、はい(笑)。
◆チャレンジしてみたい
――今回、シーズン終了後のフランス行きを決めたのは?
ずっと日本でラグビーをしてきましたが、海外でチャレンジしてみたいと思いました。そしてまた日本に帰ってきてプレーしたいです。
――フランスのラグビーはどういうイメージですか?
フィジカルプレーでラグビーをしていると思います。フランスに行ってチャレンジすることで、どれだけ自分のフィジカルが通用するかを試したいです。そしてもしまだ足りなければ、レベルアップしないといけないと思っています。
――どんな選手になりたいですか?
8番で安定してやり続ける選手を目指したいです。8番は「繋がる」ということが大事なところだと思います。
――周りとコミュニケーションを取る機会が増えているように見えますが
はい、アタックの前などに周りの選手と確認を取っています。僕自身が相手にマークされているので、周りとコミュニケーションを取って対応して行きたいと思っています。
――今年のワールドカップに向けては?
ワクワクしています。大活躍できるよう頑張ります。もうちょっとフィジカルのところを強化していきたいと思っています。今のリーグワンは出来るけれど、ジャパンとして海外の選手と戦うとなると今のままの僕ではレベルが低いと思います。
――そのためにはどんなトレーニングをしているんですか?
先ほど話したフィジカルトレーニングのほかに、ウエイトトレーニングも取り入れています。
◆強い人になりたい
――いまラグビーをやっていていちばん楽しいことはなんですか?
自分の足りないところを見つけて、また頑張ろうと思えるところが楽しいです。
――強い人になりたいですか?
そうですね、強い人になりたいです。リーグワンでは強いかもしれないですが、ワールドカップで戦うためにもっと強くなりたいです。
――ラグビーやり続けて最終的に何を達成したいですか?
やり切りたいです。ボールを持ったらトライをまで行くとか、タックルだったらタックルしてボールをターンオーバーするとか。
――残り3試合、ファンに見て欲しいプレーは?
フィジカルのところで、ボールを持った時に前に行くところです。とことん前に行ってトライまで持って行きたいです。ボールを持ったらトライまで行きたい。あとは、タックルの場面も注目して欲しいです。これまでタックルは少ないですが、あと3試合はタックルも意識していきます。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]