SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2023年2月17日

#836 河瀬 諒介 『強みを伸ばす』

公式戦初出場6分後のファーストタッチでトライを挙げ、その後3戦目まで3試合連続トライを挙げた河瀬選手。華やかにデビューしたニューフェイスはいま何を思い、どんなラグビーを目指しているのでしょうか?(取材日:2023年2月中旬)

◆出たらトライを狙いに行く

――デビュー戦、出場してすぐのトライでしたが、最初からトライを狙っていたんですか?

試合前にキヨさん(田中監督)から「トライ」と言われていたので、出場出来たらトライを狙いに行こうと思っていました。なかなか出場することが出来ず、残り10分くらいのところでやっと出ることが出来て、短い時間ですがトライが出来れば最高ですし、とりあえずボールタッチの数を増やしたいと思って、ボールがあるところへ走って行ったら、結果的にトライ出来ました。

――ファーストタッチでトライですよね?嬉しかったですか?

そうですね、最初一瞬トライかどうかわからなくて、先輩たちが寄ってきてくれたので、「これ、トライだったんだな」って分かって、とても嬉しかったです。

――その日は祝杯でしたか?

チームメイトと好きなビールを飲みました。

――その後の2戦目は先発出場でトライ、3戦目は途中出場でトライ、この2試合はどうでした?

2戦目では、セイヤさん(尾﨑晟也)のトライ・アシストが出来たというところでも、コミュニケーションが取れていましたし良かったと思いますけれど、なかなかボール・キャリーした時に前へ出られなかったり、ディフェンスでも1回抜かれたりしたので、そういうところはまだまだ練習が必要だなと思いました。

3戦目も、本当に何も意識はしていなくて、ただもう自分が出たらトライを狙いに行くということだけを考えていました。狙っていたことが出来た結果が、3試合連続トライに繋がったと思います。

2、3戦目でもボールタッチの数を増やしたいと思っていましたが、ボールを持たないとトライが出来ないですし、ボールを持つことでランニングという自分の強みが生かされるので、そこのところは常に意識しています。

――4戦目は残念ながらノートライで、連続試合トライが止まってしまいました

まぁいつかは止まるだろうなとは思っていたのですが、自分としては本当に意識せずに毎試合挑んでいたので、あまり気にはしていません。

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◆もっと前に出ないといけない

――現時点での課題はありますか?

フィジカルのところ、あとはディフェンスのところなど、まだまだスタメンで出るには足りないところがあるので、これらをもっと鍛えて行きたいなと思っています。

――フィジカル面の課題は?

ボール・キャリーのところで特に感じますが、ボールを持ってキャリーした時に止められたら前に出られないことがあります。二歩でも三歩でも前に出たくても出られなくて、ラックでスローダウンさせられてしまうというところがあるので、そこはもっと前に出ないといけないと思っています。

ラグビーはパスを後ろにしか投げられないので、ボールを持って走っている時にどれだけ前に出て行かれるかが重要です。ボールを持っても前に出られないとなると、チームとしてもしんどくなってくると思うので、もうちょっとボール・キャリーの仕方やランニングコースを考えて、前に出られるようにやっていかなければいけないなと思っています。

――パワーがつけばもっと前に出られるという感覚ですか?

はい、そういう感覚はあります。ただシーズン中ですので、体重を変えると怪我をしてしまう可能性もあるので、そこについては徐々にと考えています。ただチームトレーニングに加えて、練習後のパンプなどのトレーニングは継続してやっています。

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――食事面でも対応を?

はい、いっぱい食べています。ただ食べるのに時間がかかります。

――先日たまたま新聞に日本人の1日の食事時間は全国平均で96分と出ていました

そんなに時間をかけていません。あまり意識はしていませんが、自分はよく噛んで食べていると思いますけれど、僕が遅いのではなくて、周りが速いのかもしれません(笑)。

――いちばん好きなものは?

オムライス。オムライスだったら結構いっぱい食べられます。卵が好きで、親子丼をよく作ったりします。卵料理が好きですし、オムライスはケチャップライスと卵の相性が良くて好きです。

――飲み物は?

今シーズンに入ってから、水をしっかり飲んでいます。体の栄養のめぐりや攣(つ)り予防という面からも、普段の生活からしっかり水分は摂るようにしています。

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◆スピードで相手を抜いて行く

――自分の得意なランの中に課題があるということですか?

そうですね、ランニングは強みなので「誰にも負けない」という強みにして行かないと、レギュラーになるということが難しくなってくると思うので、先ず「強みを伸ばす」というところは意識しています。

――ラグビーの自由なところが好きな河瀬選手にとって、ラグビーでいちばん自由な部分がランだと思いますがいかがでしょう?

ディフェンスだったら組織的にディフェンスしないといけませんし、アタックでもチームとして決まっていることがありますが、例えばライン参加する時にボールを持ってからどういう動きをするのかなど、選手1人1人が考えて出来るところもあるので、ランニングではそういう自由度が高いのかなと思います。

――その自由度が高いランニングでの自分の強みは?

スピードがあるので、スペースがある場合や1対1になったところで、スピードで相手を抜いて行くというところだと思います。

――ただ速いだけでは抜けないですよね?

はい、ボールのもらい方や、ディフェンスの体の向きを見つつ、ステップを使いながらランニングしています。

――体の向きの見方は逆に自分がディフェンスをする時に役立ちますか?

ディフェンスする時は、相手のランニングコースを絞るというところを意識しています。ウイングなのでタッチラインに近いところでディフェンスすることが多いのですが、タッチラインを上手く使いながら、内側の選手とコミュニケーションを取ってディフェンスしています。

――そのプレーも得意なところですか?

ディフェンスは課題の部分です。相手のランニングコースを絞るというところで、相手との間合いや、自分が相手に詰めて行く場所が結構難しいです。内に切られて抜かれてしまったり、そのまま外をバーッと走られて追いつかなかったり、とても難しくて、それはセイヤさんと1対1の練習をしながら教えてもらっています。

――晟也選手は上手いのですね?

セイヤさんはメチャメチャ上手いですね。相手と詰めるタイミングや場所が上手いのですが、ボールが浮いている間に詰めて、相手にステップを切らせて最後に仕留めるというところが、とっても上手いです。

――一緒に練習してどのくらいまで身につきましたか?

まだぜんぜん身についていないんですけれど、週1回、練習後に15〜20分ぐらい一緒に練習させてもらって、毎回レビューをもらいながら、試行錯誤しながらやっています。

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◆ハイボールキャッチを絶対に落とさない

――もう一つの強み、ハイボールキャッチはまだあまり見せていませんね

まだリザーブで出ていることが多いですし、あまり蹴られて来ていないので、チャレンジしたいなと思っていますが、なかなかそういう場面がありません。

――ハイボールキャッチには勇気が必要だと思いますがいかがでしょう?

恐怖については最近はほとんどありません。ジャンプして空中にいる間に当たられるということに慣れるよう練習したので、それに対する恐怖は今ほとんどないです。

大学時代に練習後の個人練習で、タックルバッグみたいなものを背負ってハイボールを蹴ってもらい、そこに跳んでぶつかりに行くという練習をかなりやりました。大学1年生の時にはハイボールキャッチが全く出来なかったので、練習後に毎日やっていました。

――出来ないことを「やってやろう」と思って練習するタイプですか?

そんなこともないです(笑)。大学の時は本当にランニングだけでは通用しないなと思い、強みをもう一つ増やしたいという気持ちで、ハイボールキャッチを練習していました。フルバック出ることが多かったですし、ハイボールキャッチを絶対に落とさない選手になろうと思って練習しました。

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◆もっと具体的にコミュニケーションを取る

――サンゴリアスに入って。ラン、ハイボールキャッチに加えて何か更に強みにしたいと思っていることはありますか?

いろいろ伸ばして行かなければいけないところはありますが、いちばん自分がいま早く身につけたいと思っているのは、運動量です。ウイングで出ることが多いですけれど、逆サイドのライン参加など、そういうところの運動量を増やして行きたいなと思っています。

――誰かお手本はいるんですか?

はい、セイヤさんです。オフ・ザ・ボールの場面、ライン参加した場面での的確な位置と、周りの選手とのコミュニケーションがお手本になります。

――お手本と比べてまだまだだと思っているところはありますか?

ライン参加するところがちょっと違っていたり、コミュニケーションでも、自分ももっと具体的にコミュニケーションを取ることが出来るんじゃないかなというところです。

――コミュニケーションは現場ではもちろんのこと日常的なコミュニケーションですか?

日常的なコミュニケーションもそうですし、ライン参加する時には場面場面によっていろいろな状況があると思いますが、その状況に合わせたライン参加が、もうちょっと自分も出来るかなぁとか感じています。

――それを短い言葉で伝えるということですか?

そうですね、短く端的にわかりやすく伝えることが重要だと思います。どこにライン参加するのか、どういうふうに入って行くのか、それを先ず伝えて、後はパスを出してくれる選手に、自分が浅めなのか深めなのか、先に欲しいのかギリギリに欲しいのか、そして一歩外の選手にも自分がどう入るのかということも、コミュニケーションを取りながら連携を取ってやっています。

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◆速くて柔らかさもあって強いプレー

――これから自分が目指す姿は?

マツさん(松島選手)みたいに、速くて柔らかさもあって強いプレーが出来るというところを目指して行きたいと思っています。

――いま一緒にプレー出来ていますよね

高校生の時から憧れていた選手と一緒にラグビー出来ていることがとても嬉しいですし、毎日が勉強になっています。

――松島選手からいちばん学んでいるところはどこですか?

ランニング、ディフェンス、後はブレイクダウンでラックに入るところのスピードや低さがマツさんはとても速くて上手いので、そういうところも学んで行きたいなと思っています。

――先ほど運動量という課題が出ましたが、松島選手は相当動いているということですよね?

はい、動いていると思います。

――目指す選手と一緒のチームにいることが出来てどんな気持ちですか?

試合の時はそうでもありませんが、普段はとても緊張します。マツさんも多分シャイな方なので、たまに喋ったりはするんですけれど、僕が一方的に緊張しているんだと思います(笑)。

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――今シーズンの目標は?

シーズン前に立てた目標は、「半分の試合に出る」ということでしたが、この先、怪我もなくパフォーマンスをどんどん上げて行ければ、半分出場は達成出来るのではないかと思っています。ですので、この先の試合は決勝までぜんぶメンバーに入ることが出来るように、そして先発で1試合でも多く出られるように、しっかり頑張って行きたいと思っています。

――出た試合ではほぼ1試合に1つトライを取っていますが、1つでなくても良いですよね?

本当は2個、3個取りたいんですけれど、なかなかチャンスが回ってこないので、そこは焦らずというか、先ずは1個1個、目の前のことをしっかりやって行こうと思っています。

――ウイングだと本当にボールが回って来ないことがあると思いますが、そういう時はどういう気持ちでプレーしているんですか?

なかなかボールが回ってこないなぁと思いながら、あえて逆サイドに走ってボールをもらいに行ったり、ラック周辺のハーフとコミュニケーションを取ってハーフから直接ボールをもらいに行くとか、そういうところは意識しています。

――ファンにここを見ていて欲しいというところは?

やっぱり強みはランなので、ボールを持ってのランニングは見ていて欲しいです。

(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]

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