2022年12月30日
#829 森谷 圭介 『もっとボールを動かせるようになる』
開幕2戦目に10番を背負った森谷選手。ゲームリーダーとして、どんなラグビーを思い描いているのでしょうか。(取材日:2022年12月下旬)
◆自分のパフォーマンスを意識してやった方が良い
――開幕第2戦、10番での先発、どうでしたか?
開幕戦負けて、もう1回チームとしてやろうとしていることをやろう、と目指していたので、ミスが多かったですけれど、良かったかなと思います。10番というのはそれほど意識はしなかったですけれど、もちろんコントロールしないといけない部分もありました。プレシーズンでも2試合、10番でプレーしていたので、自分としてはそれほど違和感なくできました。
――出来の良かったところと、課題になったところはどこですか?
個人的にもそうですが、チームにミスが多かったので、そこをコントロールする部分ですね。今年やってきているシステムを遂行すること、やろうとしていることを出すことはできたので、あとはその精度だったり、そこへの持っていき方を上手くできるようにすれば良いかなと思います。
――自分が感じるチームからの信頼感はどうですか?
バイスキャプテンに選んでもらって、去年よりは信頼してもらえているかなというのはありますけれど、やっぱりシーズンの試合でパフォーマンスを出していかないといけません。いま個人的にパフォーマンスが良くないので、そこはもう1回信頼してもらわないといけないなという感じです。
――個人としてパフォーマンスが良くない要因は?
自分自身考え過ぎると良くないところがありますが、プレシーズンは良い意味で考え過ぎずに出来ていたなというのはあります。けれどもジャパンメンバーが入って、キャプテンが帰ってきて、いろんな擦り合わせをしないといけない状況で、考える時間は増えたと思います。試合の週と試合では、自分のパフォーマンスを意識してやった方が良いと思っています。
――そう自覚しつつもやっぱり全体的なことを意識せざるを得ないという状態ですか?
なんか意識しちゃっているな、というのはあります。
――それを解消していくには?
そうですね、どれが正解かわからないですけど、ただ試合前にやらないといけないこともあるし、やるべきこともあるし、両方できたら一番良いですけれど、少なくとも試合中は、もっと個人に集中してやりたいなと思っています。
◆もう1個
――自分の良さをもっと出したときのイメージは?
去年は本当に自分だけを考えてやっていました。どういうタイミングでボールもらったら良いかとか、そういうことばかりを考えていましたけれど、今は周りを使ったりとか、システムを遂行するために何をするべきかの方が、自分の頭の中でのプライオリティーが高くなっています。そのシステムの遂行などを考えずに出来るようになると、もっと自分らしくプレー出来るのかなと思います。
――試合を重ねないとシステムを考えずに遂行するのは難しくないですか?
そうですね、あんまり考慮しなくても同じ絵を見られるようになってきたプレシーズンだったので、プレシーズンやっていたメンバーとはあうんの呼吸じゃないですけれど、こっち来てくれるよね、みたいなものはあリました。でもいまは合流したばかりの選手とやることが多いので、もう1個、声を出さないといけないとか、もう1個、自分の意思表示をしないと考えているプレーにならない、ということを感じますね。
――そうすると次の試合では、そこをもっとやっていくということですか?
そうですね。でもチームとしてやることはみんな分かっているので、それが無意識に全員から出るように、ということです。プレシーズンに長い時間かけてやってきたものが試合に出ていたので、試合をやるごとに良くなっていくんじゃないかなと思っています。そのために、やっぱりあうんの呼吸だけじゃダメだと思うので、もっと声を出したり、コミュニケーションを取ることを意識してやっていきたいです。
――声を出すタイミングというのはたくさんあるんですか?
そうですね、プレー中のコミュニケーションが足りないなという感じがします。
――セットアップする前じゃなくて、動いている中での?
そうですね。セットアップしている時は話せるので余裕があるんですが、プレー中に聞いたり話したりするのは、まだ足りないなと思います。それを練習からやっていこうと思います。
――サントリーのメンバーをコントロールするというのは、上手くきればとても面白いんじゃないですか?
そうですね。でもコントロールするのは難しいので、やっぱり一人一人が考えて行動するのがいちばん早いと思います。そのためにシステムがあって、今年やるラグビーとしてみんなにアナウンスされているので、その中での小さいところの擦り合わせを、もっとやっていきたいなと思います。
◆とても新鮮
――アグレッシブ・アタッキング・ラグビーは実は守りも重要ですよね?
そうですね。リスクはあるので...。どうですかね、守りはあまり考えていなかったです。今年は、1本取られたら、2本取れよという感じの雰囲気があります。もちろんディフェンスが良くないと優勝もできないし、良いチームにならないと思いますけれど、それを超えて、もっとアタックにこだわってやろうという感じです。
――じゃぁまずそこをやってみて、ディフェンスは後からついてくる感じでしょうか?
そうですね。N E C戦もまだちゃんとぜんぶの分析とか出ていませんが、前半とてもミスが多くて、取れるところを取りきれていない試合だったと思います。ただ、攻撃している時間は圧倒的に多くて、ミスしてもずっと攻撃する意思があるから、相手に攻撃させる時間を無くして自分たちの時間が多かったと思います。ずっとアタックするというラグビーは、今までやったことがありません。パナソニックもそういうスタイルじゃないですから、アタックをずっとして、相手にボールを持たせないでというのは、とても新鮮な感じでした。
――相手が1番嫌なパターンですけれど、アタックを続けるというは大変ではありませんか?
まぁ大変ですけれど、相手も大変だろうなと思いながらやっています。もちろんこっちのミスも多かったんですけれど、相手のペナルティも前半多かったので、アタックでプレッシャーをかけることが出来ているんじゃないのかなというのはありました。
――そうすると、そういうラグビーをやっていて、いちばん面白いところはどこですか?
アタックしていてスペースが空いて、そこにボールが運ばれている時とか、チームとして動いている時は楽しいですね。
――そこの楽しさを得るために目指していることはありますか?
自分だけでコントロールできる部分ではないので、それこそやることを全員で共有して、その同じスペースをみんなで見られるようにコントロールして、ということを10番になったらやらなきゃいけないなというのと、12番でも同じような仕事ですけれど、そこですかね。今年はやっぱり個人の力でというよりは、チームとしてアタックしようという方向なので、そこはやっぱり個人でやろうとすると、あまり上手く行かないかなと思います。
◆点がたくさん入る試合
――年が明けて今季3試合目に目指しているものはありますか?
1、2試合目はパフォーマンスがあまり良くなかったので、まず試合に出られるようにしっかりアピールしたいということと、方向性は明確になってきていて、もともと明確だったものが更にジャパンメンバーが帰ってきても、全員同じ絵を見るという雰囲気にチーム全体がなってきたので、それがどんどん良くなっていけば良いなと思います。
――3試合目以降、ファンにここを期待してほしいというところは?
最初に言った精度の部分はもっと良くなるし、もっとボールを動かせるようになると思うので、やっぱりアタックがたくさん見ることが出来て、そして楽しいラグビーにきっとなると思います。そこをもちろん見てもらいたいですし、点がたくさん入る試合をしたいです。
(インタビュー&構成:針谷和昌)
[写真:長尾亜紀]