SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2022年12月 2日

#825 ハリー ホッキングス 『架け橋ならなければいけない』

サンゴリアスに加わって3シーズン。成長著しい長身のオージーは、どんな目標を持ち何を目指しているのでしょうか。(取材日:2022年11月中旬)

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◆コミュニケーションが取れるようになっていく

――日本語の勉強は楽しいですか?

(日本語で)楽しいです。

――どんなところが楽しいですか?

成長していて、選手1人ずつとコミュニケーションが取れるようになっていくので、やりがいを感じています。

――だいぶ話せるようになりましたか?

リスニングは良くなっていると思います。話す方は、少しずつ小さいコミュニケーションは取れるようになってきたという感じです。少しは話せますが、緊張しちゃいます(笑)。

――昨シーズンを振り返って、ラグビーの手応えは?

決勝までは、とても順調だったと思います。試合によって良いところであったり、改善しなければいけないところであったりしましたが、全体的に見ると決勝までは良かったと思います。

個人として良かったところとしては、まださらに良く出来ると思いますが、セットピースは良かったと思いますし、ラインアウトも良かったと思います。ただ、クリーンアウトやタックルなど、細かいところは改善しなければいけないと思います。そういうところで、もっと力を発揮しなければいけなかったと思います。

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――具体的な課題は?

いまアオさん(青木アシスタントコーチ)と一緒にやっていますが、ボールキャリーのところで、ダイナミックに強いキャリーが出来るように取り組んでいます。あと今はチームとして、モールを意識して取り組んでいます。

――モールでは中心的な役割になりますね

そうですね。真ん中にいる時もありますし、リフターになって後ろにつくこともあるので、全部の役割を良くしていかなければいけないと思っています。

――高さは以前から目立っていましたが、昨シーズンはそれに加え前に出ることが目立っていたと思います

常にそこは意識して、成長しようと思っています。まだまだ伸びる部分があると思っています。

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◆練習してきたことを継続していくことが大事

――以前話を聞いた時にはチームが良くなることを意識して取り組んでいる印象でしたが、チームが良くなるために、個人が良くなることを目指していますか?

そうですね。チームのために個人のパフォーマンスが大事になると思っています。

――チームは2シーズン連続して決勝で敗れましたが、それについてはどうでしょう?

敵陣22mに入ってからの精度、トライを取り切る力が劣っていたと思います。あと昨シーズンは、モールが弱みでした。世界的に見ると、強いチームはモールが強くて、モールからトライを取り切ることが出来る。モールが強くなると、バックスのスペースも活きるようになります。まずは敵陣22mに入ってからトライが取れるよう、改善していかなければいけないと思っています。

――敵陣22mに入ってからのホッキングス選手の役割は何ですか?

セットピースから始まる時には、まずはそのセットピースでボールを取ること。スクラムでもラインアウトでもボールをキープすることです。そこからアタックする時に、ボールキャリーであれば、強いキャリーで前に出ること、クリーンアウトだったら早くボールを出せるようにして、良い展開が出来るような仕事をすることです。

自分の役割やシェイプを理解して、それを遂行することが大事で、練習していることをそのまま試合で出来ればトライに繋がると思っていますし、誰かしらトライが取れるチャンスが生まれると思っています。

――順調に成長しているように見えますが、これまでも練習でやったことが試合でも発揮できているんじゃないですか?

やはり練習でやっていることを試合でやらなければいけないと思うので、そこは意識して取り組んでいます。逆に相手はそれをやらせないようにしてくるので、相手がどんなことをやってきても、練習してきたことを継続していくことが大事だと思います。

―いま取り組んでいることを試合でも出せれば、次は決勝でも勝てそうですか?

そうですね。みんながそれを信じでやっていると思います。いまやっていることを積み上げていけば、絶対に優勝に繋がると思っています。ただ簡単に優勝できるわけではありません。シーズンが長く、更に一生懸命取り組まなければいけない場面もあると思いますし、難しい試合もあると思いますが、取り組んでいることを継続的にやって積み上げていけば、優勝は出来ると思っています。

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◆最終ゴールはチームで優勝すること

――東京サンゴリアスに入ってから、まだ優勝はないと思いますが、自分のキャリアの中での優勝はありますか?

高校の時に一度優勝したことがあって、あとはクイーンズランド州の州代表で2度勝ったことがあります。あとはオーストラリアのクラブチームの大会でも優勝したことがあります。

――やはり優勝は良いものですか?

そうですね。一番気持ちが良いですね。個人のパフォーマンスよりも、チームが優勝することの方が大事ですね。常に自分のパフォーマンスを発揮することは大事ですが、最終ゴールはチームで優勝することです。

―最初の日本語の話でもありましたが、ラグビーでもやはり出来るようになることが面白い?

上手くなっていくほど楽しくなっていくと思います。そうなるともっと勝てるようになると思いますし、良いサイクルになって、試合に勝って自信がついて、更に成長できるというように繋がっていきます。

――理想とする姿と比較して、どの辺まで成長できていると思いますか?

まだまだ成長しなければいけない部分がたくさんあると思うので、例えば理想を100とするならば、50くらいですかね。

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――新しいシーズンでは、どんなことが出来るということを示したいですか?

僕がやっていることはそんなに目立つプレーではないので、難しい質問ですね。怪我をせずにグラウンドに立つことも目標ですし、優勝することがいちばんですね。

――人よりも背が高いですが、他の人が見えている世界とは違う世界が見えていると感じることはありますか?

他の人がどう見えているかが分からないので、比較が難しいですね(笑)。考えたことが無かったので、これから考えてみます。

――日本でラグビーが出来ていることは幸せですか?

そうですね。すごく幸せです。サンゴリアスも素晴らしいクラブですし、選手としてとても伸びしろを感じています。このクラブの文化も、選手もスタッフも全員良い人たちですし、リーグワンも毎年レベルが上がっているので、とても良いですね。

――オーストラリアと比べるとどうですか?

JP(ジョン・プライヤー)がいたり、スポットコーチでオーストラリアでコーチをしている人がサンゴリアスに来たり、スタンダードが高い人たちがたくさんいて、彼らもサンゴリアスのスタンダードは高いと言っています。オーストラリアでも同じスタンダードでやっていると言っていたので、チーム内で良い環境が出来ていると思います。

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◆成長のスピードは驚くことではないと

――日本代表も成長していると思いますが、日本代表の試合を見ていてどう感じていますか?

日本代表対オールブラックス(ニュージーランド代表)の試合を見に行きました。オールブラックスも良いチームでしたが、日本代表も良い試合をしていたので、全体的に日本のラグビーは成長していると思います。

――日本ラグビーの成長スピードはどうですか?

決して驚きはしていません。日本人選手と一緒にラグビーをしていて、全員の努力やプロフェッショナルのマインドセットが素晴らしいですし、良い選手もたくさんいるので、成長のスピードは全然驚くことではないと思います。

――ラグビーというスポーツが日本人に合っているのでしょうか

速くて強い選手もいるので、合っていると思います。ポジションによっては向き不向きはあるかもしれませんが、全体的には合っていると思います。

――日本代表は視野に入れていますか?

見ているととても良いチームだと思うので、いずれは。ただ、今はサンゴリアスのことだけを考えています。このまま何年間か日本でプレーできていれば、そういうチャンスも生まれるかもしれません。そのチャンスがあれば絶対に掴みたいと思いますし、そのための努力はしたいと思っています。

あと2年は日本でプレーしなければ資格は得られないので、このままいけば、2025年のシーズンから日本代表の資格を得られると思います。

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――日本で3シーズン目となりますが、ラグビー以外で日本の好きなところはどこですか?

本当に良い仲間がたくさんいて、そこにいられることだと思います。日本に住んでいることも面白くて興味深いことがたくさんあります。オーストラリアとは文化が違って、色々と新しい経験が出来て楽しいです。常に新しい刺激があることは楽しいことですね。

――性格としては新しいことをどんどん受け入れるタイプですか?

そうですね。日本に来る選手でオープンじゃないと、とても苦労すると思います。日本の文化や言語などを気にしない、興味がないという人にとっては大変かもしれません。他の国のチームに加わることで重要なことは、新しいことをどんどん受け入れることだと思います。

――ポジティブな性格なんですね。話していると優しい性格と感じますが、グラウンドに入ると変わりますか?

変わらないといけないと思います。試合の前と後では相手チームにも友だちがいるかもしれませんが、試合中には友だちはいません。やはり試合には勝ちたいので、自然とスイッチが入ります。

――ラグビーの特徴である身体をぶつけ合うということは好きですか?

ラグビーをするのであれば、身体をぶつけることも好きじゃないと出来ないと思います。相手の選手よりも強くぶつけることとか、それが出来ればチームのためにもなります。

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◆全員が同じ絵を見られるように

――今シーズンはバイスキャプテンを務めていますが、それについてはどうですか?

個人的にはフォワードのところ、特にラインアウトをリードしなければいけないと思っています。あと選手とコーチの間に立ち、架け橋ならなければいけないと思っています。今シーズンのリーダーシップグループの唯一の外国人なので、他の外国人選手としっかりと話し合って意見をまとめて、全員が同じ絵を見られるようになっているかを確認していくことが役割だと思っています。

――そういった役割は得意ですか?

バイスキャプテンの話が来た時は少し驚きましたが、今は一生懸命やっています。他の選手がその働きぶりをどう思っているかは分かりませんが、自分としては一生懸命やるだけだと思っています。

――今シーズンはキャプテンが2人、バイスキャプテンが2人という体制ですが、それについてはどう思いますか?

とても良いと思います。ホリ(堀越)と直人(齋藤)は日本代表に参加していて、まだチームには合流していませんが、彼らがチームに同流したら更に良くなると思いますし、彼らの日本代表での経験がチームにも活かされると思います。彼ら2人は、とても良いリーダーになると思っています。

――外国人選手をまとめるのは、ホッキングス選手にかかっていますね

それだけではありませんが、それもひとつの役割ですね。最初の仕事は、自分のパフォーマンスを上げていくことですが、そして周りの外国人選手をサポートしたり、全体的なリーダーとしてやっていきたいと思っています。楽しみです。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:樋野ジェシー興太郎/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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