2022年5月27日
#798 ダミアン マッケンジー 『仕掛ける』
コロナ禍のためリモートインタビューですが、画面越しに聴く声が素晴らしいダミアン・マッケンジー選手。そんな魅力的な声で、ファイナルラグビーを語ってもらいました。(取材日:2022年5月中旬)
◆上手く順応してプレーすることが重要
――リーグ戦が終了、得点王おめでとうございます
(日本語で)ありがとうございます。
――得点王を獲得して自分なりのプレーが出来たということでしょうか?
チームメイトもとても良いプレーをしてくれていて、チームとしてトライを量産できている部分もありますし、その中でゴールキックを決めることが出来たので、得点王に繋がったと思います。これからプレーオフが始まり、重要なシーズンの最終フェーズに入っていくので、そこでしっかりとしたパフォーマンスを出していきたいと思います。
――日本に来る前にボーデン・バレット選手に話を聞いていたと思いますが、実際に日本でプレーしてみてイメージ通りでしたか?
チームについての情報やプレースタイルなど、ボーディ―(ボーデン・バレット)が言っていた部分と大きな違いはありませんでした。それに対して、自分自身が上手く順応してプレーすることが重要だったと振り返っています。本当に素晴らしいチームなので、その一員としてプレー出来ることを光栄に感じています。
――来日会見では「学んだことをニュージーランドに持ち帰りたい」と言っていましたが、持ち帰るものは得られましたか?
どちらかと言うと個人的な部分で、「アップテンポなゲームをフィットネスで上回って勝つ」という勝ち方は学ぶ部分が多く、そういったことを持ち帰って、ニュージーランドのチームでも貢献できるんじゃないかなと思っています。フィジカリティ―の部分はそもそもニュージーランドは高いので、スピードやアップテンポな部分が得られたと思います。
◆ボールをもらえるように動く
――試合をしていても、スピードやフィットネスが落ちず、メンタルも含めてパワフルで瞬発力がありながら、それらの持続力がありますね
他の選手よりも小柄であることを認識しているので、他の選手を上回る部分はスピード、フィットネスの部分だと思っています。そこは負けないように努力をしていますし、フィジカリティ―も出せる部分は出して、チームに貢献したいという気持ちでプレーしています。
――プレーの欲望が尽きないような印象を受けます
そこは意識をして取り組んでいる部分で、ボールを持っていない時の仕事、オフ・ザ・ボールでのワークレートは意識して取り組んでいます。いかにボールが回ってこない時にボールをもらえるように動くか、そこはフィットネスにも関連してくる部分だと思うので、意識しています。
――シーズン中でもフィットネスのトレーニングを行っているんですか?
フィットネスについては練習でもかなりランニングの負荷があるので、そこで十分に養われていると思います。
――良い声ですね。試合中の指示もよく通るんじゃないですか?
言語でのコミュニケーションになるので、いかにベストなコミュニケーションが取れるかという部分を考えながらやらなければいけません。自分がどこでどういうボールが欲しいのかとか、いつボールが欲しいのかとか、具体的なコミュニケーションを取らなければいけません。チームには英語が出来る選手が結構いるので、通じる部分はありますが、通じなかったという経験もあります。
◆リラックスして蹴る
――キックの前に微笑むことがトレードマークになっていますが、今は意識せずに自然とルーティーンになっているんですか?
何年もやっているルーティーンですし、あまりゴールキックのことを考えすぎず、リラックスして蹴れるように、このルーティーンをやり始めて、いまは自然に出来るようになっています。
――やり始めたきっかけは?
チーフスでプレーしていた時にいたメンタルスキルコーチから提案を受けて、やり始めたルーティーンになります。リラックスして、キックのこと、結果のことを考えすぎずに、上手く結果がついてくるルーティーンなので続けてやっています。
――現状、課題はありますか?
自分が本当に満足して、これ以上身につける必要がないという部分は、ラグビーではどこにもないので、パスやタックル、ハイボールスキル、あとはいかにフィジカリティ―を試合の中で出していくかという部分も含めて、全てにおいてまだまだ改善できる部分はあると常に努力をしています。
――プレーすることの欲望が強く、試合が80分では足りないような感じがしますね
試合によって変わってくる部分かもしれないですね。ボールインプレーの時間も長いですし、クイックなテンポでプレーする試合が日本では展開されていて、試合の後にヘトヘトになっている時もあります。ただ、自分がチャンスを得た時に、フィットネス面で問題ないように準備をして、プレーしたいと考えています。
◆より上手くプレー出来るように努力
――改めて、ラグビーの面白さはどこにありますか?
特にアンストラクチャーなシチュエーションで、ボールを持ってカウンターを仕掛けることや、ターンオーバーからボールを持って仕掛けることは、自分の中で面白い部分で、相手のディフェンスがしっかりとセット出来ていない状態で、自分がボールを持って穴を見つけて突いて行くことが、とても楽しいですね。
――新しくアタックを作るということでしょうか?
練習の中でも、自分がより上手くプレー出来るように努力している部分でもありますし、ターンオーバーや相手がキックしたボールをキャッチして、相手のディフェンスがセット出来ていない状態でいかに自分がブレイクするかという部分をとても楽しんでいます。そして、そこのスキルレベルがもっと上がるように努力しています。
――2023年ラグビーワールドカップが終わった後、また日本でプレーする考えはありますか?
まずはニュージーランドに戻って、しっかりと良いプレーをした上で、オールブラックス(ニュージーランド代表)のセレクションに引っかかるように頑張っていきたいと思っています。日本やサントリーで本当に素晴らしい経験をさせてもらっているので、また戻ってきたいという気持ちもあります。それがいつかはまだ分からない部分ですね。
――将来のビジョンはどこまでイメージしていますか?
まだそこまで深くは考えていませんが、引退後もラグビーに携わっていくという道もあるかもしれません。まだ具体的には考えていません。
◆皆さんの応援
――ファイナルラグビーで大切なことは何でしょうか?
プレーオフでは、1試合1試合勝っていくことが重要です。自分たちを信じて、より精度高くプレーすることが重要ですし、よりハードに、よりスキルフルに、前の試合よりも仕事をしなければいけないと思います。あとはトレーニングをしっかりとやり、遂行力の質が上がってくれば良い試合が出来ると思っているので、チームとしてそこを仕上げていければと思っています。
――自身の注目ポイントは?
ここまで多くのファンの方たちに、個人としてもチームとしてもすごく応援してもらっていますし、タフな時間帯で応援が力になっていることが多くの試合であるので、ここからの戦いでは皆さんの応援が必要だと思っています。ぜひ応援をお願いします。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:山口祐二/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]