SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2022年5月20日

#797 サム ケレビ 『スキルをよりレベルアップ』

インタビューする度に感じるのは、サム・ケレビ選手の謙虚さ。今回も、レベルアップするための課題を本人がいくつも挙げていますが、その謙虚さといざ試合となった時の容赦なきプレーのギャップが、ケレビ選手の最大の魅力なのではないでしょうか。(取材日:2022年5月中旬)

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◆良いシーズン

――ここまでイメージした成績を残せていますか?

ここまで自分たちの高いスタンダードで戦えている部分はあると思います。開幕戦でのパフォーマンスは高かったと思いますが、7節のパナソニック戦と15節の東芝戦で負けていることと、あとNTTドコモ戦もあまり良いパフォーマンスではなかったと思います。ただ、そういう試合も非常に大事で、そこから更に成長してプレーオフに向かっていくことが重要だと思っているので、ここまで良いシーズンが送れていると思います。

――自身の調子はどうですか?

自分としても良いパフォーマンスが出せていると思いますし、センターとしていつも良い状態でプレーしたいと考えているので、より成長するために、より良いプレーをするために、まだまだ課題はありますが、常に成長していけるように日々意識してトレーニングに励んでいます。

――リーグ戦中にはスピード、強さ、身体のバネなど、ケレビ選手の特徴を活かした「斜めに飛んでいったように見えた」トライもありました

あのトライは、チームでの形で、最後に自分がボールを置くだけという形だったので、あのようなトライになったと思います。

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――そのスピード、強さ、身体のバネなどに、さらに磨きがかかっているように感じました

S&C(ストレングス&コンディショニング)コーチに感謝しなければいけないと思います。ワラビーズ(オーストラリア代表)でもプレーしましたし、7人制ラグビーの代表でもプレーしてきましたが、サンゴリアスのS&CスタッフやJP(ジョン・プライヤー)、吉浦翔(ヘッドS&Cコーチ)が、上手く私の体重とフィットネス、スピードのバランスで、どこがベストなのかと考え仕上げてくれているので、とてもS&Cに感謝しています。

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◆ボールタッチを増やす

――そんな中でいまの課題は何ですか?

チームにモメンタム(勢い)を与えるために、出来るだけボールタッチを増やすことを考えています。特にボールを持っていない時の動きを課題として取り組んでいます。

――ケレビ選手のところにはよくボールが来ますね

確かに私にボールが来ることは多いんですが、良い形でボールをもらえるように、いかにボールを持っていない時にボールに絡めるかというところを、しっかりと意識してプレーの質を磨いています。

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――ケレビ選手の影響で他の日本人選手もオフロードパスが上達しているのではないでしょうか

自分のオフロードパスもより進化させられるように常に磨いていますが、サンゴリアスのコーチたちもオフロードの使い方にフォーカスしている部分でもあります。自分の強みは強いボールキャリーやオフロードだと思っているので、その部分をオフシーズンに若手選手、特に中野将伍などと一緒にトレーニングしたこともありました。あとは仁熊、尾﨑泰雅とか、中村亮土、尾﨑晟也も含めて、良いオフロードが出来てきているので、お互いを高め合いながら、自分のスキルも磨けているので、良い関係性がチームの中にあると思っています。

――選手兼オフロード・コーチですね

もし引退した時に、そういうコーチになれるのであれば嬉しいですね(笑)。

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◆生涯の友人という関係

――2シーズン連続で現役のオールブラックスの選手と同じチームでプレーしていますが、今シーズンのダミアン・マッケンジー選手はどうですか?

ラグビーだけじゃなく、生涯の友人という関係が築けたら良いなとお互いに思っています。スキルの部分で学ぶこともありますし、試合に入る前のマインドセットの部分、準備の部分、姿勢の部分など、学ぶところがたくさんあると思っています。

――逆に周りの選手がケレビ選手から学ぶべきこともたくさんあると思います

サンキュー、ありがとう。

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――プロフィールに「モチベーションよりも鍛錬を重視、常に自分の技術に磨きをかけ、自分の現状に満足することはない」と書いていますが、技術の追求、身体の追及がラグビーの面白さですか?

フィジカリティ―の部分は、自分が自信を持ってプレーするという意味でも重要です。マインドセットの部分、気持ち的にも容赦なくしっかりとプレーすることも重要だと思っています。そんな中でスキルセットの部分はトレーニング中から良い習慣づけをして、プレッシャーがかかった状態でも自分のスキルに自信を持って良いプレーが遂行できるように、意識してやることが大切だと思っています。

――「容赦なくプレーする」ところが、ケレビ選手の大きな魅力のひとつでもありますね

よりワールドクラスの選手になるためにも、いま自分が磨いているところがスキルセットの部分です。マインドセットの部分は毎試合、競争心を持ってプレーしていますし、試合では激しいプレー、タックルでもフィジカリティ―を出すことは、7~8年前から意識してやってきているので、そこにスキルの部分をよりレベルアップさせて、ワールドクラスの選手になっていければと思っています。

――2023年にはラグビーワールドカップがあり、当然、代表を目指しているんですね?

まずはサントリーでベストなプレーをすることにフォーカスしていやっています。将来的にワールドカップでプレーするためには、オーストラリアには良いセンターがたくさんいるので、サントリーで良いパフォーマンスをして、ワールドカップスコッドにも絡んでいけるようになっていければと思っています。

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――自信のほどは?

もちろん自信はありますが、自分が出来ることにしっかりとフォーカスして、自分のパフォーマンスがしっかりと発揮できるようにやっていかなければいけないと思っています。セレクションや怪我、他の選手がどうパフォーマンスするかとか、コントロール出来ない部分に意識を向けないようにしています。自分がどう準備するかが重要だと思っているので、しっかりと準備をして、コミットしてやっていければ、パフォーマンスもついてくるんじゃないかなと考えています。

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◆チームがしっかりとコネクトしなければいけない

――ファイナルラグビーに向けて、改めて大事だと思うことは何ですか?

ファイナルラグビーで勝っていくためには、チームがしっかりとコネクトしなければいけないと思いますし、1人では成し遂げられないことなので、チームとして自信を持ってプレーすることも重要です。チームで良いパフォーマンスをするためには、メンバーだけじゃなくノンメンバー、スタッフも含めて一枚岩になっていないといけませんし、結果にあまりフォーカスし過ぎることなく、自分たちのプロセスであったり、自分たちの力を信じて、冷静なマインドセットで戦うことがとても重要だと思います。

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――良いプレー、良い試合が出来る自信は?

リーグ戦が終わり少しオフがありましたが、チーム練習も再開していますし、まだ準備期間があるので、準備の部分をしっかりとやって、自信を持ち、他の選手やスタッフをしっかりと信じて、良いパフォーマンスが出せるよう準備していければと思っています。

――前々回のインタビューではまだ結婚をしていないと言っていましたが、もう結婚はしましたか?

いや(笑)、まだ独身です。募集中です。日本人女性とデートがしたいですね(笑)。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:山口祐二/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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