2022年2月25日
#785 仁熊 秀斗 『毎試合トライを取る、試合で絶対に抜かれない』
多くのライバルがいる中、サンゴリアスの新しいウイングとして活躍し始めた仁熊秀斗選手。初トライ、初先発を成し遂げた先に、目指しているものは何でしょうか?狙いを定めている目標とその実現方法を中心に聞いてみました。(取材日:2022年2月中旬)
◆自分のプレースタイルを出せるようになってきた
――第5節は初めて先発出場し、ここまで3試合出場、今季の手応えはどうですか?
昨シーズンから準備してきたことが結果となって、試合に出られましたし、プレーとしても身についたことが昨シーズンよりも多いので、そういった部分を認めてもらい、信頼してもらっているから試合に出られていると思います。スタッフとのコミュニケーションも昨シーズンよりも増えましたし、スタッフが求めていることが出せるようになってきたと思います。自分のプレースタイルも出せるようになってきたので、上手くいっていると思います。
――準備してきたこと、身についたことを具体的に言うと?
スピードトレーニングを行ってきましたし、ディフェンスのシステムについても、チームにコミットしてきたという部分が大きいと思います。
――スピードはより速くなったんですか?
そうですね。今の状態が、これまでの自分の中でもいちばん速いと思います。ただ、まだ速くなれると思っています。
――どんどん速くなる秘訣はありますか?
身体の使い方はまだまだなんですけど、S&Cコーチから言われる身体の動きを意識してトレーニングしたり、お尻を使って走ることを意識したりしています。1回の練習で速くなるわけではないので、何度も繰り返し行いながら身体に染み込ませていくことが大事だと思います。
――走り方のフォームでは、例えば、どういうことに気を付けているんですか?
僕の場合は腹筋が弱くて、腰を反って走ることが多いので、そこを改善するトレーニングをしたり、あとは体重の乗せ方だったり、身体の使い方の部分ですね。そこを意識して練習前に準備したりしています。お尻を使うという部分については、意識して足首を固定してふくらはぎに力が入るようにすると、自然とお尻に力が入るようになります。
――そうするとまだまだ鍛えられそうですね?
そうですね。そこを更に鍛えれば、今よりも速くなると思います。
――今まで使っていなかった部分を使うと、何か身体に変化がありますか?
筋肉痛になりますね。腹筋だったり、腸腰筋も使うようになるので、練習の後に痛くなったりしますね。練習の後に、腹筋に力が入っていたことを感じます。腹筋を鍛える筋トレをしなくても、練習後に腹筋が痛くなっていることがあります。腸腰筋も普通に、筋肉痛みたいな感じになります。
◆今はお尻周りが全然違います
――サンゴリアスに入ったことで、そういうことを感じるようになったんですか?
そうですね。大学まではそこを意識してトレーニングをしてきませんでした、サンゴリアスには素晴らしいS&Cコーチがいるので、そういう人たちから学んでトレーニング出来ることは大きいですね。
――その部分は個人トレーニングになると思いますが、そこには時間をかけているんですか?
練習前に絶対にやるメニューがあって、腹筋に力が入るようなトレーニングだったり、あとしっかりと腕を振った方が良いと聞くので、先輩たちがやっているメニューを真似してやったりしています。
――ウエイトトレーニングも行っていますか?
ウエイトトレーニングもやっています。重りを持ってスクワットなどやっていて、そこでもお尻にしっかりと力が入るように意識して行っています。中に水を入れたウォーターバッグを背負ったり、持ったりして、中に水が入っているので重心が動いたりするんですけど、そういう不安定な中で身体をコントロールして動くトレーニングをしています。
――お尻が大きくなったり、筋肉がついてきたという感覚はありますか?
サンゴリアスに入る前と今とではお尻周りが全然違いますし、下半身は全然違うと思います。トレーニング用の短パンのサイズも変わりました。
――これからも更に大きくしていこうと思っていますか?
継続して鍛えているので、更に大きくなると思います。体重も増えましたね。今は85kgくらいあります。僕がサンゴリアスに入る前は、80~81kgくらいだったので、結構増えました。
――体重が重くなってもスピードが速くなっているんですね
S&Cコーチからは「85kgをキープ」と言われているので、体重をキープしながら更に筋力を増やしていきたいと思っています。
◆オフ・ザ・ボールを意識
――ボールのもらい方やボールを持っていない時の動きなどについてはどうですか?
プレシーズンの時もそうだったんですが、映像を見ながらオフ・ザ・ボールを意識しています。ボールを持っていない時にどこが空いているかを考えて、どこに走り込めばトライに繋がるか、スペースがどこに空いていて、どのタイミングで走り込むかということを意識してやっています。
あとは自分のプレーするエリアも意識しています。ただ外で待っているだけじゃなく、10番の内側に行ったり、センターの内側に行ったり、色々なスペースを狙って走り回って、チャンスの時に空いているスペースに走り込むことを意識しなければいけません。映像で振り返って、どういうシチュエーションでスペースが空くかということを意識しておくだけで、自分自身も動きやすくなります。
――それだけ動き回れるということは、体力に自信があるんですね
はい、体力には自信があります。
――自分自身でも成長を感じられ、楽しい時期を過ごしているんじゃないですか?
そうですね、充実していますね。ただ、まだシーズン序盤ですし、自分のプレーに満足はしていません。試合のメンバーに入れることは嬉しいんですが、もっと活躍して、もっとアピールしなければいけないと思っています。やはりサンゴリアスには他にも良い選手がたくさんいて、いつメンバーが変わるか分からないので、毎日の練習など、試合以外でもアピールしなければいけないと思っています。
――自身のプレーについてどういうところに満足していないのですか?
毎試合トライを取るとか、タックルの成功率を100%にするとかですね。やはりウイングというポジションはトライを取ることが大事だと思うので、トライを取らなければいけないと思います。
――タックルも得意ですよね
そうですね。自分の武器でもありますし、ディフェンス面でも信頼されたいという想いがあるので、しっかりと自分にベクトルを向けて練習していますし、試合で絶対に抜かれないということを意識してやっています。
◆ゲーム展開を読む
――第2節の終了間際の初トライ、おめでとうございます
素直に嬉しかったですね。プレー時間は短かったんですが、積極的に自分から声を出してトライを取れたことが嬉しかったです。
――トライが取れる時と取れない時の違いってありますか?
センターやフルバックとの連携にもよるんですが、自分からもっとボールをもらいに行かないといけないと思います。ウイングではボールを待っているだけだと、確実にボールタッチの回数が減るので、積極的にボールに絡みに行くことが出来ていると、トライに繋がると思っています。
――積極的に行ける時はどんな時なんですか?
ゲームの内容にもよるんですが、自分たちが攻め込んでいる時は積極的に行こうと思っています。あとは外で待っていた方が良い時もあって、自分がウロチョロし過ぎて、チャンスの時に外にウイングがいないということがあると、めちゃくちゃもったいないですよね。そこはちゃんと見極めてやらなければいけないところです。だから、ゲーム展開を読むことも大事になります。
◆仲間がトライを取った時も嬉しい
――改めて、いまラグビーをやっていて面白いと思うところはどこですか?
やっぱり勝った瞬間ですかね。プレー中もそうですが、勝つために練習をやっていますし、試合をやっているので、勝った時はめちゃくちゃ嬉しいですね。あとは、仲間がトライを取った時は、準備してきたことが出せたと感じるので、面白いと思います。
――トライは自分が取っても仲間が取っても良いということですね
そうですね、どちらも嬉しいですね。その中でも自分もトライを取らなければいけないということですね。
――これからの目標は何ですか?
やはりサンゴリアスでスタメンとして活躍することです。その先に日本代表があると思うので、まずはサンゴリアスでレギュラーとして使ってもらえる選手になりたいです。
――サンゴリアスの同じポジションには素晴らしい選手がたくさんますが、そういう選手たちに勝つための自分の強みは何だと思いますか?
アタックについては、オフ・ザ・ボールのところで、色々なスペースを見つけるところは誰にも負けないと思っているので、そこは武器として考えています。ディフェンスについては、自分なりのディフェンスの仕方があって、チームとしてのシステムもありますけど、自分のサイドでは相手に抜かせないという意識で、プライドを持ってやっています。
――ファンの人たちに注目してもらいたいポイントはありますか?
ボールを持った時の動き方ですね。ランだけじゃなくパスも出来ますし、色々な攻撃の仕方を見て欲しいですね。あとディフェンスでは「タックルも行けるんだぞ」というところを見て欲しいです。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]