SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2022年1月 7日

#778 中村 亮土 『いざ開幕-1 道筋を立てて行く』

キャプテンとして2シーズン目を迎える中村亮土選手。今シーズンはいかにサンゴリアスを導いていくのでしょうか。開幕直前のロングインタビューを2回にわたってお届けします。(取材日:2021年12月下旬)

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◆やっと来たな

――新シーズン開幕戦直前、いまどんな気持ちですか?

この寒い時期が来たら、「この時が来たな」という雰囲気になります。ラグビーワールドカップ前のトップリーグのシーズンでも、寒くなるにつれて終盤になってきていたじゃないですか。今回は開幕が近づいてきたというイメージがあるので、「やっと来たな」というワクワク感があります。

――寒さと共に身が引き締まる思いですか?

カッコよく言うと、そんな感じですね。

――練習自体は、かなり追い込んでいますか?

追い込んでいるというよりは、今はコンビネーションや戦術理解のところですね。今の時期に、キツイことをめちゃくちゃやっているという感じではありません。そういう練習はプレシーズンの段階でやっていて、この時期にはトレーニングマッチなどもあったので、それに向けて準備をして、試合後にレビューをしてという繰り返しで、ちょっとずつ良くなってきていると思います。

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――昨シーズンの同じ時期と比べると、今はどんな状態ですか?

昨シーズンは代表組も早くからチームに合流していて、みんなでプレシーズンを過ごして準備をしていたので、順調にチームが仕上がっていました。今シーズンは代表組が合流したのが12月で、僕や垣永、堀越はバーバリアンズの活動もあり、他の代表メンバーよりも1週間遅れて帰ってきたので、まだ完成しきれていない感じはありますね。

だからこそ、大きな伸びしろを感じています。チームに合流してまだ1~2週間なんですが、この2週間でもチームの成長や伸びしろを感じられたので、とてつもないことになるなと感じています。飛躍する前の静けさじゃないですけど、チームとして爆発力を持っているので、それがとても楽しみです。

――チーム全員の溜まったエネルギーを爆発させるという感じですか?

12月24日にクボタとのトレーニングマッチがありましたが、今シーズン初めてサンゴリアスで試合に出て、チームの一体感やサンゴリアスの試合はこうだだというところが見られました。それがみんなの自信になって、チームとして高まっている状態だと思います。そういうところが自分自身のワクワク感に繋がっていると思います。

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◆体重をコントロールする

――個人としてのワクワク感はどうですか?

個人はまだですね。今の状態でベストパフォーマンスを出せるかと言われたら、もちろん出さなければいけませんが、まだ少し時間がかかるなという状態です。そういう状態ですが、自分の中でのペース配分を持っているので焦っていませんし、先を見据えながら今の自分と向き合って、しっかりと準備していきたいと思っています。

――昨シーズンが終わってから日本代表があり、ずっとプレーを続けてきたので、個人としてのパフォーマンスは悪いわけではないということでしょうか?

ずっとプレーしてきていますが、日本代表のツアーが終わって、少しだけオフをもらって気持ちを切り替えて、もう一度スタートという感じなので、いまは合わせていかないといけない時期ですね。僕の中で、国内リーグと代表のテストマッチでは準備の仕方が違って、体重管理も全然違うので、今はそれを合わせていっている感じです。

――その部分は選手としては準備の仕方が難しいですね

本当に全然違います。最後のトップリーグが終わって日本代表に行く時には、しんどかったですね。メンタル面はもちろんですが、テストマッチに向けた準備が出来なかったことが心配でした。

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――その部分で大きく違う部分というのはどこですか?

フィジカルの強度ですね。そこで僕が変えなければいけない部分は、体重のコントロールです。日本代表の方が、海外の選手に対抗するために体重を2~3kgくらい大きくしています。国内ではもっとスピード感があって、サンゴリアスのゲームではシャープに動かなければいけないので、日本代表の時よりも少し身体を絞って、よりスピード感が必要になります。

――そうすると日本代表選手はみんな苦労しているんじゃないですか?

人によると思います。あまり体重を変えていない選手もいれば、僕みたいに体重をコントロールする選手もいます。まあ、体重をコントロールする選手はあまり聞いたことが無いですけどね。
その部分は、昨シーズンが終わって日本代表に行ってから気付いたところです。そこに気づけて良かったと思っています。

――では、今は身体を絞っているところですか?

少し落としています。あとは帰国してからの隔離期間も含めて、少しラグビーから離れていたので、ラグビーを思い出すじゃないですけれど、感覚的なところを取り戻している感じです。

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◆自分の失敗をちゃんと受け止める

――ゴルフの感覚に染まっている感じですか?

そうですね(笑)。

――他の選手から、中村選手はゴルフが上手いという声をよく聞きます

そっちも頑張っています(笑)。ゴルフは難しいから面白いんじゃないですかね。同じことをやっているつもりでも結果が全然違ったり、ちょっとしたことで大きく結果が変わること、あとは外的要因であったり、自分のメンタルで変わってくるので、そこが面白いですね。

――メンタルのコントロールはラグビーでも実践していると思いますが、ゴルフという趣味の場所でも、メンタルのコントロールをしているんですね

なるほど(笑)。あまりメンタリティーのことを意識はしないですけどね。ゴルフって、全てが自分の責任になるので、それが僕にとって良いことなのかもしれません。全て自分の責任なので、言い訳が出来ないじゃないですか。だから自分の失敗をちゃんと受け止められるところがあって、分かりやすいと思います。

――上手いということは、ゴルフという競技も合っているということですよね

そうかもしれないですね。かなり考えながらやっています。なぜ出来なかったのかとか、練習場に行ってもただ打つんじゃなくて、1球1球考えながら打っています。クラブを振ってボールを打つという動作だけなんですが、それを考えながらやることが楽しいのかもしれません。

――考えることが好きなんですね

僕はちゃんと道筋を立てて行くタイプなんですよ。野性的に感覚的にやるタイプじゃなくて、ちゃんと布石を立ててやっていくタイプなので、ゴルフでもただ本能的に打つんじゃなくて、考えてやっています。

――ゴルフはいつから始めたんですか?

2020年9月からです。

――まだあまり経っていないのに、早くも周りから上手いと言われているんですね

他のみんなよりも熱量が大きいんだと思います(笑)。もちろん練習もしますけど、YouTubeでゴルフの映像を見たり、ゴルフのことを考える時間が多いと思います。

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◆大きいエネルギーがある

――年末年始のチームのスケジュールは?

1月1日と2日がオフで、3日から開幕戦に向けて準備といった感じです。

――そういう時に向かえるお正月はどんな感じですか?

全くお正月感はないですね。

――石原選手がインタビューで、練習中にケンカするくらいじゃなきゃ強くならないと言っていましたが、それについてはどう考えていますか?

シーズンが深まるにつれて、そういうことがちょっとずつ増えていくように感じます。僕としては、そういう状態にならないと、と言うよりみんなそういう気持ちを持っていると思います。ただみんな良い子になってしまっていると思うので、そういう部分は慎太郎が見せてくれると思います(笑)。慎太郎だけじゃなくて、僕よりも上の人たちが見せてくれると思います。

――なぜ良い子になっていると思いますか?

時代じゃないですかね。それが良い悪いとかじゃなくて、そういうことがあっても良いという程度の話です。

――中村選手が大学時代にキャプテンをやっていた時とは、選手の気質が全然違っていますか?

今って、とても良いチームなんですよ。みんな大人だし、良いチームマンの選手ばかりです。僕が1~2年目の時は、チームが勝つというよりも、自分がどれだけ這い上がれるか、自分をどれだけマネジメントできるかということに重きを置いていたんですが、今はチームとして勝ちたいとか、優勝したいとか、その中でチームに貢献したいと思っているメンバーが増えているので、その辺の考え方が変わってきたのかなと思います。

本当に、どちらが良いとか悪いとかはないと思います。ただ、今の方が大きいエネルギーがあると思います。やはりチームとして戦うので、大きいエネルギーを持っていると思いますし、爆発力があると思います。

[続く]

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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