2021年12月24日
#777 セミセ タラカイ 『自分の夢の中で生きている』
見た目も雰囲気も典型的なプロップと言えるセミセ・タラカイ選手。初のインタビューでは、さらに真面目さと表現力と知性が際立ちました。(取材日:2021年11月下旬)
◆スクラムのIQ
――日本に来て3シーズンを過ごして、日本のラグビーについてどんな印象を持っていますか?
選手たちはラグビーで思い通りに自分を表現できていると思います。日本人の選手たちは自分のスキルに対してより自信を持って、試合では、ためらわずにプレーしていると思います。サンゴリアスの日本人選手の多くは代表チームでの経験を積んでおり、トップレベルの外国人選手とも一緒にプレーすることによってチーム全体のレベルが向上していると思います。
――その外国人選手のひとりだと思いますが、どの様なレベルアップに貢献していると思いますか?
スクラムのIQのところだと思います。スクラムの組み方について他の選手のサポートになっていると思います。また、日本人選手のスキルの面でもサポートできると思います。スキルに関しては目の前の状況でどう対応するかが決まるので、日本人選手に状況判断のサポートもしています。
――日本に来て、自分自身が成長したと思うところはどこですか?
正直わかりません。 私は毎シーズン、全ての面で、特にチーム内での私の中心的な役割について改善しようと努力しています。その中でも、日本のラグビーは展開が速いので、試合のスピードに慣れることを学ばなければなりませんでした。 日本のラグビーは試合スピードが速く、レベルはスーパーラグビー、オーストラリアとほぼ同じです。リーグは毎シーズン成長していると思います。
――そうなることを予想して日本に来たんですか?
来た最初の年は何が待ち受けているか分かりませんでしたが、クイーンズランド・レッズ(スーパーラグビー)でプレーしていたツイヘンドリックや他のプレーヤー、サンウルブズの友人たちと話をし、日本に来る前に彼らから色々と教わりました。 そして、初めてトップリーグでプレーした時、すぐにレベルがスーパーラグビーからそれほど遠くないことを感じました。 特に今のトップチームは、スーパーラグビーのチームを相手にしても良い試合になると思います。
ツイヘンドリックなどがレッズ(スーパーラグビー)でプレーしていましたし、他の選手もサンウルブズでプレーしていて、対戦したことがあり、何人かを話をしたことがありました。トップリーグで初めて試合に出た時も、スーパーラグビーのレベルとぜんぜん変わらないとすぐに感じました。
――日本でプレーすることになったきっかけは?
サントリーは歴史のある強いチームなので、それに加わるのを楽しみに日本に来ました。 最初の年を経験し、プレーオフ決勝で負けた後、チャンピオンシップに挑戦するために、再び日本でプレーしたいと思いました。
――日本に来る前にはどういった強みがあり、日本に来たことで新たな強みが出来ましたか?
日本に来る前からスクラムは強みだと思いますし、フィールドプレーやボールキャリーも強みだと思っています。スクラムは複雑で、色々な組み方があります。日本の方が他のどの国よりもスクラムが低いので、日本に来たことで改善できたと思っています。あとは日本選手は身体の体幹が強いと思うので、トレーニングのプログラムは日本の方が厳しいですね。
サントリーのプレースピードはスーパーラグビーのチームよりも速いので、そのスピードでプレーするためには細かい部分が非常に重要になります。そのスピードでプレーできるということは成長しているということだと思います。
◆チームのために行動する
――小さい頃からラグビーに親しんでいたそうですが、そのきっかけは何ですか?
私が4歳の時にいとこがラグビーリーグの決勝に出場して、その試合を見た時にラグビー選手になることが夢になりました。6歳からはラグビーリーグとラグビーユニオンでプレーして、18歳頃までは、土曜日はラグビーユニオンで、日曜日はラグビーリーグでプレーするということを毎週続けていました。
――ラグビーリーグ決勝でのいとこの姿がカッコ良かったんですね
いとこがその場に立っていることが素晴らしいと思いました。スタジアムは満員で、会場から応援されている姿を見た時に、私もその場に立ちたいと思いました。ラグビーを続けていくうちに、ラグビーへの愛情が高まり、それを達成したいという気持ちが強くなりました。
オーストラリアと日本の、大きな違いのひとつとして、ジュニアプログラムといった、子どもたちのプログラムががとてもしっかりしています。そのおかげで、私は幼い時からラグビーが好きで、毎週継続的にプレーしていました。日本では野球やサッカーなどの他の多くの人気なスポーツがあり、難しいかと思いますが、それでも日本でもオーストラリアと同じような環境を作ることは可能だと思います。
――実際にラグビー選手になって、満員のスタジアムで応援される中で試合をするという経験は、出来ましたか?
スーパーラグビーでの最初の試合で、そういう経験をして、そこから更にこういう場で試合をしたいという想いが強くなりました。
――夢にしていたことを体験して、どんな気分でしたか?
まずは自分の夢を果たせたことで達成感がありましたが、次の目指すべきことがすぐに変わりました。チームのために何をしなければいけないのか。チームのために貢献していかなければいけないという想いになりました。
最初の試合はすごく印象に残っていますが、常にチームを大事にしていかなければいけないという想いになり、チームのために行動することを強く思っています。
――チームのために行動することに終わりはないと思いますが、節目節目での達成感などはありますか?
ラグビーというスポーツでは、常にチームのために行動するということを達成していかなければいけないと思います。自分を犠牲にしても、チームのために行動しています。もう少し自分のために行動しても良かったんじゃないかと思う時もありますが、常にチームのために行動することを考えています。常にチームのために行動し、常に周りの選手をサポートして、みんなが良いパフォーマンスを出せるようにしています。
◆お互いの夢が集まる
――改めて、ラグビーの魅力は何ですか?
父親もおじさんもいとこも全員がラグビーをやっていたので、小さい頃から常にラグビーの話をしたり、ラグビーをプレーしたりしていたので、そこから始まっています。お互いの夢が集まりますし、お互いに色々な話が出来ます。自分としても、細かいところまで考えてやることが好きなので、それによってよりラグビーが好きになりました。
――今回話を聞いていて、考えることが好きなのではないかと思いました
そこも自分のひとつの強みだと思いますし、私はラグビーオタクだと思います(笑)。
――ラグビーでの今後の目標は何ですか?
自分の夢の中で生きていると思うので、毎年毎年、いちばん良い結果が残せるように常に改善していかなければいけないと思います。出来る限りキャリアを長くするためにも、常に成長していかなければいけないと思っていますし、それに対しての努力をしていかなければいけないと思っています。
サントリーも毎シーズン優勝を目指しているチームなので、チームメイトのためにどこまで貢献できるか、どこまでサポート出来るかを常に考えています。そして、家族のためにどこまで頑張れるかということを考えています。
――代表についてはどう考えていますか?
現在のオーストラリアのルールでは代表に選ばれることがないので考えていません。そこはルールで決められていることなので、考えないようにしています。もしルールが変わってチャンスがあるのであれば、そこに向けて、もう一度努力をしたいと思います。今はサントリーにいるので、このチームに100%貢献したいと思っています。
――今シーズンの目標と、注目して欲しいポイントを教えてください
個人としては、試合のメンバーに選ばれるかどうかによって変わってきますが、攻撃のためのセットピース、バックスが攻撃しやすい土台を、しっかりと作りたいと思います。そしてフィジカルのところで相手よりも強く、ディフェンスで圧倒することが重要だと思います。そこを果たしたいと思います。チームとしては優勝すること。決勝で負けることが続いているので、今シーズンは必ず優勝したいと思います。
――周りのためにという想いが強いと感じますが、その想いはどこから来ているんですか?
育ってきた環境だと思います。若い時からラグビーを続けてきて、全員が100%取り組み、お互いのためにやることで、特別な感情が生まれます。その経験をしてきたので、周りのために行動した方が良いと思います。全員がそういう感情を持った方がやりやすいと思いますし、楽しいですよね。全員が同じことを考え、同じことに取り組めることができれば、みんなが楽しいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]