SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2021年12月17日

#776 ジョシュア スタンダー 『まずはファーストキャップ』

南アフリカからやって来て、3シーズン目を迎えるジョシュア・スタンダー選手。スピリッツ初登場は、終始笑顔のインタビューとなりました。(取材日:2021年11月中旬)

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◆日本の文化

――なぜ日本でプレーしようと思ったんですか?

最初はカルチャーの部分もありましたし、ラグビーの能力的にもプラスになると思いました。日本のラグビーは展開が速いということを知っていたので、自分の能力をレベルアップさせるためにもプラスになると思いました。そして日本の文化も経験したことがあったので、日本でプレーすることに興味を持ちました。

――日本の文化への興味はどこから生まれたんですか?

南アフリカの選手は日本でプレーしている選手が多いので、そういう友人からの話や、エディー・ジョーンズ(ディレクター・オブ・ラグビー)との繋がりもありました。そういう人たちからの話を聞いて、自分のラグビーのプラスになると判断しました。

日本の文化にも興味がありました。時間や規律をしっかりと守る国民性であったり、時間に正確な電車であったり、いろいろなことが時間通りに動いているというところは南アフリカとは違う部分なので、そういうところに関心を持っていました。

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――時間通りに動くことが性格的に合っているんですね

やはり1日の計画がスムーズに実行できるので、全てが定刻通りに動く方が生活しやすいと感じています。南アフリカでは、なかなか自分のプラン通りにいかないこともあります。日本人からはさらに国を良くしようとする行動が見えるので、そういう意味でも日本の生活を楽しんでします。

そんな日本が過ごしやすいですし、いまストレスを感じずに生活が出来ています。あと安全な国だと感じますね。自分も妻もそうですし、公共交通機関で移動している子どもたちをよく見かけますが、それは南アフリカとは違う光景で、生活がしやすい安全な国だと感じています。

――家族も日本で生活しているんですか?

そうですね、日本で生活していて、妻も日本で働いています。今年の9月に結婚をしたばかりで、まだ子どもはいませんが、出来る限り早く子どもができると良いなと思っています。結婚生活は楽しいと思います。ひとりでは出来ないような経験が、ふたりでは可能だったりします。誰かと一緒に色々な経験をしながら共有出来るということは、とても良いことだと思っています。

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◆ボールを多く展開する

――日本のラグビーは聞いていた通り、展開が速いと感じましたか?

試合の中でもサンゴリアスの練習でも、展開が速いと感じました。強度の部分でも、自分が初めて来た時よりも、今の方が高くなっていますし、チーム内の競争自体も激しくなっていると思います。リーグ全体、日本国内のラグビーを考えても、それはとても良いことだと思いますし、相当レベルアップしていると思います。

――海外のチームでプレーするのは日本が初めてですか?

そうですね。日本で経験することで更に成長できると思いましたし、出来る限り長く日本でプレーしたいと思っています。日本でベストを尽くした上で、その先のチャレンジを考えたいと思っています。

自分の中では、ボールを回して展開するラグビーが合っていると思っています。南アフリカでプレーしているとキックの割合が多くて、どちらかと言うと展開するようなラグビーではないと思います。ボールを多く展開するチームでプレーをすることで、より自分の力を発揮できるんじゃないかと思いました。

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――これまで公式戦に出場する機会が多くない状況だと思いますが、それについてはどうでしょう?

現状はなかなか試合に出られていないのでタフな状況ではありますが、マット・ギタウやボーデン・バレットとチームメイトとして一緒にプレーしてきて、色々な経験をすることが出来ましたし、ハードワークを続けて、自分にチャンスが回ってきた時に良いパフォーマンスを発揮できるようにという想いで、2年間やってきました。今後またチャンスがある時に、しっかりと自分の能力を発揮して、チームに貢献できるようにしたいと思います。

――今シーズンはチャンスですよね

そうですね。同じ10番の田村煕にとっても重要な1年になると思いますし、彼もそうですし自分も含めて、この2年間はあまりゲームチャンスに恵まれないシーズンだったので、今シーズンは2人ともそのチャンスを活かせるように頑張りたいと思います。

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◆落ち着いた状態の時ばかりじゃない

――東京サンゴリアスでは、南アフリカの選手でこれまでフーリー・デュプレアやスカルク・バーガーといった選手がプレーしていますね

ふたりとも人間性も含め、本当に素晴らしい選手だと感じます。南アフリカでも英雄のような選手たちです。

――話を聞いていると、ふたりの中間のような性格だと感じますが、いかがですか?

自分の性格としては、どちらかと言うと大人しい性格かなと思っています。チームの中には英語が母国語の選手と日本人の選手がいて、南アフリカでは母国語が英語ではないので、馴染むまではあまり積極的に話をすることが出来なかったかもしれません。慣れてくれば積極的に話が出来るような性格かと思います。

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――メンタルが安定しているように感じますが、いかがでしょう?

出来る限り落ち着いていたいとは思っていますが、自分も負けず嫌いなので、落ち着いた状態の時ばかりじゃない時もあります。ただそこはラグビーにも繋がる部分だと思っているので、出来る限り常に落ち着いた状態でいたいと思っています。試合の中やグラウンドで、色々な判断をする時に落ち着いた方が良い判断が出来ますし、カッとなっていたり落ち着いた状態ではない時には、良くない判断をしてしまうこともあるので、普段から落ち着いた状態でいられるようにと心掛けています。

――怒るとどうなるんですか?

自分の思い通りにいかなかったり、負けず嫌いでもあり、グラウンド上ではカッとなってしまうこともあります(笑)。ここ2年間で、気持ちのコントロールを学びながら、成長できていると思っています。

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◆アドレナリンのようなところ

――ラグビーボールを手にすることが楽しかったことが、ラグビーを始めるきっかけだったんですか?

父親がずっとラグビーをしていたので、その姿を見ていたということもありますし、父親と一緒にラグビーボールを追いかけることが楽しかったですね。グラウンドでラグビーボールを使ってプレーすること、ラグビーボールを蹴ったり触ったりすることがとても楽しくて、それがずっと続いていて、ラグビーを楽しんでいます。

――お父さんがサッカーをやっていたら、もしかしたらサッカー選手になっていたかもしれませんね

サッカーはテレビで見ていましたし、父親がサッカーをやっていたら自分もサッカーをやっていたかは分からない部分ではありますが、サッカーよりもラグビーの方が自分を表現できると思っています。もしかしたらテレビでサッカーを見ることの方が多かったかもしれませんが、サッカーに対してそれほど興味は湧かなかったですね。

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――改めて、いま感じるラグビーの楽しさ、魅力は何ですか?

アドレナリンのようなところかもしれませんが、試合の前や多くのお客さんの前でプレーする時にスリルのようなものを感じ、そこで味わう感覚が特別のものだと感じています。そこで自分を表現できる、自分のスキルが発揮できるというところが、ラグビーの好きなところです。

あと、フィジカル的なところも、ラグビーでしか経験できない部分だと思います。そこを楽しんでラグビーをしています。フィジカル的なプレーが好きだからラグビーをしているということもあると思います。そういう部分が好きじゃない選手はラグビーをしていないかなと思います。

――今シーズンの目標をお願いします

まずはサンゴリアスのファーストキャップを獲得して、それから出来る限り多くの試合を経験したいと思っています。あとは、自分が出来ることをすべてやった上で優勝したいですし、優勝に貢献できるように頑張りたいと思っています。

――その目標を達成するため、自分の武器は何だと思いますか?

フィジカリティ―の部分は自分の強みだと思っています。あとはそこにキックを使ったゲームの組み立て、日本に来て磨いたランを使った組み立て、その3つでチームに貢献できると思っています。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:山口祐二/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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