SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2021年12月10日

#775 ハリー ホッキングス 『チームが成長する、そこがラグビーの魅力』

初めて登場した時から思わず目を奪われる身長の高さ。そして試合ごとに活躍度を増しているハリー・ホッキングス選手。来日後、初となったインタビューをお届けします。(取材日:2021年11月中旬)

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◆新しいチャレンジ

――初めてのインタビュー、まずはなぜ日本でプレーしようと思ったのか教えてください

昔から日本に行きたい気持ちがあって、日本でプレーすることが決まった時にサム・ケレビと話しました。サムと話しているうちに、サンゴリアスの良さ、人間関係の良さを含めて全てを話してくれて、より日本に行きたいという気持ちになりました。サムも日本が良いと言っていましたし、自分のラグビーのキャリアとしても良いと思ったので、サンゴリアスでプレーすることを決めました。

――なぜ日本だったんですか?

日本はオーストラリアからも行きやすいという距離的な近さもありますし、日本には知り合いの選手がたくさんいるので、いちばん行きやすかったですね。あとサンゴリアスは素晴らしいクラブなので、安心して過ごせると思っていました。

――オーストラリアを出て、海外でプレーしようと思ったのはなぜですか?

プロとして4~5年ラグビーをやったタイミングで、新しいチャレンジをしたいという想いがありました。あとは前のチームとの契約が切れたタイミングだったので、新しいチャンスを探していた時に、サンゴリアスという選択肢が出てきて、そこで選びました。

――活躍できるという自信を持って日本に来たんですか?

サンゴリアスには良い選手がたくさんいますし、公式戦では外国人枠があるので、ポジションを勝ち取ることは難しいことだと思っていました。サンゴリアスではどの選手でもポジションを勝ち取ることは難しいことだと思います。

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◆自分が成長することでチーム全体の成長にも繋がる

――サンゴリアスに入ってみて、期待通りでしたか?

思っていたよりも良かったです。生活のサポートとか食事とか、全てをサポートしてくれますし、スタッフが色々なことをケアしてくれて、素晴らしいと思います。

――ラグビー面では、思った通り成長出来ていますか?

そうですね。とても成長できていると思います。自分の持っているポテンシャルを全て出し切るつもりでトレーニングしていますし、サンゴリアスとしても優勝というターゲットがあるので、チームのために自分が成長することで、チーム全体の成長にも繋がると思っています。

――普段は優しそうな雰囲気がありますが、プレーを見ていると気が強そうな感じもします。自分ではどう思っていますか?

他の選手もそうだと思いますが、グラウンドに立った瞬間にスイッチを切り替えています。特にセカンドローとしてはフィジカリティ―を上げていかなければいけないので、しっかりとメンタルをスイッチが切り替えられなければいけないと思っています。

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◆ずっと他の人よりも大きかった

――ラグビーを始める前は、他に何かスポーツをやっていたんですか?

5歳くらいからラグビーとラグビーリーグをやっていました。この身長ですけど、バスケットボールはやったことがありません(笑)。ラグビー以外でやったことがあるスポーツとしては、バレーボールとテニス、クリケット、あとゴルフも好きです。

――ラグビーがいちばん合っていると思ったんですか?

高校までは色々なスポーツをやっていましたが、高校を卒業するタイミングで、どれかひとつのスポーツに集中しなければいけないタイミングでラグビーを選びました。やはりチームスポーツという部分で、仲間と一緒に優勝を味わえることが良いと思いました。例えば、ゴルフやテニスは個人スポーツになるので、優勝もひとりで味わうことになります。

――いつ頃から背が大きくなったんですか?

どこかのタイミングで急激に伸びたわけではなくて、ずっと他の人よりも大きかったですね。家族もみんな大きいんですが、今は私がいちばん大きくなりました。

――背が大きくなる秘訣はありますか?

DNAだと思います(笑)。あと食事はたくさん食べますね。

――ラグビーでは、その背の高さが強みになっていますよね

そうですね。特にラインアウトのところでは強みになっていると思いますし、やはりラグビーは、ポジションによって色々な特徴があって、背の高い人、身体の大きい人、足の速い人、色々な特徴が活かせるポジションがあるところが良いところだと思います。

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◆接点を制覇できるような強さ

――日本に来て、試合ごとに成長していると思いますが、自分でも感じることはありますか?

試合ごとに自信がついていますし、チームメイトとの信頼関係も深くなっていると思います。ただ、個人の成長よりもチームとしての成長をより強く感じます。

――チームの成長よりも自分の成長のことを考えるのが普通だと思うのですが

私はチームのマインドセットの方が重要だと思っています。個人が成長することよりもチームが成長することの方が大事だと思っています。そこがラグビーの魅力でもあると思っています。

――これまで成長を続けて来て、ここだけは誰にも負けないというところはどこですか?

この部分とは言い切れませんが、チームの中での役割、セカンドローとしての役割をしっかりとやっていかなければいけないと思っています。例えば、ラインアウトのコーラーであれば、いちばん良いラインアウトをコントロールしなければいけないというところは絶対だと思います。あとは、パスなどのスキルの部分も自分の強みだと思います。

――いま課題と思っているところはどこですか?

色々あるんですが、もっと強くならなければいけないと思っています。アタックでもディフェンスでも、接点を制覇できるような強さ、身体を作ることに取り組んでいます。フィジカルで試合に影響を及ぼすようになりたいです。

――目指している選手像と比較して、いまはどの辺まで来ていますか?

自分のポテンシャルを出し切るということは、一生達成できないことだと思いますし、達成できるようではダメで、常に成長していかなければいけないと思っています。

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◆全体的にラグビーは面白い

――話を聞いていると、すごく謙虚で優しい感じを受けますが、自分自身ではどういう性格だと思っていますか?

そうかもしれないですね。

――兄弟はいますか?

姉が1人と兄が4人いて、私はいちばん下になります。兄が4人もいるので、兄たちからは結構厳しくされましたね(笑)。歳が離れていて、それぞれ12歳、10歳、8歳、6歳と離れているので、兄たちは尊敬できる存在です。

――みんなスポーツをやっているんですか?

全員スポーツをやっていて、いちばん上の兄は、近鉄ライナーズでプレーしていました。なので、いちばん上の兄とも日本について話をして、日本に行くかどうかを相談していました。

――改めて、ラグビーの面白いところはどこですか?

全体的にラグビーは面白いと思いますが、例えば、ずっと練習してきたものを上手く実現できると気持ちが良いですね。

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◆みんなが嫌がるようなところで頑張る

――いまの日本には、いろんな国のトップ選手が集まっていますが、その点についてはどう思っていますか?

とっても良いリーグだと思いますし、ワンリーグでプレーする全員が高いレベルでプレーしているので、良いことだと思います。特にサンゴリアスは、外国人選手も日本人選手も、素晴らしい選手が集まっているので、どのリーグで試合をしても良い成績を残すことが出来ると思っています。

――サンゴリアスではコンスタントに試合に出続けていますが、今後は代表なども視野に入れているんですか?

昨シーズンは多くの試合に出ることが出来ましたが、今シーズンはまだどうなるか分からないので、まずは自分のポジションを勝ち取らなければいけないということを第一に考えています。

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今後、代表に選ばれれば、ひとつの夢が叶うことになりますが、そこに対してのアプローチとしては、自分のポジションを勝ち取るとか、目の前のことに対して日々努力することで繋がっていく結果だと思っています。なので、代表のことなどは、意識しないようにしています。

――オーストラリア代表の可能性もあれば、日本代表という可能性もありますよね?

いま日本にいるので、オーストラリア代表に選ばれることは難しいと思います。オーストラリア代表として、オーストラリアにいる選手を成長させたいという考えがあることも理解しています。日本に長いこといることになれば、日本代表という選択肢もあると思います。

――ファンには、自分のどこに注目してもらいたいですか?

正直に言うと、フォワードなので、ファンを楽しませるよりも、みんながやりたくないところで努力して、バックスの選手がファンを楽しませてくれればいいと思っています。みんなが嫌がるようなところで頑張っていると思ってもらえればと思います(笑)。

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インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:樋野ジェシー興太郎/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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