SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2021年9月24日

#764 仁熊 秀斗 『日の丸を背負って戦ってみたい』

明るく優しそうな雰囲気の仁熊秀斗選手。話しているうちに、内に秘めた闘志が徐々に顔を出しきて、期待感にあふれるインタビューとなりました。(取材日:2021年8月下旬)

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◆周りを助けるプレー

――2021年4月入社、1年目のシーズンを振り返るとどうでしたか?

個人的なこととしては、トップリーグの試合には出られなかったので、課題が見つかったシーズンだったと思います。チームとしては、優勝できなかったので、新しいリーグに向けて良い課題が見つかったことと、今まで以上に練習に対して泥臭くやっていかないと優勝できないと、全員が感じたと思うので、そこを改善していかなければいけないと思いました。

――試合に出られない時の気持ちはどんなものでしたか?

毎回のメンバー発表で自分の名前が無いことに悔しい思いをしていました。試合で使ってもらえるように練習の中でもっとアピールしていかないと、試合のメンバーに自分の名前は入らないと感じたので、練習や練習試合でもっともっとやっていかなければいけないと思います。

――練習試合の出来はどうでしたか?

徐々にパフォーマンスが上がってきて、トライを取ることが出来ました。満足はしていませんが、自分の中でサンゴリアスの一員として練習試合を戦えたと思います。ただ、良かった部分も悪かった部分もあり、あのパフォーマンスでは公式戦では使ってもらえないなと感じたので、トップの試合でも通用するプレーをしなければいけないと思いました。

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――実際にサンゴリアスに入って、大学と社会人の違いは感じましたか?

チームとしては全員のレベルが高いので、自分を活かしてくれるプレー、助けてくれるプレーがあるんですが、それに頼るのではなく、自分のプレーをして周りを助けるプレーをしなければいけないと思います。
個人としては、大学と社会人ではコンタクトの違いがありますし、身体の大きさも全然違うので、そこに最初は違いを感じたんですが、サンゴリアスの一員として練習をやっていくことで慣れて、その後のパフォーマンスにも繋がったと思います。
サンゴリアスでレギュラーとして試合に出ることが日本代表への近道だと思っていますし、個人としても絶対にレベルアップ出来るチームだと思っているので、まずはサンゴリアスで試合に出ることを目標に頑張りたいと思っています。

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◆目指せるところまで目指したい

――日本代表にはどんな想いがありますか?

小さい頃からの夢でもありますし、ラグビーをしている全員が目指すべき場所だと思っています。サンゴリアスのウイングから日本代表のウイングが選ばれていることもありますし、自分としてもサンゴリアスで活躍して、日本代表に呼ばれることを目指しています。

――何歳くらいからその夢を持っていたんですか?

最初の頃はなりたいというよりはカッコいいなと思っていて、2011年のラグビーワールドカップでニュージーランドに日本代表が大敗したんですが、その試合を観て、自分も日の丸を背負って戦ってみたいと思いました。これまでラグビーをやってきてここまで来られたので、目指せるところまで目指したいと思っています。

――子どもの頃、ラグビーのどこがカッコいいと思いましたか?

身体の大きい相手に対して、激しくぶつかるところや最後まで諦めないプレーをしているところ、ウイングの選手が相手を抜くところがカッコよかったです。

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――当時から足は速かったんですね

遅い方ではなかったですね。飛び抜けて速いわけではなかったんですが、負けることが嫌だったので、小学生の頃は毎朝走っていました。6時から7時までと時間を決めて、その中で持久力系や瞬発力系を混ぜながら走っていました。家の周りに坂道が多かったので、坂道ダッシュしたり、階段を上り下りしたりしていましたね。

――ラグビーをやっていくと決めたのは?

負けず嫌いなところもありますし、人よりも派手なプレーもしたいですし、いちばんはラグビーが好きで、その好きなことで誰にも負けなくないという思いでずっとやってきました。身体が小さい、大きいに関係なく、自分は自分のプレーで工夫をしながらトライを取るということを、ずっと考えながらやってきました。身体の小さい選手は小さいなりにどうやったらトライが取れるのかと頭を使ってやるとトライが取れたりするので、ラグビーを見て、学んで、考えるということもラグビーの面白さのひとつだと思っています。

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◆ハイボールキャッチを武器にする

――いまの課題は?

バックスリーに求められることのひとつとしてハイボールキャッチがあると思うので、ハイボールキャッチを武器にするということと、もっとスピードを上げることを課題として取り組んでいます。
ハイボールキャッチについては、練習試合ではあまり機会がありませんでしたが、上位チームの戦い方を見ているとハイボールが蹴られる回数やサンゴリアスとしてもハイボールを蹴る回数が多いので、そういうところで安定したキャッチが出来る選手が求められると思います。相手を分析した時に、ハイボールを蹴る回数が多い相手に対して、ハイボールに弱い選手は選ばれないと思うので、ハイボールキャッチのスキルは必須だと思います。
スピードについては、あるに越したことは無いと思いますし、筑波大学の先輩である福岡堅樹さんみたいにスピードがあるだけで全然違ってくると思うので、そこを目指して頑張りたいと思っています。

――ハイボールキャッチのポイントはどこだと思いますか?

ハイボールキャッチをする時にはボールだけを見るようにしています。相手を見たり、どうしようと考えてしまうとボールを落とすので、無になってボールだけを追いかけるようにしています。ボールだけは絶対に離さないと考えてやっています。

――そこを含めて、自分の強みはどこだと思いますか?

スピードは遅い方ではないと思いますし、ステップも悪くはないと思うので、それは自分の武器だと思っています。「こういうプレーの後に、ここのスペースが空く」というようなことを考えたり、常に考えながらプレーをしています。自分が抜いていくだけじゃなく、周りの人に使ってもらうようなプレーも武器だと思っています。

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◆試合になると燃える

――ホームページのプロフィールの子どもの頃の憧れという項目に、トニー・ブラウンと書いていますね

小学生の時に岡山で、三洋電機(現 埼玉パナソニックワイルドナイツ)の試合があって、試合前にミニボールを客席に投げてくれるファンサービスがありました。その時にめちゃくちゃ叫んでいたらトニー・ブラウンが僕に投げてくれたので、それで好きになりました(笑)。たまたまボールをもらってから、プレーヤーとして素晴らしい選手であることを知っていきました。

――自分の性格はどんな性格だと思いますか?

落ち着いているように見えるかもしれませんが、負けず嫌いなので、例えばタックルを外されたりしたら、その後に何回もタックルに行ってしまいますね(笑)。あとは普段と試合の時は、やっぱりスイッチが切り替わります。
高校の時に練習試合をしていて、気が付いたらめちゃくちゃタックルに行っていたとか、がむしゃらにプレーしている時期があって、それから大学に入っても試合になると燃えるというか、負けたくないという感情が大きくなりますね。

――そういう面からも対人スポーツの方が合っていると思いますか?

そうですね。部活じゃないんですが、小学生の時に市が主催する大会とかで、陸上の100m走とか、水泳の50m自由形に出たことがあるんですが、陸上は3位で水泳は4位くらいで、あまり燃えなかったですね(笑)。

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◆80を100にする

――小学生の時に感じたラグビーの魅力と、いま感じるラグビーの魅力を教えてください

小学生の時に感じていたのは、色々なエリアから色々な人が集まってきていたので、友達が増えてワイワイ出来るし、試合の時には一生懸命やるという感じで、そこに楽しさを感じていました。
今はどれだけ自分が良いプレーができるか、見ている人に「カッコいい」「ラグビーって素晴らしい」って思ってもらえるようなプレーをすることが楽しさになっています。あとは自分自身で成長を感じる場面があるので、そういうところがやっていて楽しいですし魅力ですね。

客観的に見た時のラグビーの魅力としては、他のチームがどうかは分かりませんが、サンゴリアスは外国人選手が多い中でもファミリー感が強いというか、お互いが尊敬し合ってチームのために、助け合いながら切磋琢磨しているところが強い秘訣なのかなと感じます。

――先ほどスピードを上げることを課題とのことでしたが、目指すところを100としたら、今はどの程度まで来ていますか?

80くらいです。80を100にすることが結構大変です。そこをかなりイメージしてトレーニングしています。出来なければ、サンゴリアスにいる意味、ラグビーをやる意味がないと思いますし、弱いまま勝負できるほど甘い世界ではないので、自分の武器を増やして勝負していくことが大事だと思っています。

――新シーズンでの目標は何ですか?

開幕戦を11番で出ることです。あ、やっぱり、11番か14番でも良いですか(笑)?その自信はあるので、その目標を達成できるように頑張っています。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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