2021年5月21日
#747 ショーン マクマーン 『容赦なくフィジカルに戦う』
壁があっても常に突き進むショーン・マクマーン選手。まだ26歳ながら、チームの中で最も頼りになるひとりであるマクマーン選手に、決勝に向けての心構えを聞きました。(取材日:2021年5月中旬)
◆1%のところで差が出てくる
――随所に好プレーがありましたが、プレーオフ準決勝の手応えは?
クボタはフィジカルの強いチームなので、プレッシャーがかかる状況になることは想定していました。あと3週間振りの試合ということもありましたが、フィジカルな試合をしっかりと出来ました。その上で決勝を迎えることが出来て、とても楽しみです。
――試合の最初から最後までパワフルなプレーを続けていましたね
私としては、決勝のことは考えずに、準決勝のことだけにしっかりとフォーカスして戦いました。メンバーの23人、スタッフとノンメンバーを含めて、ベストパフォーマンスを発揮できるよう準決勝に集中できたと思います。
――集中する中でいちばん大切にしたところはどこですか?
個人的には1%くらいのところで差が出てくると思っていました。例えば、チェイスで誰かがサボってしまったりすると、そういう細かいところが結果に繋がってくると考えていたので、自分の役割のところ、110%のベストを尽くすということにしっかりとフォーカスしてプレーしていました。あと、チームとして自分たちにしっかりとフォーカスを当てて、自分たちがどういうラグビーをするのか、というところにフォーカスした上でプレーしていました。
――チームの一員としてクボタ戦ではその役割を果たせたと思いますか?
そうですね。チームでやることとして、自分たちのラグビー、自分たちが何をするかというところにしっかりとフォーカスしようという話をしていて、そこに関しては良いプレーが出来たと感じているので、そういった目標は達成できたかなと思います。
◆1%や10%のところで遂行
――今シーズンは第4節からメンバーに入り、そこからずっと調子が良くて、トライも多く取っていますね
トライがいくつか取れているということはハッピーなことですが、自分としてはトライはチームとしての結果の一部だと考えているので、自分のパフォーマンスでチームに貢献して、チームとして勝利できるようにするというところにフォーカスしています。トライを取るチャンスがあれば、それもチームへの貢献になると思っています。
――今シーズン良くなったと自分自身で手応えを感じているところは?
フランカーとナンバーエイトでプレーしていて、ボールキャリーのところを自分の強みとしてプレーしていますし、1試合の中で1回や2回は必ずターンオーバーしたいと思ってプレーしています。あと、コーチと一緒に自分の新しいスキル、パスやオフロードのスキルを磨いてプレー出来ていると思います。
――パスやオフロードについては今、目指すところのどの辺りまで出来ていますか?
パスやオフロードは上手くなってきていても、もっともっと上手くなるポテンシャルがあると思ってプレーしています。オフロードで言うと、相手のウィークショルダーを狙って、良いラインで抜けた後にオフロードで繋げられたら、チームにとってはチャンスになるケースがたくさんあるので、そういった意味でも1%や10%のところで自分がしっかりとスキルを遂行できれば、チームとしては良い結果に繋がると思っています。
◆子どもたちのお手本になりたい
――昨シーズンはサム・ケレビ選手、今シーズンはボーデン・バレット選手と、世界的な選手が加入したことによって影響を受けていることはありますか?
ケレビ選手もバレット選手もそうなんですが、オンフィールドでもオフフィールドでも、チームに対しての貢献度が高い選手だと思っています。2人ともリーダータイプですし、特にバレット選手に関しては、スキルやナレッジの部分でチームのプラスになることを共有してくれているので、そういうところで本当に学ぶことは多いですね。
――そういう刺激を受けながら、マクマーン選手自身は、再びオーストラリア代表への想いについては?
今は目の前のことに集中をしているので、本当に決勝のことしか考えていません。サンゴリアスとして優勝することにフォーカスしてプレーをしているので、本当に来週のことも考えていないですし、その先どうなるかということも全く考えていません。とにかく今週末にフォーカスしています。
――ご家族は増えましたか?
イエス!2人目の息子が生まれて5ヶ月になり、長男は3歳になりました。自分の人生観を変えると感じています。自分がラグビーをする目的だったり、子どもたちのお手本になりたいという想いが強くなりました。新しい家族が増えたことで、自分が何のためにラグビーをしているかというところは影響を受けていると思います。
――何のためにラグビーをしているのですか?
まずはラグビーが好きというところもあるんですが、家族のためにという想いがより強くなったので、家族をサポートするため、家族の将来のためにプレーするという割合が多くなっています。あと一緒にプレーするチームメイトやスタッフ、そこに関わる人たちとの友情や繋がりというものは、普段の生活の中ではなかなか得られるものではないので、大切なものだと感じています。
◆チャンスを楽しむ
――決勝に向けて、いちばん大切だと思っていることは何ですか?
ひとつだけフォーカスするポイントを挙げることは出来ませんが、準決勝で上手くいったポイントで言うと、自分たちにしっかりとフォーカスを当ててプレーして、各選手が役割にフォーカスしてプレー出来たことが良い結果を生んだので、決勝でもそこが大事だと思います。
あとは、試合では容赦なくフィジカルに戦うことが重要で、その上で一体感を持ってエキサイトして試合を楽しむということも重要だと思います。決勝で日本一をかけて戦うということは、誰もが得られるチャンスではないので、そのチャンスを楽しむということは重要になると思います。
――日本一になる自信は?
昨年の8月から長い時間をかけて、コーチたちもとても良い準備をしてくれましたし、自分としてもシーズンを通して良い状態に仕上がってきていると感じているので、当然自分自身も信じていますし、チームとして後はやるだけだと思います。しっかりと良い結果を残せるように戦いたいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:山口祐二/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]