2021年3月26日
#739 テビタ タタフ 『最後の笛までプレーしたい』
フィールドでの勢い、そして成長の勢い、どちらも誰にも止められないのではと思わせてくれる今シーズンのテビタ・タタフ選手。覚醒した感のあるタタフ選手に、その変化の根源を聞いてみました。(取材日:2021年3月下旬)
◆まずチームのことを考えて行動する
――今シーズン、調子が良いですね
調子が良いと思います。しっかりとチームのことを考えて、トレーニングをしているからだと思います。スローガンである「WE before ME」を体現できていると思います。
――これまでと変えたところはありますか?
そうですね。チームのことを先に考えるようになりました。また桜のジャージ(日本代表)を着たいと思っているので、チームのことを考えて良いパフォーマンスを出せるようにしています。あと、優勝したいですね。そして日本代表に入りたいです。チームとして日本一になることを考えて取り組むことで、自分自身の成長に繋がりますし、それが日本代表に繋がると思っています。
――チームのことを先に考えるようになって良くなったんですね
まずチームのことを考えると、もっと良い方向に進むと思いました。それを実践したら本当に良い方向に行ったので、今に繋がっています。チームメイトや周りの人のことも考えられるようになったので、オフの時にも良い影響が出ています。以前は、周りが見えなかったんです。例えば私生活でも、家で大きな音で音楽を聴いてしまって、周りの人に迷惑をかけたこともありました。
日本に来てもうすぐ10年、それによって日本の生活に慣れた部分もありますし、その間、色々な人からがアドバイスしてくれたおかげだと思います。中でも啓希さん(宮本主務/タタフ選手をスカウティング)は、オフ・ザ・フィールドのこと、オン・ザ・フィールドのこと、両方をアドバイスをしてくれます。まずチームのことを考えて行動することをアドバイスしてくれたから、良いパフォーマンスに繋がったと思います。
◆体力がつき、メンタルも強くなった
――今シーズン、3試合に出場して5トライを獲っていますね(第4節終了時点)
試合に出たらトライを獲りたいけれど、獲れなければアンラッキーと思っています。
――トライが増えた要因は?
ボールキャリーのところで、大きくゲインした時にはそのままトライを獲りたいと思うんですけど、チームプレーを考えてプレーしています。あと、自分としてはフィジカルプレーで負けないことを考えて実践しているところが、その結果に繋がっていると思います。
――かなり鍛えましたか?
そうですね。スピードトレーニングは特にやっていませんが、フィジカルバトルのところはかなり鍛えました。
――どんなトレーニングをしたんですか?
シーズンオフ中は、ZUU(ズー)という動物の動きをベースにしたトレーニングをたくさんやりました。シーズンオフには結構太ってしまっていたのですが、ZUUをやってかなり体が絞れました。
――他に何か新しいトレーニングは?
シーズンオフにトレーニングをたくさんやりましたが、それ以外とくに新しいことはやっていません。ただZUUをたくさんやったことで、体力がつきましたし、メンタルも強くなったと思います。
◆フィットネスをレベルアップさせる
――もともとメンタルは強い方ですか?
あまり強くないです(笑)。ZUUをやったことで、他のトレーニングでも最後まで気持ちを強く持って、やり遂げられるようになりました。
――優しい性格だと思いますが、試合の時にはどうメンタル・チェンジをしているんですか?
試合前の準備の時には、しっかり80分間戦う気持ちで準備して、試合が終わったらみんなとフレンドリーになります。自分で切り替えるようにしています。
――もっと良くしたいところは?
ボールを持っていない時に、もっと動けるようになりたいです。そのために相手ディフェンスの動きを予測してプレーするということを、練習から意識して取り組んでいます。あまり時間がかからずに出来るようになると思うので、どんどんレベルアップしたいです。
――今の姿と目指している姿を比較して、どのくらいまで来ていますか?
80%くらいだと思います。ただ、まだまだやることはいっぱいあります。いま80分間プレーしていますが、フィットネスが足りないと思うので、もっとレベルアップが必要だと思います。フィットネスをレベルアップさせるために、いっぱい走って、試合で80分間走れるようにトレーニングしています。
あとはディフェンスのところで、少しペナルティーが多くなってきたので、そこは無くしていきたいです。タックルのスキルがレベルアップしたら、試合で危険なタックルをすることが無くなると思うので、そうしていきたいですね。
◆もっと頑張れ、もっとトライを獲れ
――10人きょうだいの一番上ですが、弟たちも大きくてラグビーをやっているんですか?
僕みたいに大きくないですし、ラグビーはやっていないです。いちばん下がまだ5歳なので、僕とは20歳違いますね。
――ご両親は応援してくれていますか?
親はトンガにいて、「もっと頑張れ」って言っています(笑)。「もっとトライを獲れ」と言われます。
――第4節東芝戦では3トライ獲りましたね
自分自身も嬉しかったですし、両親も喜んでいました。コロナウイルスがなければ、応援しに日本に来てくれると思います。あと、フランスワールドカップにも連れて行きたいですね。
――ニックネームは何ですか?
家ではティーと呼ばれていました。サンゴリアスではテビと呼ばれます。
◆元気モリモリで練習する
――サンゴリアスには世界のトップ選手が入ってきていますが、彼らからどの様なことを学んでいますか?
オフの時にはしっかりとリラックスして、練習の時は元気モリモリで練習するということです。今チームは、めちゃくちゃ雰囲気が良いです。世界で活躍する選手たちを見ると、もっともっと上のレベルに行きたいと思いますし、スキルもみんなと同じくらいのレベルでプレーしたいと思います。
――いまラグビーをやっていて、どこが面白いですか?
80分間試合に出ることです。達成感があります。これからも先発フル出場を目指したいですね。ナンバーエイトで、最後の笛までプレーしたいと思っています。
――今シーズンの目標は?
80分間プレーして優勝して、アピールして日本代表に入ることです。そして、2023年のフランス・ワールドカップに出たいですね。
――サンゴリアスのファンにどういったところを見てもらいたいですか?
ボールを持った時ですね。そしてどんどんゲインするところを見て欲しいです。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]