2021年3月 5日
#736 塚本 健太 『速く、強く、上手く、正確に』
開幕2戦目ではほぼ3/4をフルバック、そして残り1/4をウイングとしてフル出場した塚本健太選手。インタビュー中、喋った後に笑顔が出ることが多く、ポジティブに前に向かって突き進んでいる印象を受けました。(取材日:2021年3月上旬)
◆思いっきりプレー出来た
――第2節ホンダ戦はフル出場を果たしましたが、どうでしたか?
久しぶりにトップリーグでのスタメンだったので、かなり緊張しました。ただ、ずっと準備はしていたので、そんなに不安はなく思いっきりプレー出来たと思います。
――良い緊張でしたか?
そうですね。変にガチガチになるということはなく、良い緊張でした。
――自分がイメージしていたことは出せましたか?
全体練習とは別に週1回はタックルの練習をしていましたし、それを試合で出せたかなと思います。あと強みのランについては、コロナの状況になる前までは良い感じで出来ていたんですが、オフに入ってからはずっと調子が戻らないような感覚があったんです。まだ良くはないですが、練習試合の2試合に比べればちょっとずつ良くなってきています。ボールキャリーという部分で練習試合では全然ダメだったので、そこは意識して試合に臨みました。
――どのポジションも競争が激しいと思いますが、ホンダ戦ではフルバックで出場し、後半途中からウイングでプレーしましたね
ほぼバックスリーの選手がいなくて、リザーブに中野(将伍)が入り、第1節の三菱重工戦でもリザーブには梶村が入って、ウイングを本職にしている選手が入っていなかったので、僕としては複数のポジションが出来るところを見せていかないと、メンバーに選ばれることが厳しいのかなと思って臨んでいます。
――ホンダ戦では両ポジションでの良いところを見せられましたか?
ウイングとしてのプレーは短かったので特に何も出来ていないですけど(笑)、ずっとやっていたポジションでしたし、監督やコーチたちも出来ることは分かってくれていると思うので、そこで合うか合わないかを見られていたんじゃないのかなと思います。
――合格点はもらえましたか?
いやー、そこは分からないです(笑)。
――第1節と第2節ではガラリとメンバーが変わっていましたね
今後、上位のチームと当たることになったりプレーオフになった時に、誰を使うかというところを見られていたと思います。自分としては、まだまだ満足できるような出来じゃなかったですね。
◆練習したことがそのまま試合で出る
――出来た部分と課題は?
ディフェンスでのタックルについては良いところを見せられたと思いますし、ボールキャリーの部分も多少はゲイン出来たと思います。そこで強さはまだ見せられていませんが、前よりは良くなっています。あとはトライを取るとか、ラインブレイクなどをしていかないといけないと思っています。
――トライやラインブレイクをするためには、何をポイントにしていきますか?
スペースを見るのはもちろんなんですけど、周りとのコミュニケーションで、僕が欲しいタイミングでボールをもらうとか、そういうことをもっと周りに要求していかなければいけないと思います。
――コミュニケーションには周りを活かすものと、自分を活かすものとがあると思いますが、その辺りについてはどうでしたか?
ディフェンスについてはコントロールすることを意識しているんですが、アタックではまだ周りをコントロール出来ていないのかなと思います。
――タックルで練習の成果が出たということは、タックルが好きになりましたか?
いやー、嫌いではないですよ(笑)。やっぱり自信にはなりましたね。元々嫌いではなかったんですけど、大得意ではなかったんですよ。
――手応えを掴んだ感じですか?
それはありましたね。練習したことがそのまま試合で出るんだなと思いましたね。
◆深呼吸をする
――今シーズンはこれからも試合に出続けられそうですか?
いや、そんなことは無いと思います。そんな感覚はありませんが、出続けられるようにならないといけないですね。
――前半、とても悔しそうな表情を浮かべているシーンがありましたが、その後はすぐに切り替えていましたね
僕はずっとミスを引きずるところがあったんですが、切り替えるために呼吸を意識するようにしています。普段からやっているんですけど、頭を冷静にさせるために深呼吸をするようにしています。マイナスのイメージを持ってしまった時に、切り替えるためのスイッチとしてやっていました。
――どのようにやっているんですか?
みんなで円陣などを組んだ時に、掛け声に合わせて深呼吸をして、それを2回くらい繰り返します。チームでミスが続いた時とか、流れが悪い時などに、一度みんなで集まって深呼吸をするようにしています。それで自分がミスをした時にも、個人的に深呼吸をすることで切り替えています。
――ホンダ戦では何回くらい深呼吸をしましたか?
先ほど言った前半のボールを落としたときの1回と、あとはチームで3回くらいやったと思います。あと、トライを取った後とかもやっています。
◆やっぱり試合は楽しい
――競争が激しいと思いますが、楽しめている部分はどこですか?
やっていて楽しいですし、やっぱり試合は楽しいですね。世界のトップ選手がいるからとか、そういうところは意識していなくて、チームの雰囲気が良くて楽しく感じているんだと思います。そういう選手たちが加わることで、より良い雰囲気になっているということはあるかもしれないですね。
――試合のどこが楽しいですか?
どこですかね(笑)。気が抜けないですし、こうなったらこうプレーするとか常に考えていますし、そのために周りとコミュニケーションを取ったりしないとダメなので、大変と言えば大変なんですけど、それで良いプレーに繋がったり、準備していたことが出来たりすることが、楽しいのかもしれないですね。
――ポジションとしては、フルバックで勝負していくんですか?
ポジションへのこだわりは特には無いですけど、フルバックはやっていて面白いですね。キックもパスもランも使いますし、色々なプレーが出来て、ウイングでもそういうプレーは出来るんですけど、フルバックの方がその機会が多いですね。
――元々器用なんですか?
いや、今もそんなに器用じゃないですよ(笑)。ただロングキックは比較的得意なのかなとは思います。
――色々なプレーが出来れば出来るほど、幸せ感がありますか?
それはありますね。もっと上手くやりたいという気持ちがあります。
◆ハードワーク
――マインド的な課題は解決しましたか?
前ほどネガティブになったりすることは無いですね。
――昨年の夏に30歳になりましたが、身体的には30歳になっても変わりませんか?
あまり実感はないですね。もっと速くとか、そういう意識はしていますが、伸びているかは自分では分からないですね。
――何をいちばん意識していますか?
速くとか、強くとか、上手くとか、正確にとか、もう全部ですね。
――理想とする姿と比べて、どのくらいまで来ていると思いますか?
どうですかねー、50%くらいですかね。まだまだ成長したいですね。
――これから大切になってくるところはどこだと思いますか?
ハードワークとか、自分自身を追い込むことを止めてしまうと、どんどん弱くなっていってしまう気がするので、ハードワークすることは今後も続けていきたいと思っています。
僕がサントリーに入った時には人よりもハードワークする、そういうことがチームで言われていました。ウエイトでも追い込まないと強くならないと思いますし、ハードワークすることが大事かなと思います。
――ハードワークをしたからこそ感じる楽しさがあるわけですね
そうですね。そこで上手くいけば更に楽しさがあると思います。ハードワーク自体は嫌いですけど、その先にあるものが好きってことですね(笑)。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]