2021年2月19日
#734 テビタ リー 『日本代表でプレーしたい』
出場した試合ではトライを取ることが当たり前のように求められ、またそれを実践しているテビタ・リー選手。唯一トライを取ることが出来なかった試合でのプレーから得たものは?いよいよ始まる新シーズンそしてラグビーに対する想いを聞きました。(取材日:2021年2月上旬)
◆チームに貢献できるようにトライを積み重ねていく
――髪が短くなっていますが、何か心境の変化がありましたか?
昨シーズンまでは髪を切るところが決まっていなかったので、髪を伸ばしていたんです(笑)。今シーズンは自分で切るようにしていて、この様になっています。これまでずっと髪を短くしていたので、昨シーズンが特別でした。日本の生活に慣れてきたので、髪も以前に戻りました。
――昨シーズンから日本でプレーして、日本のラグビーに対してはどんな印象を持っていますか?
気温は少し寒いと感じますけど、サントリーのラグビースタイルを楽しめています。トップリーグは非常に激しいコンペティションだと感じていますし、海外の素晴らしい選手も入ってきているので、対戦するチームはどこも強豪だと思ってプレーしています。
――昨シーズンはトップリーグで5試合に出場して6トライをあげましたね
トライをしたシーンを見てもらえると分かりますが、みんなが繋いでくれて最後にトライをしたという形が多かったと思います。チームの努力の結果がトライと思うので、チェーンの最後に私がいて、その役割を果たせたと思っています。
昨シーズンの神戸製鋼戦では、ノックオンをしてしまいトライ出来なかったシーンがありましたが、あれは自分自身でもかなり失望したので、やはりしっかりとチームに貢献できるようにトライを積み重ねていくことを意識してプレーしています。
――神戸製鋼戦の次のNEC戦ではハットトリックをしていましたが、気持ちの切り替えはすぐに出来る方ですか?
ああいうプレーをしてしまったので、自分でも引きずってしまうかと思いましたが、次の試合にもメンバーに選んでもらえたので、そこからは次のNEC戦でしっかりとパフォーマンスを発揮するということにフォーカスして、プレー出来たと思います。
◆2位になるのが嫌だった
――ホームページのプロフィールで、自分の性格を"ひょうきんもの"と書いていますが、このインタビューではすごく真面目な顔をしていますね
マスクのせいだと思います(笑)。
――人柄やプレーぶりから、元気が溢れんばかりの印象を受けますが、子どもの頃からそうだったんですか?
たくさんの兄弟に恵まれたということもありますし、いとこも含めて、よく一緒にスポーツをやっていて、アウトドアも好きで、よくスポーツをしながら遊んでいました。ニュージーランドは小さい頃から色々なスポーツが出来る環境があるので、ラグビー、ラグビーリーグ、タッチラグビー、バレーボール、クリケットなどをプレーしていました。高校を卒業してからは、ラグビーだけに向き合って、そこでキャリアを築いていけるような努力をしてきました。ただ、子どもの頃はラグビーが得意だという意識はなくて、ただ楽しむためにラグビーをしていたという感じでしたね。
――兄弟は何人ですか?
兄が3人いて、妹が1人います。兄たちにはとても可愛がってもらいました。
――子どもの頃から足は速かったんですか?
小学生くらいまでは、かけっこ競争をすると、だいたい1位だったんですが、それ以降は100m走などをすると負けそうになることもあって、あまり100m走には参加しませんでした。2位になるのが嫌だったので。だから、抜群に足が速いとは思っていませんでした。
◆ツイタヴァキがこうなりたいと憧れた選手
――ラグビーに本気で向き合うようになったきっかけは何ですか?
高校最後の学年の時にブルーズから声を掛けてもらい、ブルーズの試合でデビューすることも決まりました。高校を卒業した後の具体的な話もその後に来て、そこから真剣に考えるようになりました。
――ラグビーでいちばん楽しかったことは何ですか?
私が通っていた高校にも憧れるような選手たちがたくさんいて、友人たちと一緒にプレー出来るところがラグビーが好きだったところです。アンソニー・ツイタヴァキという選手がいるんですが、こうなりたいと憧れた選手でした。彼がプレーしたマッセー大学、ノースハーバー、オールブラックス、そしてブルーズでもプレーしていて、そのチームが自分がプレーしたいと思ったチームでしたし、出身地も同じで、憧れて追いかけていましたね。
――どういうところが好きだったんですか?
特にハンドオフが素晴らしくて、自分としてもそういうスキルを身につけたいと思っていました。
――今はそういうスキルを身につけられていますか?
そこは常に改善できる部分だと思っているので、今も取り組んでします。
◆リベンジするという強い想い
――日本でプレーしようと思ったのはなぜですか?
サントリーサンゴリアスは歴史あるクラブですし、私が以前ワールドⅩⅤ(世界選抜)として1週間だけ日本に来たことがあって、その時に良い経験が出来て、日本人が好きになりました。あとサントリーには経験ある選手が集まっているということ、日本を代表してプレーしている選手が多いということにも惹かれました。
また日本に来る大きなモチベーションとしては、自分の家族、パートナー、娘というところもあります。コロナの影響で一緒に過ごせてないということはありますが、今シーズンは絶対に優勝したいですし、その準備をしっかりとしてきます。神戸製鋼にリベンジするという強い想いを持って取り組んでいます。
――いま考えるラグビーの魅力は何ですか?
サントリーのスタイルでもありますが、アタッキングラグビーに魅力を感じています。自分としても多くのオプションがあるので、そこが魅力ですね。
◆ディフェンスと日本語
――まだ25歳でこれから多くの可能性があると思いますが、これからどんなことをやってみたいと思っていますか?
出来る限り長くサントリーでプレーしたいという想いと、日本代表でプレーしたいという想いもありますね。次のワールドカップ(2023年)ではまだその資格がないので、更にその次のワールドカップ(2027年)を目指しています。
――自分自身の課題は何だと思いますか?
本当に取り組まなければいけない部分として考えていることは、ディフェンスの部分です。あと日本語を流暢に話せるようになりたいので、日本語の能力も身につけたいと思っています。
――いま話せる日本語は何ですか?
レストランなどで注文をすることは、日本語で出来ていると思います。今はそれが自分の中で話せる日本語のいちばん高いレベルです。
――プロフィールには、日本食は好きだけれど食べたことのないものを食べることが苦手と書かれていますね
日本の新しい料理にもチャレンジしています。別府で合宿を行いましたが、その時の食事に刺身や馬刺しが出て来ました。両方とも食べたんですが、とても美味しかったです。ひとりでチャレンジすることには躊躇してしまいますが、仲間たちがチャレンジしたり食べているところを見ると、自分もチャレンジしようと思いますね。
――ファンに向けて日本語でメッセージをお願いします
日本語で!?日本語は難しいです(笑)。日本語で話せるようになったら、いつもサポートをしてくれてありがとうございます、ということを伝えたいですね。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:山口祐二/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]