2021年2月12日
#733 ジョー ラタ 『このチームに貢献したい』
大きくて、明るくて、落ち着いているジョー・ラタ選手。サンゴリアスでどんなことがしたいのか、将来にどんなイメージを描いているのか、延期となった開幕が近づいてくる中で聞いてみました。(取材日:2021年2月上旬)
◆日本での生活は素晴らしい経験
――ジョー・ラタという名前はフルネームですか?
ジョセフ・ジェームズ・ラタがフルネームです。
――このコロナ禍の状況は初めてのことだと思いますが、どう過ごして、どんなことを感じていますか?
妻と子どもと一緒に過ごせているということが、まだ救われている部分だと感じています。なので、出来るだけ静かな公園などに行ったりしています。日本の冬はそれほど寒くないので、外に出て歩いたり、トレーニングも出来ていて、あまり不便を感じていません。
――ニュージーランドと比べて日本の印象はどうですか?
私が住んでいたニュージーランドの地域よりも日本の方が温かいですし、日本での生活も快適で、人も素晴らしいと感じています。あと、今はコロナであまり外出したりすることは出来ませんが、東京という街も好きですし、チームの選手やスタッフなど素晴らしい人たちに支えられているので、すごく良い生活をしています。
私は農場で育ったというバックグラウンドがあるので、東京という街だけで言うと、ニュージーランドとの違いはありますが、山があったり綺麗な湖があったり、似ている部分はあると感じています。なので、これまでの日本での生活は素晴らしい経験になっていますし、快適に生活できています。
――子どもの頃は農家に憧れていたとプロフィールに書いてありますが、今でもそうですか?
私も妻もアウトドアの生活が好きなので、いずれニュージーランドに帰国するタイミングでは、都会の少し近くに農場を持って、都会と田舎のちょうど中間くらいの生活が出来るようになれば良いなと考えています。
◆日本でプレーすることがいちばん自分に合っている
――日本で2シーズン目となりますが、日本でプレーしようと思ったきっかけは?
日本に来る前にイングランドでプレーしていましたが、そのチームでジョージ・スミスがプレーしていたこともあり、その関係性から推薦をしてもらって、サントリーでプレーするチャンスを得ることが出来ました。自分と繋がりのある外国人選手たちからも、日本でプレーすることはとても良い経験になると聞いていたので、日本に来るということがモチベーションになっていました。
――海外でプレーすることは問題ありませんか?
ニュージーランド、イングランド、日本でプレーしてきましたが、イングランドは非常にシーズンが長くて、フィジカリティ―も要求されますし、メンタル的にも大変でした。振り返ってみても、日本でプレーすることがいちばん自分に合っていると思いますし、国としても好きですね。シーズンの長さやストラクチャーなども含め、自分に合っていると思います。
――ラグビーを始めたきっかけは?
父親がオタゴでラグビーをしていたこともあり、ラグビーファミリーの中で育ったこともあると思います。自然とラグビーを始めるようになって、15歳くらいまでは楽しくてやっていましたが、その頃からその世代の代表などにも選ばれるようになってきて、プロとしてやっていけるんじゃないかと思い始めました。
――ラグビーのいちばん楽しいところはどこだったんですか?
小さい頃は自分のエネルギーを発散させているようなイメージでした。グラウンドでタックルしたり、ボールを持って相手に当たったりして、エネルギーを発散させることを楽しく感じていました。大人になってくると、自分がより良いプレーをすることに気持ち良さを感じるようになって、ラインアウトなど細かいプレーでも良いプレーが出来た時に楽しさを感じています。
――具体的に、より良いプレーとは?
私としては特にラインアウトのところが力を発揮できる部分だと思うので、コーチたちと一緒に考えて、例えばセットとかモールとか、戦術が上手くはまって、トライを取る、トライに繋がる、大きくゲインするとか、そういうプレーが出来た時には良いプレーだと感じます。
――良いプレーが出来るコツはありますか?
全員が同じ絵を見ていないと遂行できないことで、振り付けのようなイメージです。全員の動きを合わせてやらなければいけない部分があるので、それが上手くいけば良い結果がついてくると思っています。
◆妻と息子と過ごす時間が長く取れている
――小さい頃から背は高かったんですか?
小さい頃から高くて、14歳くらいで今くらいの身長になりました。なので、ずっとロックをやっていますし、高校の頃は髪が長かったので目立っていました(笑)。
――お父さんも背が高いんですか?
父親はプロップで、1番でプレーしていました。でも背は低くはないですし、母親も背が高い方だったので、両親の影響だと思います。
――背が高いということは、自分の好きなところでもありますか?
身長が高いことは気に入っていますし、女性は背が高い人が好きだと思うので(笑)。
――では、ラタ選手の奥さんは、背が高いところを好きになったんですね
YES(笑)!息子も背が高くなることを願っています。
――子どもにもラグビーで同じポジションをやって欲しいですか?
まだ11ヶ月なので、まだラグビーをやって欲しいという想いは無くて、息子がやりたいということを応援したいと思っています。初めての子どもで、妻と息子と過ごす時間が長く取れているので、それはすごく良いことだと思います。
◆静かなタイプのリーダーシップ
――初めて一緒にプレーする選手ばかりだと思いますが、昨シーズンをプレーしてみて日本のラグビーは合っていますか?
イングランドと比較するとスピードの違いが大きくて、どちらかと言うとスーパーラグビーに似ているのかなと思っています。テンポが速いですし、グラウンド上でアクションがたくさんあるという印象です。
トム・サベッジとはグロスター(イングランド)で一緒にプレーしていましたし、サントリーでも昨シーズンは一緒に試合に出ることが多く、良いコンビだと思っていました。今シーズンに関しては、ハリー・ホッキングスも入りましたし、日本人選手と一緒にプレーすることを楽しみにしています。
――そういう中で課題は?
ラグビー外のことになりますが、その国の文化や環境にしっかりと馴染み、日本語を磨いたり、今はオンラインで将来のビジネスについて学ぶことも出来るので、妻と一緒に勉強しています。いま不動産の免許を持っているので、農場を売買したり、家や建物も、今後のビジネスとしてやっていこうと思っています。
――今シーズンの目標は?
個人としては、長期離脱するような怪我をせず、良いプレーでチームに貢献して、トップリーグで優勝することが目標です。
――自分自身のリーダーシップについてはどう思いますか?
自分のスペシャリティーとしてラインアウトがあるので、ラインアウトリーダーとして、自分の経験や知識など、チームに貢献できることは全てやっています。自分のタイプとしては、不必要なことをあまり言わないタイプで、どちらかと言うと静かなタイプのリーダーシップになると思うんですが、自分のスペシャリティーについては多く発言して、チームに貢献できるようにしています。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:山口祐二/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]