SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2020年12月18日

#726 堀越 康介 『痛いプレーをしていきたい』

3シーズン目を迎える未来のリーダー候補。なかなか思うようにいかなかった2シーズン目を乗り越えつつ、バイスキャプテンという立場も加わった堀越康介選手。リーダーとして、選手として、何を目指しているのか聞いてみました。(取材日:2020年12月上旬)

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◆ちゃんと未来を見ている

――今シーズン、バイスキャプテンになりました。キャプテンを目指している堀越選手にとって、バイスキャプテンになることは、どんな意味がありますか?

こういうチームでバイスキャプテンをやれることは嬉しいですし、やりがいがあると思っています。キャプテンが亮土さん(中村)で、バイスがサベ(トム・サベッジ)と僕なんですが、僕は若手の方なので、若手選手を引き立て、引き上げていけるような選手になりたいと思いますし、そういうリーダーシップを発揮していきたいと思っています。

――バイスキャプテンを指名された時に思ったことは?

素直に嬉しかったですよ。ただ、嬉しい反面、やっぱり少し責任を感じました。1年目とは違い3年目になって、少し周りを見られるようになってきたんですが、周りにどういう声掛けをしていけばいいかとか、どういうふうに周りを見ていけばいいのかということが、具体的にまだまだ分かっていません。やっぱり、まずは自分のパフォーマンスが重要になると思ったので、プレッシャーまではいかないですけど、良い意味での緊張感を感じました。

――バイスキャプテンは、キャプテンになるための課題という感じでしょうか?

そうは捉えてないですね。今シーズン、バイスキャプテンを任されたということは、僕にとって成長できるチャンスだと思っていますし、何が正解で何が間違いかということがないと思います。だから、色々なことを試してみたり、発言してみたり、ただその分、しっかりと自分も行動しなければいけないので、そういうチャレンジするシーズンになるかなと思います。

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――チャレンジはバイスキャプテンになる以前から、1選手としてやってきたのではないですか

今までも意識してきましたが、3年目になって周りが見られるようになったりして、コミュニケーションの仕方が少し変わってきたかなと思います。サンゴリアスには良い見本がたくさんいるので、そういう人たちを見ながら、話しながら、作っていきたいと思っています。

――コミュニケーションの仕方が変わってきた、良い見本がいるというのは、具体的にはどういうところでしょうか?

コミュニケーションの取り方で言えば、今シーズンはセットプレーやスクラムのリーダーにもなって、そういうところでアオさん(青木佑輔/アシスタントコーチ)が考えているスクラムを、どうチームに落とし込んで、みんなで理解して作っていくのか。そういうところは、1年前には考えられていませんでしたね。

良い見本で言えば、亮土さんとか、昨シーズンまでキャプテンだったユタカさん(流大)とか、言葉に重みがありますし、見ているとどういう視点でチームのことを見ているのかということに気づくことが多々あるので、本当に勉強になります。

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――どういう視点が気づきだったんですか?

僕はこういうことは良いけど、こういうプレーをしていたらチームはあまり上手くいかないよねというところが、何となく分かる程度なんですけど、ユタカさんたちは「これをこうしたらこうなって、ゲームではこうなって、サンゴリアスのラグビーって出来ないよね?」って、ちゃんと未来を見ているんです。その中で今があってと、話の順序立てが上手いので、みんなが納得できます。自分の頭の中でしっかりと整理が出来ているから、そういう発言が出来るんだと思います。そういう視点というか、そういう考えにパパパッとなれることが、良い見本だと思っています。

――自分がそう出来るというイメージは見えますか?

まったく同じようにしようとは思っていなくて、人それぞれのリーダーシップがあって、それぞれに目指すリーダー像があると思うので、自分なりのリーダー像には近づいていけるかなと思っています。

――バイスキャプテンとして楽しみにしていることはありますか?

日々、楽しいですね。気づくことが絶対にありますし、僕が思っていたことを完全に否定されることもあったりして、自分の中で勉強になりますし、「こういうことを言うとチームがひとつになるんだな」とか、「そういう雰囲気になるんだな」とか思えることがあるので、そういうところがとても楽しいですね。

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◆エナジーでチームを変えられる選手になりたい

――リーダーシップを取っていく上では自分のパフォーマンスが重要と言っていましたが、今の課題は何ですか?

怪我をしないことです。そこは難しいところで、怪我にはコントロール出来ない部分もあるので、「怪我をしない、怪我をしない」と思うのではなく、怪我をしないために自分が出来ることを100%やっていきたいと思っています。例えば、ストレッチやリカバリー、食事、睡眠など、絶対に自分でコントロール出来る部分に常にそフォーカスして、ラグビー面にもフォーカスしていきたいと思っています。

――それを意識するようになったのは今シーズンからですか?

はい、怪我が少し多くなってきたので、今まで通りにやってもダメだな、何か少しずつ変えていかなければと思っています。何が正しいかは分かりませんが、試行錯誤しながら自分なりのコンディションの整え方を、見つけていければ良いなと思っています。

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――プレー面での課題は?

課題というか、バイスキャプテンになってより思ったことがあって、とにかくチームにエナジーを与えられる選手になりたいですね。どんな時でも絶対に手を抜かずにハードワークする選手になりたいと思っていますし、チームがキツい時も誰よりも声を出して、言葉よりも行動でチームを引っ張ってエナジーでチームを変えられる選手になりたいです。そうすることで、バイスキャプテンというより、いち選手として周りから信頼されると思いますし、僕もそういう選手とプレーするのが楽しいので、そういう選手になりたいですね。

――その部分、これまでの2シーズンではどうでしたか?

正直、1年目の時には自分なりにはやっていましたが、自分のことで精いっぱいでしたし、キツい時にチームが変わるようなプレー、エナジーは出せなかったと思っています。2シーズン目は怪我で1試合しか出られなかったんですけど、意識し始めたのは2シーズン目くらいからですかね。復帰した後の練習でも激しくやりましたし、そういうところは意識しました。

――プレー面での気づきや楽しみは?

正直、怪我でまだ激しく出来ていないので、これからですね。少し前まではそのストレスがヤバかったんですけど、今はそれほどストレスは感じていません。チームに戻る時には、チームがやっていることを全て理解した状態で戻りたいと思っています。サインプレーや動きとなど、実際にそこに入れなくても、理解していますし、みんなの練習映像を見て、自分が入った時にはどう動けばいいかを必ず確認するようにしています。ですのでそこに対する不安は全くありません。

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◆「気持ち入ってるな」と思われるような選手になりたい

――3シーズン目に向けた意気込みは?

優勝します!個人としては、もちろん先を見た時には日本代表に呼ばれて試合で活躍するということが目標になりますが、まずはサンゴリアスでのポジション争いに勝つこと。そのための1日1日の練習が大事だと思うので、意識して取り組んでいます。

――個人の部分に加えてリーダーとしての役割も意識しなければいけない立場ですね

そこは全然、大丈夫ですね。初めてのことじゃないですし、リーダーの経験もありますし、リーダーはこうしていかなければいけないというか、自分のリーダー像を持ってやっているつもりなので、大変ではないですね。ただ、それだけでは自分自身の成長が止まってしまうと思うので、色々な人の発言や態度などを見て、影響を受けて、成長していきたいなと思っています。

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――チームの中にリーダーシップを取れる選手が多いと思いますが、その中でリーダーシップを取ることは、大変でもあり楽しみでもあると思います。チーム全体を見た時にどう思いますか?

僕は周りにサポートしてもらいながら、そしてそういうみんなの力を活用しながら、やっていきたいと思っています。リーダーシップを取れる人が多いんですが、みんな「俺が俺が」というタイプではありません。しっかりと話を聞いて、「これはこうだよね」ってみんなで話し合いながら、亮土さん中心にやっていってくれていると思います。ですので発言もしやすいですし、リーダーシップを取れる人が多いですし、本当に良い環境に今いるのかなと思います。

――今シーズン、バイスキャプテンという役割も含め、ファンに注目してもらいたいポイントを教えてください

まずはしっかりとプレーを見ていただき、見ていて「堀越、気持ち入ってるな」と思われるような選手になりたいと思います。ラグビーはコンタクトスポーツなので、コンタクトの局面がたくさんある中で、仲間にエナジーを感じてもらえて、見ている人にも「楽しい」「すごいな」と思ってもらえるようなプレーをしていきたいなと思います。痛いプレーをしていきたいです。痛いプレーを注目して見て欲しいですね(笑)。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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