2020年11月20日
#722 ショーン マクマーン 『 勝利をみんなで喜び合いながら、ザ・プレミアム・モルツを飲む 』
元オーストラリア代表、そして昨シーズンにはサンゴリアスの共同キャプテンを務めたショーン・マクマーン選手。まだ26歳のマクマーン選手が目指すラグビーについて、そして生き方について聞きました。(取材日:2020年10月下旬)
◆ロードバイクで100km完走
――新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着かない状況ですが、コロナ禍ではどんなことを考え、どう過ごしていたんですか?
オーストラリアでは時間が出来たので、妻と子どもと過ごしていました。特に2歳半の息子と多くの時間を過ごすことが出来たので、良い関係が作れたと思います。また2人目の男の子が12月に生まれる予定ということが分かりました。オフ期間にやったこととして、ロードバイクで100kmを完走することを目標にして、2~3ヶ月かかりましたが、無事に達成することが出来ました。日本に戻ってからフィットネステストがあることが分かっていたので、トレーニングも続けていました。
――オーストラリアの感染状況はどうですか?
政府の対応が早く、日本からオーストラリアに戻ったらロックダウンになり、3~4週間はレストランにも行けないような状況が続きました。1ヶ月くらい経ってからクイーンズランド州は外出も出来るようになりましたが、最初の頃は厳しい対応が取られていました。
――コロナ禍でもトレーニングは順調に続けられたんですね
これだけ時間があることがなかったので、走る日とサイクリングの日が週に3回くらいでした。しっかりとリカバリーも出来ましたし、家族との時間もあったので、メンタル的にもリフレッシュ出来てとても良い時間を過ごせました。
――前向きに対応できたんですね
クイーンズランド州は割と規制の緩和が早かったので、よりポジティブに動ける時間が持てて、良い時間が過ごせたと思います。家族と一緒にいられたことも、大きかったですね。
◆ラグビーに対しての学びには終わりがない
――サンゴリアスで4シーズン目となりますが、これまでの3シーズンはどうでしたか?
振り返ってみても、決勝で神戸製鋼に負けた試合は、かなり厳しい結果で、なかなか受け入れられませんでした。それはサントリーにとっても、選手、スタッフにとってもそうだったと思います。
ラグビーだけではなく、日本での生活も楽しめていますし、今シーズンはまた新しい選手やスタッフが入ってきているので、彼らと一緒に優勝できるように頑張っているところです。
――3シーズンの中でいちばん成長したところはどこだと思いますか?
毎シーズン成長してきていると思っていますが、ラグビーに対しての学びには終わりがないと思っています。常に小さいことであっても、例えばストレッチや言葉を学ぶことなど、まぁ日本語の上達は芳しくはありませんが(笑)、常に色々なところに学びがあるので、学ぶ姿勢を持ち続けて成長しているところです。自分の居心地が良くないところに行く時こそ成長すると思っているので、例えば合宿で菅平や網走などに行って、みんなで一緒にトレーニングするという経験も、自分が成長する機会になっていると思います
――サンゴリアスでラグビーをやっていて、いちばん楽しいところはどこですか?
試合をしている時と、勝った時に喜びをみんなで分かち合ったりするところですね。勝利をみんなで喜び合いながら、ザ・プレミアム・モルツを飲むことが楽しいです(笑)。みんな試合のために日々取り組んでいるところが大きいと思いますし、そのために相当の時間を使っているので、試合でしっかりと勝利して、みんなで喜びを分かち合うことがいちばん楽しいですね。
◆ラグビーを通してフレンドシップが出来る
――改めて感じるラグビーの魅力は何ですか?
選手目線にはなりますが、ラグビーを通して作られるみんなの輪があって、仲間とのフレンドシップだったり、自分たちのチームだけじゃなく対戦相手ともラグビーを通してフレンドシップが出来るので、そういうところが魅力なのかなと思います。
――日本のラグビーについては、どう感じていますか?
やっぱり10年前と比較しても、例外的に成長している国だと思います。レベルが上がってきていることはワールドカップでの成功が確実にあると思いますし、世界のトップ選手も日本でプレーしたいという選手が出てきているので、素晴らしいことだと思います。
――しばらくは日本でプレーして成長しようと思っていますか?
やっぱり日々の積み重ねだと思うので、目の前の目標を達成することが重要だと思っています。2~3年先の目標というよりは、まずは今シーズン優勝することに集中して、ちゃんと自分のパフォーマンスを発揮できるようにやっていきたいと思っています。契約期間はありますが、その中で日々の積み重ねをやっていきたいと思っています。
――オーストラリア代表についてはどうですか?
現在に集中しているということもあって、サンゴリアスの活動にコミットしています。オーストラリア代表で活動するということはとても名誉なことだと思いますが、今は契約があるサントリーでしっかりとプレーすることを考えています。
◆自分は自分の道を行く
――そのしっかりとした考え方や行動指針のルーツはどこにあるのでしょう?
まずはオンフィールドでもオフフィールドでも、自分の子どもや家族に誇れるような行動をすることを考えています。これからは自分の息子も教育していかなければいけないので、そういう意味でも誇れるような父親になることを考えて行動しています。
自分の考え方のベースになっているものは、当然、両親の影響があったと思います。そして最初にプライベートスクールに入って、そこでの教育や、ラグビーコーチからも色々な良い影響を受けてきています。完璧な人間ではなかった時期もあったので、そこで何かをしてしまったら、そのミスから学んで、更に良くなっていくようにと積み重ねてきています。
――どんなご両親ですか?
父親はあまり家にいなくて、特に自分が小学生から中学生ぐらいの頃は、父は仕事で海外に行っていたので、その頃は強い母親が一人で導いてくれていました。自分の時と全く同じようにとは当然いきませんが、導くためのツールというのは両親から与えられたと思っています。
――ご両親に育てられたように、自分も息子たちを育てますか?
自分は自分の道を行くことになりますが、与えられたツールを使いながら自分の道を行くということを自分が示して、その上で自分の息子たちにも与えたツールを使って、自分の道を進んでいってもらえればと思っています。
(インタビュー&構成:針谷和昌/通訳:山口祐二/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]