SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2020年7月10日

#703 流 大 『やっぱり僕の人生の中心はラグビーなんだ』

常に変化し、その変化が成長へと直結している流大選手。現在どんな状態か、そしてこれから何を目指しているのか、その根底にあるラグビーとサントリーへの思いを語ってもらいました。(取材日:2020年6月中旬)

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◆出来ることをやっていた

――今はどんなことをして過ごしていますか?

サントリーではオフになっているんですが、日本代表からトレーニングメニューが送られてきています。まだキャンプがいつになるかは決まっていませんが、「急に決まっても良いように準備しておくこと」と言われています。具体的なメニューも送られてきているので、そのトレーニングをやっています。

――そのトレーニングメニューはあまり外出せずに出来るメニューなんですか?

最近になって、やっとサントリーも人数を制限してクラブハウスを使えるようになったので、フルでメニューが出来るようになったんですが、それ以前は家で出来るメニューと外を走りに行くくらいしか出来なかったので、日本代表のスタッフと相談しながら出来ることをやっていました。

――体づくりは出来ていますか?

やっと強度の高いトレーニングが出来始めたくらいなので、これからという感じです。あと、急にトレーニングをやりすぎると怪我に繋がってしまうので、自分のコンディションをしっかりと理解しながらやることが大事になると思います。

――英語の勉強はどうですか?

ちょっとずつですね。ペースを上げてしまうと苦しくなるので(笑)、自分のペースでやっています。

――ペースを上げないということは、色々なことに共通したコツですか?

一気にやって出来るようになるものではないと思っているので、自分のモチベーションが常にあるような状態を作るには、少し休んだりしながらやることが、僕の感覚には適しているので、そういったペースでやっています。

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◆準備をするための選択

――プロ選手になったのはいつですか?

2019年4月からです。

――それはワールドカップを意識してのことですか?

ワールドカップがいちばんの理由ではなくて、将来を考えた時に、セカンドキャリアとしてはコーチとして成功したいという目標があるので、そこに向けた準備が並行して出来るということがいちばんの理由です。もちろん選手として出来るところまでやりたいということもプロになった要因ですけど、コーチングとか英語の勉強とか、そういうことに対して準備をするための選択でした。

――コーチングを学びたいと思ったのはいつ頃からですか?

大学時代も、結局は教員免許を取りませんでしたが、教職の授業を取っていました。教育者としての指導者なのか、ラグビーのコーチなのか、その頃はまだ曖昧でしたけど、大学に入る頃にはいずれは指導者になりたいと思っていました。

社会人になって出会ってきた数多くの指導者の方々から色々な刺激を受けて、実際にそれが自分の成長に繋がりました。僕も指導者になって1人の選手、1人の人間を成長させられるような人間になりたいと思いました。

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――人に何かを伝えていきたいんですか?

コーチとはそういう役割だと思います。そのためには自分がしっかりと勉強しなければいけませんし、プレーヤーとコーチは絶対に違って、良いプレーヤーだとしても良いコーチになれるとは限らないと思うので、コーチになるためには絶対にコーチングの勉強が必要だと思っています。

――コーチングの勉強も始めているんですか?

具体的にはまだです。僕の中で選手としてインターナショナルレベルを目指すのは、2023年ワールドカップが最後と決めているので、そこまでやって、残りをサントリーに貢献しながらコーチングの勉強をし始めたいと思っています。2023年には僕は31歳で、これからまだまだ多くのコンペティションがあって何も保証はありませんが、そこをしっかり目指そうと思っています。

――選手とコーチのいちばんの違いについて今どう考えていますか?

単純に立場が違って、コーチは選手を成長させて導いていくことだと思います。実際にまだ深く勉強をしていないので、これからやっていきたいですし、ほとんどが選手からコーチになった人たちなので、そういう人たちのアドバイスをどんどん聞いていきたいと思っています。

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◆サントリーというチームを強くして良いチームにする

――次のワールドカップまであと3年、その3年で選手としてやり残したことは無いという状態まで持っていくと思うんですが、どういうスケジュールを考えていますか?

ラグビーに関してはあまりゆっくりする時間は無いと思っていますが、今回のコロナの件でちょっとラグビーから離れたことで、少し痛かった箇所を治すことが出来ましたし、長いことラグビーをやってきてその状況から少し離れることが出来たので、それは良かったと思っています。ただ、6月のテストマッチが無くなったことは影響が大きいですし、10月や11月のテストマッチも正直あるか分からないので、もうやれることをやっていくしかないと思っています。

――色々と考えたり見つめ直す時間があったかと思いますが、どういうことを考えていましたか?

これだけラグビーから離れたり、チームメイトを会うことがないということは、これまでの人生ではなかったので、やっぱり僕の人生の中心はラグビーなんだなと改めて感じました。

――接触があるラグビーなので大変な状況ですよね

やっとニュージーランドでは国内リーグが再開されるので、すごく羨ましく感じます。

――3年後を見据えた、次のシーズンの目標は何ですか?

インターナショナルレベルで言えば、テストマッチの時期とかリーグとか、色々と変化があると思うので、それに対してしっかりと対応して、しっかりと強化して戦っていかなければいけないと思います。

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サントリーとしては、2020シーズンの終わり方はすごく残念でした。多くのメンバーがチームを離れることになり、中堅としてチームを支えてくれた日本人選手が多くいましたし、ここ何年間か勝ってきたカルチャーを作ってくれた、ギッツ(マット・ギタウ)やコスさん(小野晃征)、マツ(松島幸太朗)もいなくなるので、新しくチームを支える核となるような選手が出てこないといけないと思っています。特に若い選手含めて、もっと主体的に「このサントリーというチームを強くして良いチームにする」という意識を持たないとダメだと思っています。

――本当に新しいチームになるような感じがしますね

そうですね。でも、今までOBの方を含めて作り上げてきたサントリーを絶対に失ってはいけないと思うので、メンバーが多く変わりますけど、そのことが良い効果を生み出せるようにしなければいけないと思っています。

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◆受け入れるしかなかった

――2019年ワールドカップでベスト8になりましたが、2023年ではそれを越える成績を目指していると思います。そこを果たすためにはどんなことをやっていきますか?

自分たちがコントロール出来ない部分ではありますが、日本ラグビー協会に頑張ってもらい、世界のラグビーに参戦できるようなシステムを作ってもらいたいですし、色々な噂や報道などがあって、まだ確定しているものは何もないと思いますけど、年間を通してティア1の国と数多く試合をすることは必須だと思います。

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2019年のチームは、4年間でティア1の全ての国とテストマッチを行えているので、ハードルは高いと思いますが、そこは最低限やって欲しいと思います。あとは、個人的に海外へ行く選手も出てくると思うので、そういう機会を自分から求めていくことも必要だと思います。

――ワールドカップで日本代表が活躍し、トップリーグ全体の観客数も増えて良い外国人選手も加わって、チームも良い状態になって来たところで止まってしまったことについては、どう感じていますか?

いやー、もう本当に残念です。ただ、世界の状況などを見た時に、ラグビーよりも大事なものがあるので、それは受け入れるしかなかったですね。ただ、実際にはワールドカップの次の年は大事な年だと思っていましたし、サントリーとしては開幕戦と神戸製鋼戦で負けてはしましましたが、監督やスタッフ、選手が変わって最初はチグハグしていたところが少しずつ良くなっていき、やっとまとまり始めた頃だったので、すごく楽しみにしていただけに残念な気持ちはあります。

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◆失敗する、ミスする、そこからどうするか

――改めてホームページのプロフィールを見てみたら、「これだけはチームNo.1だと思うこと」が目覚まし時計を止めるスピードと書いてありました。それは目覚めた瞬間に、その状況や自分がやるべきことが分かるということだと思うんです。気持ちのスイッチの入れ方の速さを表していて、考えをまとめるスピードや気持ちの切り替えなど、試合中にもそれが出ていると思うんですが、自分ではどう思いますか?

そんな深いことを言われるとは思っていませんでした(笑)。起きる時にだいたい何時というのが分かって、人生の中で遅刻もしたことがないですね。それと繋がるかは分かりませんが、失敗することとか、ミスすることは誰でもあり得ることなので、そこからどうするかを常に考えています。あとは日ごろの中で色々なことを考えるので、ラグビーであれば色々な状況を想定しています。だから、色々なことを想定したり考えているので、決断をシンプルに早く出来るんだと思います。

――それは生まれつきですか?

いや、やっぱり色々な経験をして、色々な指導者に出会って、色々な助言を得て出来上がったものだと思っています。

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――相当強い意志がなければそのスイッチは入らないと思うんですが、めげようとする自分を叱咤激励することもあるんですか?

やっぱりキツいトレーニングとかになると、負けてしまいそうになることもあるんですが、その時にチームメイトとかチームに対してどうしたいかを考えると、弱い自分とかソフトな選択は出来ないと僕は思うので、チームに対しての責任とか信頼がいちばんに出てくると思います。

――そろそろ再開に向けて動き始めると思うんですが、そこに向けて楽しみにしていることは何ですか?

とにかくみんなに会いたいですね。チームメイトもそうですし、ファンの人とか、まずは普通の日常が欲しいですね。

――会った時にはどんな自分を見せたいですか?

どうですかね(笑)。変わらないと言うか、普通にシンプルに会って、色々な話をしたり、あとは僕はプロラグビー選手で仕事がラグビーなので、ラグビーをしている姿を、早くファンの方には見てもらいたいですね。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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