2020年6月 1日
#694 松島 幸太朗 『どんどん幅を広くしていきたい』
サントリーでの7シーズン、そして2度のワールドカップ出場を経て、フランス・リーグのASMクレルモン・オーヴェルニュへの移籍を決めた松島幸太朗選手。フランスへ渡る準備が整う中、その心境と意気込みを聞きました。(取材日:2020年5月下旬)
◆早く溶け込める環境
――いまどんなトレーニングをしていたり、どんなふうに過ごしていますか?
今は家でバイクを漕いだり、軽い器具でウエイトトレーニングをするくらいです。
――どちらかと言えば、オフの過ごし方のような感じでしょうか?
そうですね。まだ本格的にはトレーニングしていません。
――フランスを選んだのは、このチーム(クレルモン)を選んだのは、なぜですか?
まずはチームとして温かく迎え入れるということを聞きました。自分が早く溶け込める環境にしたいと思っていたので、そういったところでこのチームが良いのかなと思いました。
――もともとフランスというターゲットがあったんですか?
そうですね。基本はフランスというターゲットでした。
――今回の移籍について、誰かに相談などはしましたか?
サンゴリアスのメンバーでは、マット・ギタウに相談しました。
――何か良いアドバイスはありましたか?
単純にフランスでの経験があるので、僕が交渉していたチームの中でどのチームの印象が良いかと聞いたり、このチームはこういうチームカラーだとか、そういうことを聞いたりしました。
◆どのポジションでもやっていきたい
――今回の移籍に関して、日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチとは何かやり取りはしましたか?
発表する前に「こういう経緯で移籍します」と連絡して、「それは良い判断だ」と返事をもらいましたし、「あっちに行ってからも、怪我をした場合であったりどれくらいのゲームタイムだったりなど、コミュニケーションしていこう」と話をしました。
――フランスに挑戦することに対する自信や不安はありますか?
自信については、たくさん色んな舞台でラグビーをやってきて、そういった積み上げが出来ているので、そういった部分で自信はあります。不安については、いま全然身体を動かしていないので、それがどう影響してくるのかという、そっちの不安が大きいです。
――今後の日程は決まっていますか?
今後は、コロナウイルス次第ですけど、いつどういったタイミングで行くかという日付は決まっていません。
――フランスは新型コロナウイルスの影響が大きいかと思いますが、それについて心配なことはありますか?
日本より感染者数などが多いので、日本にいる時より注意しなければいけないので、まぁ怖いと言えば怖いですね。
――今回の契約をやめて日本に留まるという気持ちはなかったんですか?
そうですね、基本、行きたいという気持ちがあったので。あとはコロナウイルスがどれくらい収まってくれるのかだったり、治療薬が出来るタイミングもあると思うので、本当にコロナ次第というか。
――選んだフランスが次回ワールドカップの開催地となります。フランス・ワールドカップへ向けての気持ちは?
2019年のワールドカップ後は、完全燃焼という感じが少し出たので、あまり意識せず徐々にターゲットにしていこうという気持ちです。
――前回のワールドカップではポジションがウイングで、今回フランスに行ってフルバックが出来るか、あるいは他の選手からは「センターの松島選手が見たい」という声もあります。ポジションはどう考えていますか?
センターも出来ればやっていきたいです。自分の中でどんどん幅を広くしていきたいという気持ちがあるので、どのポジションでもやっていきたいと思います。
――フランスで活躍し、その後、日本に復帰するということはあり得ますか?
全然あり得ると思います。海外でまず自分がやりたいことをやり、しっかりと達成感があれば、あり得ると思います。
◆サントリーでのラグビーを楽しめていた
――サンゴリアスでの一番の思い出は?まずは、嬉しかったことは?
嬉しかったのは、やっぱり2連覇した時ですかね。僕が入って9位になった年もありましたし、やっぱり2連覇した時は素直に嬉しかったです。
――辛かったことはありますか?
辛いというよりかは、悔しいという時が9位の時なので、それがサントリーの中で一番モチベーションが低かった時ですね。
――それは自分自身も?
そうですね。
――そういう経験を経て、ワールドカップであったり、ワールドカップの後で、試合中に笑顔が増えたように感じるんですが、心境の変化はありましたか?
あまり意識はしていないんですけど、シンプルにサントリーでのラグビーを楽しめていたんじゃないかなと思います。2020シーズンは開幕戦で負けはしましたけど、試合中に修正できなかったところが、試合後に見つめ直して、「キックばっかりでもう少しパスを回せれば全然できるじゃん」と発見できたりしたので、そういった部分を含めて充実をしていたんじゃないですかね。
――話している言葉を聞いていると、物事を深く考えていると感じるのですが、自分ではどう思いますか?
深く考えるよりもパッと閃いて行動するタイプで、たまに考える時もありますけど、基本は直感ですかね。
◆お互いを奮い立たせてやっていく
――改めて、いま思うラグビーの魅力は何ですか?
難しいですね(笑)。
――例えば、松島選手を見ていると、どんなスポーツをやっても良い選手になったと思うんですが、あえてその中でラグビーを選び、こういう立場になってきて、そういうことでラグビーが良いなと思うところはどこですか?
ラグビーはやっぱりお互いに支え合ってやっていくスポーツなので、サボったりすれば自分の隣の人がキツいことになります。そういったところを踏まえて、試合中にキツい時があればお互いを奮い立たせてやっていくところが、僕の中での魅力かなと思います。
――フランス移籍に向けて、改めて意気込みをお願いします
順調にコロナウイルスが鎮まれば試合が出来る環境になっていくと思うので、そういう環境になれば、しっかりとスターティングで出られるような信頼を勝ち取って、しっかり試合に出続けるということをやっていきたいと思います。
――サンゴリアスへのメッセージを願いします
このチームは、アグレッシブにみんなひた向きになって、お互い支え合うのが、試合中でもグラウンド外でも、そう見える時が多々あるので、これからもキツいシーズンがあったとしても、お互いを支え合って、アグレッシブなアタッキングラグビーというものを貫いて、自分たちの目標に向かってこれからもやって欲しいと思います。
――ファンへのメッセージをお願いします
サントリーの目標はこれからも優勝ということが絶対だと思うので、それに向かってキツいシーズンもあると思うんですけれど、どんな時でも応援してくださるようにお願いしたいと思っています。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]