2020年5月19日
#690 成田 秀平 『ディフェンスを長所に』
未完の大器と期待されながら、2020シーズンは不出場に終わった成田秀平選手。新シーズンへ向けての課題と意気込みを聞きました。(取材日:2020年4月下旬)
◆ディフェンスとキックの精度
――2020シーズン、テーマだった怪我に対してはどうでしたか?
トップリーグ開幕前の沖縄合宿に、僕は怪我でほとんど参加できない状態で、他の選手と比べて出遅れてしまいました。筋肉系の怪我だったんですが、外が冷えていて、自分でもその個所が気になっていたところでした。僕みたいにあまり試合に出ていない選手は、練習でなんとかしなければいけないという想いが強いので、印象が良くないと思い自分から練習に参加しないとは言えず、そのまま練習に参加したことが怪我に繋がってしまったと思っています。そういうことから、自分の感覚を大事にするということを学びましたし、メディカルとももっと深くまでコミュニケーションを取らなければいけなかったと思います。怪我を繰り返していた部分を強化しようと重点的にトレーニングしていたということもあり、自分に負担をかけすぎていたのかもしれません。
――新しいシーズンに向けて、どう取り組んでいこうと考えていますか?
怪我はもう大丈夫です。自分だけで考えすぎてしまうところがあったんだと思います。トップリーグが開幕してからS&Cコーチとも相談をしつつ、全体練習後に個別にトレーニングをしたりしています。2020シーズンは試合に出られませんでしたが、フィジカル的な問題はありませんでした。さらに自分としては高校、大学とスピードを売りにしてきましたが、そこだけでは対抗できないので、他の強みを出していけるようになっていかなければいけないと思っています。裏へのキックであったり、スペースの見極めであったり、そういう部分を重視して精度を上げていかなければいけないと思います。あと取り組もうと思っていることとしては、ディフェンスの強化ですね。
――今の段階で、ディフェンスの課題はどこですか?
フィジカルはかなりレベルを上げなければいけないと思っています。あと、感覚的になってしまいますが、自分が思うディフェンスは相手との間合いを詰めるタイミングとタックルテクニックだと思います。もともと極端に下手だとは思っていないので、あとはミスしても良いから実戦での練習でどんどんチャ大きいのはディフェンスレンジしていきたいと思っています。
――ウイングやフルバックでプレーすることが多いと思いますが、センターなど他のポジションでのプレーも考えていますか?
そうですね。祥平さん(竹下)はウイングもセンターもやっていて、そういう選手が引退してしまったので、ポジションにこだわらずにチャンスがあればセンターにも挑戦してみたいと思います。今の課題としてはディフェンスとキックの精度です。
◆端にいることが多い
――その他に気を付けていることはありますか?
色んな選手、スタッフ、コーチがいるので、そういう人たちにアドバイスをもらいながらやっていけば成長できると思っています。メンタルがプレーに影響されると指摘されていて、調子が良いと前のめりになってプレー出来るんですが、ちょっとミスなどすると、自分ではやろうとしていても周りから見ると出来ていなかったりしているそうなので、そういうところをもっとハングリーに取り組んでいかなければいけないと思っています。
――ミスを引きずってしまっているんですか?
そうですね。どうしても考えてしまいますね。
――村田大志選手もインタビューで、ミスを引きずっていたけれど、年月が経つにつれて、起きてしまったことはコントロール出来ないから目の前のことに集中するようになったと言っていました
僕がまだその状態になれていなくて、だから考えてしまっているんだと思います。そこが難しいですね(笑)。あと、そんなに意識はしていなかったんですが、例えばパス練習であったりゲーム形式のボールゲームなどをやる時に、「端にいることが多い」と剛さん(有賀/BKコーチ)に言われたことがありました。ウイングというポジション柄なのかもしれませんが、端にいることが多かったみたいで、「もっとボールに絡みに行け」と言われて、マインド的にも消極的な部分があったのかなと気づかされました。練習からもっと積極的に前のめりになってやっていかなければいけないと思いましたね。
――ポジティブに考えると、気づかなかった短所が見えてきて改善していけるということですよね
そうですね。ただ、シーズン中はそこまでの考えには、なれなかったかなと思います。
――2020シーズンは納得できなかったシーズンでしたか?
そうですね。1年目、2年目と試合に出られて、3年目の今シーズンは1試合も出られませんでしたし、合宿での出遅れを挽回できずに終わってしまいました。今の状況になって考える時間をたくさん持てていますし、自分の課題などをより具体的に考えられるようになったと思います。
――いまはどんなトレーニングをしているんですか?
クラブハウスから借りてきたチューブやローラーなどを上手く使って、家で出来るトレーニングをやっています。あとは夜に外を走りに行くくらいです。あまり激しいトレーニングが出来ない状況なので、逆に言えば、怪我した個所などには負担をかけずにトレーニングが出来ていると思います。
◆長所に100%の力
――次のシーズンではどんな姿でプレーをしたいとイメージしていますか?
まずはチームのみんなから「ディフェンスが上手いな」と思われるようなプレーをしたいと思いますね。ヤスさん(長友泰憲/広報兼普及)はディフェンスが上手いと思っていたんですが、今のウイングやフルバックの選手を見ていて、自分がディフェンスを伸ばせば強みに出来ると思っているので、そういう選手になっていきたいです。
――他のチームも含め、参考にしている選手などはいますか?
フィジカルでディフェンスするのではなく、タイミングや判断の部分で上手いなと思うのは、NTTコミュニケーションズの山田章仁さんですね。テクニックは剛さんから教えてもらおうと思っていますし、ヤスさんがグラウンドにいる時には色々とアドバイスをもらおうと思っています。
――次のシーズンでの目標は?
もちろん試合に出ることを目標に、そのためにディフェンスを強化していきたいと思います。
――サンゴリアスOBで従兄でもある成田秀悦さんからのアドバイスは?
秀悦とは今年になって話したことがあって、彼自身「ディフェンスが苦手だった」と言っていましたが、あの人の長所はスピードだったので、「ディフェンスは捨てて、自分の長所に100%の力を注いだ」と言っていました。「自分が抜かれてトライを取られても、その倍のトライを自分が取るという気持ちでやっていた」と言っていて、そういう考え方もあるなと思いましたね。僕の場合はそこまで言える長所を持てていないので、そう言えるだけディフェンスを長所にしたいですね。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]