SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2020年3月20日

#680 堀越 康介 『今シーズンのスクラムを見て欲しい』

2年目のリーグ戦、第6節にようやく登場してきた堀越康介選手。今の状態、そしてこれから目指しているラグビーについて聞きました。(取材日:2020年3月上旬)

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◆やり切ったと思う準備

――ようやくリーグ戦に登場。調子はどうですか?

ちゃんとしたプロセスを踏んで、ちゃんとしたやり方でやればいけています。

――それは具体的に言うと?

僕が良いパフォーマンスをした時のメンタルって、グラウンドに立った時にやり残したことがないと思えた時です。準備してきたことがすごく自信になっていて、それで良い状態でプレーが出来るということがあるので、良い準備は身体の面もそうですし、プレーの面でもそうだと思っています。

プレーの面で言えば、「このプレーをこれだけやって来たし、これだけ分析もしてきた」という自分に対して自信を持てているので、グラウンドで全部を出せると思っています。準備を全てやり切ったことで自信になると思うので、「これはやりきれなかったな」と思うことを無くしていく準備が、僕にとっては大事だと思っています。

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――やり切れればこうなるというイメージは出来ているんですね

そうですね。それは準備をしていく中で変わっていくことで、例えば、相手チームのメンバーが分からない状態の中で自分なりに分析をしていくので、そういうところは変わっていくと思いますし、前回の試合で「ここが良くなかった」という部分が足されていくと思います。逆に「ここは課題だったけど良くなってきな」という部分も出てくると思うので、そういう部分は調整して変わっていくと思います。その中で、いちばんは試合前にグラウンドに出た時に「やり切ったな」と思う準備をすることだと思います。

――そこには、自分自身のこと、チームのこと、相手チームのこと、色々な要素があると思いますが、どういうバランスですか?

相手のことというよりは、まずはチームがやろうとしていることを100%理解して、試合に出るということ。それを求められていると思うので、それをやり切ることを考えます。それにプラスして、相手の分析をします。比率で言えば、チームと自分が同じくらいで、相手の分析は少し少ないというバランスです。

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――社会人になって、そういう試合はありましたか?

100%出来たと思う試合は、正直、そんなに無いです。少し不安に思うことがある試合が多かったかなと思います。昨シーズンは1番をやっていたので、スクラムとか、いまいち自分に自信が持てなかったと思います。

――それは結果にも反映されるんですか?

自分に自信を持たせるために、練習の中で必死にスクラムを組みましたし、アオさん(青木佑輔スクラムコーチ)とも話をしたんですが、自信が持てなかった時にはやはり良い結果は出ませんでした。逆に自信を持てた時は、結果も良かったと思います。

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◆1%の積み上げ

――自信を持つためにはどうすればいいと思っていますか?

突き詰めてやるしかないと思います。みんなと同じことをやっていても上手くいかないので、自分で人とは変えながらやるしかないと思っています。1%の積み上げをやっていくことによって、自分の強みになっていくと思います。

――自分で変えながらとは、具体的にはどういうことですか?

みんなと同じくスクラム練習をやっていても、そこではみんな同じ成長度合いだと思うんですが、例えばウエイト場でスクラムに特化したトレーニングを、毎日少しずつやっていくとか、首を強くするとか、他のみんなが毎日やっていないことを毎日やることによって、自信の積み重ねにもなるのかなと思っています。

――他がやっていないことは、どうやって見つけているんですか?

僕の場合は、上手くいっている時と上手くいっていない時の映像などを見て、自分の癖が分かり始めてきました。例えばスローイングで言えば、やっぱり自信がない時のフォームは良くないんですよ。自信がある時は良いボールが投げられているので、ウエイト場の鏡の前でスローのフォームの確認をして、自信が形に表われるような動きをすることで良くなってきました。メンタル的に良くなったのかもしれません。自信がある良いフォームを覚えることによって、そのまま良いボールを投げられるんだと思います。

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――自分の姿を見るということも重要なんですね

鏡の前でスローの素振りをするトレーニングが、僕にはハマりました。

――自分で見て自信がある姿、自信がない姿は、どこが違うんですか?

僕以外の人が見たら同じに見えると思います(笑)。自信がない時は、なんか、スローイングの前に堂々としていないんですよ。ソワソワしていたり、なんだか不安そうな雰囲気が出ているんです。具体的にどこが違うかは、まだ分からないんですが、トレーニングのひとつとして、そういうところで他の選手と変えていけるところかなと思っています。

僕のスローイングで一番ネックになっているのが、メンタルなんです。だから、いかに自信を持ってスローイングが出来るか。自信を持てれば良いボールが投げられるという感覚があるので、フォームやボールの持ち方など、そういうところを意識するようにしています。投げるまでのルーティンを作って、上手くコントロールするようにしています。

――他にこれまでのラグビー人生の中で、苦手だったプレーはありましたか?

強いて言えば、フィットネスが全くなくて、めちゃくちゃ走って克服したことはあります。フィットネスについては、むしろ今の自分の強みになっています。だから、ラインアウトも得意だと思い込めるようになればいいと思っています。いま、着実に自信を積み上げている段階だと思っています。

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◆コンタクトの局面は負けない

――第6節日野戦が復帰戦となりましたが、久しぶりに試合に出てみてどうでしたか?

正直、試合からだいぶ遠ざかっていたので、ゲーム感覚をまだ取り戻せていないなと感じました。身体的には良い感じなので、あとはプレータイムが長くなれば良いと思います。なので、今はとにかく試合がしたいという想いですね。他のみんなからだいぶ出遅れていたので、少し焦りとかあったんですが、今は切り替えて自分のことに集中して、自分のプレーを出すことがチームのためになると思って取り組んでいます。

――焦りをどう転換したんですか?

怪我をしていたので、まあ焦っても仕方ないなと(笑)。

――ポジション争いも激しいと思いますが、勝ち抜くポイントは?

プレー面で言うと、絶対にここだけは負けないというところを出していくこと、そしてフッカーとしてやらなければいけないところは100%やり続けることです。自分の能力の一番高いパフォーマンスを出していかなければいけないと思います。

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――「ここだけは負けない」ところとは?

コンタクトの局面です。ボールキャリー、タックル、ブレイクダウンですね。

――コンタクトについては、目指すべき姿に近づいていますか?

いや、まだまだです。もっと出来ると思っています。今シーズンはまだ東芝とのトレーニングマッチと日野戦の20分しか試合に出ていないので、試合で評価をするのであれば、全然まだまだです。

――今シーズンの目標は?

チームとしては優勝です。個人としては2番で出ることです。やっぱりチームに影響を与えられるようなプレー、言動が出来る選手になりたいと思います。そして、日本代表に入って、テストマッチに出たいですね。

――スクラムについてはどうですか?

自分の強みに出来ると思っています。僕はヘッドスピードが速くて、そこは他の2人よりも速いと思うので、それに対しての自信もありますし、フロントロー同士の会話とかで手応えを感じています。スクラムを楽しめていますし、とにかく今シーズンのスクラムを見て欲しいですね。例えば、日野戦でも、僕が入る直前のスクラムは押されてターンオーバーされたんですが、一緒に由起乙さん(森川)と一緒に入って、その後のスクラムではターンオーバーをしましたし、そういうことを積み重ねてきて、自分の強みに出来るところだと思うようになりましたね。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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