2019年5月24日
#637 テビタ タタフ 『負けない気持ち』
今シーズンの新人第2弾は東海大学からサントリーに加入したフォワードのテビタ・タタフ選手です。インタビュー中も笑顔を絶やさないタタフ選手が目指すものは?(取材日:2019年5月5日)
◆トンガで一番有名なスポーツ
――サントリーに入って1ヶ月ですが、練習していてどうですか?
最初は緊張していましたが、だんだんみんなとコミュニケーションが取れるようになって、とても楽しいです。
――どのあたりが楽しいですか?
全部です。みんな元気が良い。朝に会ったらしっかり挨拶してくれます。
――日本には高校からですか?
そうです。日本に来て7年になります。
――日本に来ようと思ったきっかけは?
目黒(学院高校)のコーチがトンガに来て、「日本に来ないか?」と誘われて、そこから日本に行きたくなりました。
――トンガ出身で何歳からラグビーを始めたんですか?
小さい頃から遊びでやっていて、スクールのようなところでちゃんとラグビーとしてやり始めたのは6歳です。
――最初にやってみてどうでしたか?
楽しかったです。トンガで一番有名なスポーツはラグビーです。みんなやります。やってみて、体をぶつけるところがとても楽しかったです。
◆ジョージ・スミスがめちゃくちゃ好き
――日本に来る前、トンガでは有名になっていたんですか?
有名になっていました。家族には「家の手伝いよりもラグビーをもっとやれ」と言われました。
――ポジションは?
最初はセンターでした。日本に来て1年目でフォワードになりました。コーチの意見で変わりました。
――変わってみて、どうでしたか?
センターはスペースが広いので楽しかったです。けど、僕はフランカーをやりたかったんです。でも、高校の時はずっとNo.8をやっていました。
――なぜフランカーをやりたかったんですか?
僕、ジョージ・スミスがめちゃくちゃ好きなんです。僕の目指しているプレーヤーです。
――ジョージ・スミス選手のどこが好きなんですか?
ジャッカルとタックル、ブレイクダウンのところ。
――なぜそこが好きなんですか?
分からないです(笑)。好きでプレー中ずっと意識しています。
――実際にジョージ・スミス選手に会ったことはありますか?
あります。大学生の時にサントリーで会いました。
――どうでしたか?
嬉しかったです。ジャッカルのスキルを教えてもらいました。とても優しい人でした。
――その時に教えられたスキルは今に活きていますか?
タイミングやどうやってボールをすぐに奪うか。相手にぶつかってすぐにボールを奪うんです。まだ自分のテクニックでは出来ていないと思います。
――それは大学何年生の時ですか?
大学2~3年の時だと思います。
――サントリーを選んだのはジョージ・スミス選手がいたからですか?
最初は一緒にプレーしたかったですけど、僕が入る前にチームを離れてしまいました。でもサントリーを選んだのは、サントリーの雰囲気がめちゃめちゃ良かったことが理由です。
◆フィットネス、ジャッカル、タックル
――センターからNo.8になってフランカーになって、それぞれに面白さがあると思うんですが、やりたかったフランカーの面白さは?
フランカーを目指した理由と同じで、ジョージ・スミスを目指そうと思いました。
――ジョージ・スミス選手をターゲットに、今どのあたりまで来ていますか?
たぶんまだ50%くらいです。
――あと50%はどうしたら埋められますか?
しっかり練習をして、オフの過ごし方でいけるかなと思います。
――今の課題は?
フィットネスです。走り続けるところです。あとジャッカルとか、タックルスキルです。
――ジャッカルはどこをより良くしたいですか?
相手より先に入ること。ジャッカルした瞬間にレフリーとのコミュニケーションをとることです。
――レフリーとのコミュニケーションとは?
ボールを取ったら「ボール取っている」とアピールするとか。そこはレフリーの仕事なので、取れない時もあります。
――タックルは?
タックルはバインドやスキルなどが、まだまだ足りていないです。
――タックルもジョージ・スミス選手に教わりましたか?
はい。まだできていないところもあります。疲れている時にできなくなってしまうので、フィットネスが足りていないと思います。最初からスピードを出し過ぎるとだんだん疲れていきます。
――どうしたらそこは強くなるんですか?
一番は気持ちです。負けない気持ちが大事です。
――負けず嫌いですか?
負けるのは嫌いです。疲れた時の意識、例えばタックルで、疲れていてもタックルをして意識するということ。もちろん相手にラインブレイクされないようにすることも大切だけど、たぶんできるようになると思います。
◆面白い
――今シーズンの目標は?
まずはメンバーに入ること。そのために日々のトレーニングをしっかりしたいです。
――その先は?
優勝。
――さらにその先は?
ジャパンに入れるようになりたいです。
――高校で日本に来るということはビッグチャレンジだと思うんですが、そこは自分でどう考えたんですか?
誘われたのは勉強とラグビーです。
――なぜ日本に行っても良いと思ったんですか?
ラグビーをしっかり続けて、日本代表になりたかったです。
――トンガ代表よりも日本代表?
はい。日本に来たから。
――日本に来たから日本代表?日本に来なかったらトンガ代表ということですか?
たぶんそうです。
――トンガ代表ではなく、日本代表を目指した理由は?
家族のため。トンガではあまり仕事がないんです。
――実際に日本に来て、最初にトンガで聞いていた話と比べて、日本のラグビーの環境はどうでしたか?
面白いです。日本の方がランキング的に上ですし、4年後のワールドカップは日本代表を目指しています。
◆10人兄弟
――いま自分の日本語は100のうちどのくらいですか?
まだ難しいところはあります。
――自分の性格は?
優しい時もありますし、怒る時もあります。
――どういう時に怒る?
怒るのはグラウンドの中です。自分のミスやちゃんとできていない時。
――他には?
負けが嫌いです。
――物事は良い方に考えますか?悪い方に考えますか?
良い方に考えます。
――家族は?
全員トンガにいます。僕入れて10人兄弟です。
――一番上ですか?
そうです。僕、男、女、女、女、女、女、男、女、女です。
――一番下は何歳ですか?
たぶん4歳くらいです。年に1~2週間くらいしか会えません。
――そのくらいの人数の家族はトンガでは普通なんですか?
普通です。
――日本に来ることを一番喜んだのは誰ですか?
お父さんです。
――お父さんは何をやっているんですか?
農家です。
――最初をラグビーをするきっかけを作ってくれたのはお父さんですか?
はい。
――日本にラグビーを観に来ますか?
呼びます。
――いつ頃?
まだ分からないです。
――サントリーファンの皆さんへ、自分の見てほしい、応援してほしいというところをお願いします
全部のプレーなんですけど、ブレイクダウンのところを見てほしいです。
――ブレイクダウンをしてジャッカルしているところ?
そうです。あと、タックルです。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]