SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2019年3月21日

#628 成田 秀平 『ラグビーをやり抜きたい』

3シーズン目に向けてオフのトレーニングを積む成田秀平選手。自らの長所とウィークポイントを振り返り、新たなシーズンへ向けての抱負を語ってくれました。(取材日:2019年2月中旬)

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◆スペースを見極める

――サンゴリアス1年目、2年目を振り返ってどうですか?

1年目より2年目の方が、まあまあ充実していました。1年目に大きい怪我をしてしまったということもあるんですが、2年目の方が試合にも多く出ることができました。納得はいってない試合も多かったんですが、まずは試合に出ることができたことが2年目は良かったと思っています。

――2年目に試合に出られた要因は自分では何だと思いますか?

怪我人などのチーム状況も、単純に一つの要因ではあると思いますが、その中で強みである判断力とスペースを見極めるというところを評価してもらえたと思います。自分でも練習や練習試合などで、そういうところを発揮できたという思いもあります。

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――判断してスペースを見極めるのと、実際にそこを突き破るのと、2つ能力がいると思うんですが、突き破る部分についてはどうですか?

んー、正直まだいけてはいないですね。いける時もありますけど、どちらかというと練習でもキックでそのスペースに運ぶというところを意識していていますし、そういうところを狙っています。

――今そのプレーを第一に選択しているのはなぜですか?

今、自分に求められているプレーがそこだからです。さらに自分がレベルアップするためには、キックのスキルもそうなんですけど、キックじゃなくて自分でボールを運ぶというところが、まだまだ足りない部分かなと思っています。

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◆スペースの見極め

――速さに対しては、自分ではどのくらい自信を持っているんですか?

そんなにないです。

――ないとすると何で速さをカバーしていますか?

難しいですね。でも感覚の問題かなと。まずはどれをとっても僕より優れている人が多い。その中ではやっぱりさっき言った判断で、ディフェンスの時の相手との間合いを詰める判断であったり、そのスペースの見極めだったりというところかなとは思います。

――経験がないと磨けない部分だと思いますが、どうやってその長所を伸ばしているんですか?

それは練習中からの意識です。例えば、カップ戦でインターセプトしたのも、そういうところを練習中からも狙っているからだと思います。その感覚的なものがあった上で、試合中も同じように狙えているんだと思いますね。やっぱり練習でやってないことは試合でもできないので、そこはやっぱり練習中から意識してやっていますね。

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――自分より優れた人がいっぱいいるというサントリーに入ってきた時、「ここで勝負しよう」と思っていたのはどの部分ですか?

もともとはステップワークやスピードで勝負しようという想いは、大学の時もありました。そこが強みだったんですけど、怪我したあたりから、まだ思うようなスピードが出なかったり、思うようなステップが切れなかったりしていたので、それ以外で勝負する選択をしていますね。

――そういうもどかしそうな状態の中、いまの楽しみはどこにありますか?

もちろんゼロになったわけではないので、場面によってはいま持っているスピードで勝負したいし、やっぱりそこの楽しさや面白さというのはあります。あとは良いエリアに蹴り込めた時ですね。どのチームを見てもフルバックならそういうキックを蹴るチャンスがあると思うんですけど、ウイングをやっていてそういうことをやる選手というのは、僕はなかなかいないと思っています。そういう器用なというか、ウイングでそのスペースにボールを運べるっていうところは、結果として良い結果になると楽しいし、やっていて面白いなと思います。

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◆万全な状態で臨めた

――2018-2019シーズンは途中から出場する機会が多かったと思いますが、決勝ではスタメンでした
思ったほど緊張はしなかったですね。ただやりたいことはできなかった。それは僕というよりチーム全体だったと思うんですけど、僕自身もボールにほとんど触ることができませんでしたし、ディフェンスをしていることが多かったですね。

――その前の準決勝ヤマハ戦は途中出場でしたが、その時はどうでしたか?

リザーブでラスト20分くらいの出場でしたが、その中でもボールタッチ数は多かったですし、スペースに走り込んで抜けるっていうシーンもあったので、準決勝は感覚的にはとても良かったです。

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――良かった要因は?

そうですね、調子が良かったというのもあります。その前までちょっと怪我をしていたんですが、戦列復帰を延ばしたことで、万全な状態で臨めたっていうのもあると思いますね。

――そうすると今後も怪我との戦いというのは、ある程度頭に入っていますか?

まあそこが一番ありますね。というのも、昨シーズンは一度治った箇所に痛みが出て、その後、その怪我をかばって今度は別のところを怪我してしまいました。そういう感じなので、やっぱりどうしても怪我とは付き合っていかなきゃいけないとは思っていますね。

――そうすると、怪我との付き合い方、なだめ方はだんだん分かってきたという感じですか?

いや、まだ全然。何をしたら良くなるとか、正直まだ自分の中では分かっていません。リハビリをしても結局は他の部位に負担がかかったり、体のどこを使っているかというバランスでも、やっぱりどうしても怪我をした方をかばって逆側に負荷をかけてしまっているのが、データでも出てきていました。このままだとまた同じことを繰り返すと思うので、そこは試行錯誤だと思っています。

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◆どれだけ強化できるか

――3シーズン目にはどんなテーマを掲げていますか?

やっぱりまずは怪我をなくす、怪我をしないことです。これがやっぱり一番。1年目と2年目はそこで苦しんできて、せっかくのチャンスもそれで失ってしまったことがありました。怪我をしてしまうと何もできなくなってしまうので、3年目はそこをやっぱり一番に持っていきたいですね。

――そのためにはどういうことをやろうと考えていますか?

これがまた難しいんですよね。でも、やっぱりこのオフシーズンで、如何に怪我した部分を強化できるかだと思っています。やってみなければ分かリませんが、シーズン中になるとリハビリできる範囲が限られてきてしまいます。普通の練習もしなければいけないし、そこから更に走っていくと、どんどんまた悪くなってきてしまうと思うので、いまの休める期間にどれだけそこを強化できるのか、他に負荷をかけないでそこだけ強化できるのかというのが、2~4月は一番大事だと思っています。

――毎年優勝を競うサントリーというチームに入って、ラグビー観は変わりましたか?

やっぱり勝たなきゃいけないっていうプレッシャーは、今までよりも強いですね。人生の中で高校、大学、トップリーグを通じて、特に決勝というのは初めての舞台でした。そういうところに立てたっていうのは、やっぱりサントリーに入ったからであり、そこは人生の中で僕は非常に大きかったなと思います。

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――今後に向けてのラグビーの夢やイメージはありますか?

怪我の痛みなくプレーしたいですね。自分の中でスピードはかなり落ちていると思っているので、そこを怪我前まで戻してプレーをしたいっていう想いがあります。

――今年ワールドカップイヤーですが、ワールドカップに対してはどういう気持ちですか?

もちろんラグビーをやっている、トップリーグでやっているっていう中では、出たいと思わせてくれる舞台ではありますね。今年は日本で開催されるわけですが、ワールドカップ自体は続くので、この先僕がラグビーをしていく中でのチャンスというのは、まだあると思っています。

あと、ワールドカップ自体がもっと盛り上がってくれればと思いますし、僕らもラグビークリニックやタグラグビーなど、このオフシーズンにいろんなことに参加させていただくんですが、まず地道なことですけど、そうやってラグビーを広めていけたらなと思っています。

――もうちょっと長い目で見た自分のやりたいことはありますか?

いまはもうラグビープレーヤーとしてしか考えてないですね。その後どうこうっていうのは考えていません。ラグビーを、もう、やり抜きたいですね。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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