2019年1月18日
#619 梶村 祐介 『どの状況でも一定のスキルを』
シーズンを通して試合に出続け、日本代表にも招集された梶村祐介選手。1年目の今シーズンから見えてくる課題、そしてワールドカップイヤーに向けての意気込みを訊きました。(取材日:2019年1月上旬)
◆リフレッシュ
――あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます。今までのオフはかなり動いていたんですけど、春からサンゴリアスで出させていただいて、シーズン中盤にはジャパンもあり精神的にも少し疲れていたので、今回のオフは良い意味でとてもリフレッシュできました。
――サントリーに入る前に想像していた1年目でしたか?
想像以上にゲームに出させていただき、思ったよりもゲームでの経験をさせてもらいました。
――自分自身でその手応えはどうでしたか?
日本代表に行く前までのパフォーマンスは、自分の中では少しずつ良くなっていると思っていたんですが、サントリーに戻って来てからのパフォーマンスは本当に良くないなと思いました。
――その原因は?
2ヶ月間、代表であまり試合に出られなかったのと、基本的にゲームがある週が続いていたので、体の状態が少しずつ下がっていってしまいました。サンゴリアスに帰って来た週の試合では、持ち味のボールキャリーに全く良いところが出ず、という感じでした。
――今度また同じような状況があった場合には、どう解決しますか?
正直変えられるところと変えられないところがあると思います。チームとして動いているところでは、ある程度チームが動いている時間に合わせないといけません。自分の武器はボールキャリーですが、逆に言うとそれ以外ができていませんでした。今回ボールキャリーが良くない試合では、他のスキルでも対応しきれなかったので、他のところにもっと着目してやっていなかければいけないのかなと思います。
――例えばどこを課題にしますか?
一言で言えばスキルになってしまうんですけど、ボールをもっと動かすところであったりします。この前のファイナルで言うと、僕の飛ばしパスの2本が詰められていて、その1つ繋がればチャンスのところで、僕のミスでピンチにしてしまっていました。そういうことがないように、どの状況でも一定のスキルを出せるようにしたいなと思っています。
◆80点を毎試合出す
――社会人1年目で想像以上の経験を積んで、改めてラグビーのここが面白いと感じたところはありますか?
僕の中で100点満点のゲームはなかったですし、サンゴリアスでも苦しい試合が続きました。僕としても課題が多く残るゲームが数多かったですし、自分のパフォーマンスがどれだけ良くても100点満点のゲームはないと思うので、そういう意味で今シーズン、ゲームの中でそういうことを感じることができたのは、逆説的ですがとても良い経験になったと思います。
――100点満点が取れないとすると何点を目指すんですか?
自分のパフォーマンスだと、どの試合でも40~50点くらいが平均になってしまっている、その平均を上げたいとずっと思っています。それが80点になって、80点をずっと平均にできればジャパンでも出られると思いますし、サンゴリアスで12番を絶対に着続けられると思います。その80点を毎試合出すということはとても難しいことだと思いますが、ただそれに気づけたということが1年目の収穫かなと思います。
――例えば大学の時、大学のレベルでは何点でしたか?
大学レベルで考えると悪くても60点くらい出ていたと思います。良かった時は90点くらい出ていて、悪いところが目立たないゲームが何試合かあったと思います。ただあの時の90点が今は60~70点くらいで、レベルも違うので何とも言えません。トップリーグに上がって戦う相手等、どのレベルも高くなっているので、大学レベルの60点を出しているようだとこのチームでは出られないのかなと思います。
――レベルが高いところに来て自ずと自分のレベルも上がっていますよね?どこが上がったと思いますか?
途中までは強みのボールキャリーの部分は上がっていました。ただ自分の満足のいくところまではいかなかったなと思っています。ディフェンスの部分はセミファイナルの時は少し良くなかったんですけど、自分の感覚としては少しずつ良くなって来ているのかなと思います。
◆常に正解のスキルを出せるような準備
――新しい年に目指すところはどこですか?
最終的には先程言った基本的に80点台のパフォーマンスを多くのゲームで出すこと。あとスキル面で言うと、ファイナルでとても感じたんですけど、ボールキャリーだけだと僕が持った瞬間にディフェンスが閉じるイメージがあって、僕が閉じられているということは他が絶対に空いている訳です。そこを攻められるような余裕を持って、スキルに関しては常に正解のスキルを出せるような準備をしていきたいなと思います。
――環境面は今年はどうカバーしていきますか?
オフフィールドでオフにしないことが一番だと思います。現メンバーはグラウンドでしっかり練習をして、オフフィールドではある程度リフレッシュしていると思うんですが、出られないメンバーはそこでいかに周りより努力するか。今回の遠征だと僕は初めての遠征でどういう流れか掴めないまま終わってしまったので、もし次に呼ばれることがあれば同じ失敗はしないようにしたいと思います。
――体が強いという自覚はありますか?
ボールを持った時の力強さという面では自信があります。ただ自分のコンディションが良い時に限るので、コンディションが落ちてしまうと、キャリーでいつもなら自信を持てるところで消極的になってしまったりということが、12月のトーナメントに入ってからよくありました。
◆次のシーズンでまたタイトルをとれるように
――いよいよワールドカップイヤーですが、日本代表に向けての意気込みは?
前回呼ばれたことで、ゼロに近いものだったのが少し可能性が出てきたと思います。ただ正直、まだ可能性は低いと思います。でも呼ばれる可能性もゼロではないので、1年間良い状態をキープすることが、今年の自分ができることなのかなと思います。
――そのために一番気をつけようとしていることはなんですか?
ゲーム感というところではあまり心配していないんですけど、前回の遠征に行った時のように体重が落ちたりとか、自分の強みに直接マイナスになるようなことは避けようと思っています。そのためにはオフシーズンの過ごし方、そして代表合宿にいくこともこれからあると思うので、そういう時のトレーニングの方法は見直していきたいと思います。
――新年のメッセージをファンの皆さんへ
あけましておめでとうございます。昨シーズンはサンゴリアスとしても個人としても満足のいく結果にはならなかったので、まずは今月のカップ戦でしっかりと結果を残して、次のシーズンでまたタイトルを取れるように、個人的にもチームとしても進化した姿を見せられるよう頑張りたいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]