SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2018年7月27日

#595 西川 征克 『相手にプレッシャーをかけてチームに良いリズムを生み出す』

30歳を超えて初めて日本代表に選ばれた西川征克選手。日本人バックローのサンゴリアスの要として、今シーズンに懸ける意気込みを訊きました。(取材日:2018年7月2日)

①171217_1907.jpg

◆ブレイクダウン

――初代表!今の心境は?

特に変わりありません。試合の時も特に緊張するわけでもなく、楽しめたので良かったです。

――31歳で初代表ですが、どうですか?

これまでやってきたことで選んでいただきました。自分自身がサントリーで成長したことが評価されたのかなと思います。

――家族で喜んだりしましたか?

家族は喜んでいたんですけれど、僕自身が日本代表ということに対して、サントリーに入ってからもその前のカテゴリーでも呼ばれたことがなかったので、嬉しいという実感があまりなかったです。3月からNDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)のキャンプに呼ばれて、ジャパンAでやって、その流れで上手いこといったなという感じです。

――NDSに呼ばれた時の心境は?

6月にサントリーとしてブランビーズ戦があったので、それに対して早めに準備できるから良いなという感覚でした。

――実際に試合に出て、日本代表1キャップを獲ったという気持ちはどうでしたか?

純粋に1キャップ獲れたのは嬉しいです。目指していたというほど強い気持ちはなかったかもしれないですけれど、1キャップ獲れてあのジャージに袖を通せたことに関しては嬉しいです。

――自分ではどこが良くて選ばれたと思いますか?

バックローは外国人やフィジカルの強い選手が代表にほとんど呼ばれていますが、自分は特に体が大きいわけでもないですし、ブレイクダウンのところでしっかりとやっていたことが評価されたのかなと思います。

②180501_6645.jpg

◆使命感

――実際に試合ではどうでしたか?

40分しか出ていないですけれどフィジカルの部分で体は消耗していて、その中でできる部分、ジャッカルの部分では相手に絡めましたし、自分がやらなければいけないことは最低限できたと思います。

――その中で何が成長しましたか?

ラグビーに対して考えられるようになりました。ジャッカルにしてもどうやったら取りに行けるか、強い相手にもどうやったら取れるのかということを、だいぶ体で覚えられるようになったので、そこは良かったと思います。ウエイトの数字では上がっていない部分があるんですけれど、ベースの部分は落とさずに考えられるようになったということで、プラスなのかなと思います。

③171203_2430.jpg

――今後への意欲は?

僕自身が行くぞと決められるわけではないので(笑)。この後、網走合宿があってトップリーグが開幕になって来ますが、サントリーもバックローのレベルが高くて出られる保証はないので、まずそこでしっかりと試合に出てアピールすること。その結果が今後に繋がってくる可能性があると思います。まずやるべきこととできることをしっかりやって挑めたら良いと思います。

――日本代表に行ってみて、良い場所だから「また来たい」という気持ちはありましたか?

日本を代表するレベルの人とできていることは、自分自身まだまだ勉強になるので、そこは良いと思います。

――コメントが淡々としていますね。自分でも心境の変化がもっとあると思ったけれど、実際にはないという感じですか?

心境の変化はそこまでないですね。

――その落ちついたクールな感じはなぜですか?

年齢じゃないですか(笑)。若かったらもっと貪欲になっているかもしれませんが、自分のレベルも分かっています。

――でも、また呼ばれたらやるぞという自信はありますか?

やれるという自信よりも、呼ばれたらやらなければいけないという感じですね。代表ということは日本を背負うということなので、あの場所に立つと使命感の方が近いと思います。

④171209_6486.jpg

◆タイミング

――やってみて新たな使命感は?

1キャップ目なので、まずは楽しみました。サントリー1年目の第2節で初キャップを獲った時は心臓がバクバクだったので、そういう気持ちになるのかなと思っていましたがそうではなくて、本当にいつも通りに挑めました。

――最近はドキドキするようなことはないですか?

ないですね(笑)。

――例えば、日本選手権の決勝でもドキドキしませんか?

しないですね。良い緊張で臨めています。

――それは相当成長したということですね

そうですね。やってきていることしかできないので、それ以上は求めても変わらないし、あとはやるだけという感じです。

――やってきたことに関しての自信はあるということですね

そうですね。2連覇していてそれが結果として繋がっているので、僕にとっては正しい方向だったんだと思うことができます。いざという時になって「どうしよう」と思うことはなかったです。

⑤180501_s5319.jpg

――今後を考えると今どの辺に来ていますか?

どちらかと言うと引退の方が近いと思って「あと何年できるんだろう」と思っていたんですが、まだまだ成長できる部分は絶対にあると思うし、そこに向かってどれだけできるかだと思います。

――どこを上手くなりたいですか?

ラグビーをスマートにできるようになりたいです。ただがむしゃらに走ってタックルしてというイメージより、ここでボールを取りに行くとか、ここで早いテンポで出せたら後はバックスが取れるとか、そういうことを考えたプレーをやらなければいけないと思います。

――そのためには何がポイントになりますか?

練習でもそうですけれど、ラグビーを考えてやることです。

――それはここ2年間で一番伸びている感じですか?

そうですね。伸びていると思います。

――自分で考えながらやっていて面白いですか?

面白いですね。感覚でしかないですけれど、「このタイミングか」ということが分かってきています。他人にはどう伝えて良いか分からないですけれど、考えが出てきます。この2年間は試合にも出ることができているので、実感できる部分が大きかったのかなと思います。

――引退が伸びたという感じですか?

いや、伸びてはないと思います(笑)。

⑥171209_6161.jpg

◆バックローの成長

――今シーズンの目標は?

まず試合に出るということと、3連覇できるように、どんな形であれチームに貢献できるようにしっかりやっていくことです。

――どの辺で一番貢献できたら良いと思っていますか?

バックローは日本人で1枠しかないと思うので、そこを争っていくことが僕の成長でもあり、サントリーのバックローの成長にもなってくると思うので、そこをみんなで高めて行けたら良いと思います。

――あまり余計なことを考えていないという感じですね

そうですね。逆に自分自身ができることは少ないので、自分のやるべきことが明確になってきていると思います。

――その辺が整理できているんですね

そうですね。それ以上はチームから求められていないと思います(笑)。

――自分は?

自分も求めていないですね。自分のやるべきことを理解して遂行できたということです。

――自分のやるべきこととは?

タックルやブレイクダウンやボールキャリーでしっかりと相手にプレッシャーをかけて、チームに良いリズムを生み出すことです。

⑦171007_2606.jpg

(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

一覧へ