2018年7月20日
#594 ツイ ヘンドリック 『ボールキャリーそしてトライをたくさん』
入部6年目を迎え安定感と頼もしさを増し続けているツイヘンドリック選手。30歳という節目の年に、何を思い何を目指しているのでしょうか。夏の日の朝のトレーニング後に訊きました。(取材日:2018年7月2日)
◆ヒントやトリック
――ラグビー人生において今は一番楽しい時期ではないですか?
ここ2年間は成功していて3連覇するという目標があるので、今年に関してはみんなとても幸せだし、ラグビーをとても楽しめていると思います。これから3連覇に向けてもう1回、しっかりとフォーカスしてやっていかなければいけないという気持ちです。
――そういう面でツイ選手にとってのチャレンジは何ですか?
サントリーとして初めての3連覇を獲るということが、チームの一員としての僕のゴールです。昨年あった自分の弱みを改善して継続して向上させることと、サントリーの若い選手たちを成長させていくための手助けをしていかなければいけないと思っています。
――昨年の弱みとは?
怪我があったところそのストレングスを戻さなければいけません。全体的にはディフェンスのフィジカルの部分を上げていかなければいけないと思っています。
――サントリーの過去の良き外国人選手からいろいろと学んだとのことですが、昨年チームに加わったギタウ選手とマクマーン選手に関してはどうですか?
2人とも素晴らしい選手です。ギッツ(ギタウ)に関しては世界中を飛び回っていて、ワールドクラスの選手たちとの経験をたくさん積んでいます。ショーン(マクマーン)に関してはチームに元気を与えてくれますし、アタックもディフェンスも彼の爆発的な動きが、とてもチームに貢献していると思います。もちろんボールキャリーも素晴らしいので、そういう選手がチームにいることが自分にとっても心強いです。
――ツイ選手自身が若手選手やサントリーのメンバーに伝えていることは何ですか?
ラインアウトのジャンパーに、ヒントやトリックなどの細かい部分で試合に使えることを教えています。
――トリックは面白そうですね
ここで話して自分の手の内をゼロにしたくないな(笑)。
――トリックはツイ選手が自分で考えているんですか?
自分のラグビーキャリアで学んできたことで、コーチから学んだことも、自分の経験から学んだこともあり、スマートなアイディアはたくさんあります。自分は全員をコーチするという立場ではないと思っていますが、細かいことで若い選手にアイディアやティップみたいなヒントを与えることによって、とても重要なことに繋がってくると思います。
――ティップとは?
アドバイス、「こうした方がいいよ」というヒントのことです。
◆チャンピオンシップで勝つ
――今ラグビーをやっていて一番面白いと思う時はいつですか?
勝つ時です。ここ2年間ファイナルでしっかりと勝った時、みんなハッピーな顔をしていました。メンバーやスタッフのハッピーな顔を見ることができて、自分にとってとても嬉しかったことです。
――美しくチャレンジして散るのと、非難を受けても粘り強く耐えて勝ち上がるのと、どちらが良いと思いますか?
負けたことによってもちろんポジティブになる可能性もありますよね。プレーオフに行ったということがモチベーションになって次の良い結果が出るかもしれません。サンゴリアスも2年前は無敗で勝ちましたが、昨年はパナソニックには負けました。あの負けによって自分たちは良くなりました。
パナソニック戦で自分たちのことをたくさん学ぶことができて、ファイナルで戦った時の勝利に繋がっていきました。本当に良い経験ができた負けだと思いました。
――ラグビー日本代表に対してはどう思っていますか?
チームとして見た時にとてもまとまりが出てきて、良い試合をするようになってきたと思います。昨年の試合よりも6月のツアーの方が、たくさん成長したのではないかと思っています。
――自分が代表に入るという目標はありますか?
行きたいという気持ちはあります。また機会があったら行きたいです。またプレーしたいと思っていますし、またワールドカップでプレーしたいという気持ちはあります。
――中長期的な目標は?
今年に関してはチャンピオンシップで勝つことです。来年は誰もスケジュールが分かっていないので何とも言えないです(笑)。ジャパンに選ばれてプレーできるかもしれないですし、スケジュールが確かではありませんが、スーパーラグビーでプレーするチャンスもあると思います。今はまだちょっと分からないです。
――自分ではまだまだ成長していると感じますか?
はい。成長する場所は常にあると思います。
――成長したい部分と実際に評価している部分は?
全部進歩させたい(笑)。
――例えば?
スピードと加速のところです。いつもGPSで悪い数値が出てしまうので、スピードと加速のところのフィットネスで、若井さん(ヘッドS&Cコーチ)がハッピーになるように数値を出したいと思います。
――ラグビーを考えるようになったことがサントリーの強くなってきた理由だと多くの選手が言っていますが、どう思いますか?
とても大事なところだと思います。サントリーのカルチャーがあるからこそ、それができる環境にあると思います。コーチングスタッフがそのことにチャレンジして、選手たちがもっと考えるようにしていますし、それが選手たちにとっても良いし、チームにとってもとてもポジティブになっていると思います。
練習の中でポジションを取るための競争が行われるようになってきています。若い選手が頑張って良い練習をした時は、シニアメンバーにとっても良いんです。そういう彼らのチャレンジが良い競争に繋がっていると思います。そういう若手がいることで、シニアメンバーは常に頑張らなければいけないという気持ちなるので、そのサイクルはとても良いと思います。
――ツイ選手自身もより考えるようになりましたか?
毎週たくさんミーティングをやっていますし、ディスカッションもたくさんやっています。チームとしてどう成長できるかについて常に話していますし、スキルの部分やどうやって相手のチームを倒して行くかの話し合いを自分たちはたくさんしています。
――今年は特にどこに注目したら良いですか?
サントリーに入った時のように、今年はボールキャリーのところをもっと見てもらいたいです。そしてトライをたくさん取るところですね(笑)。
(通訳:吉水奈翁/インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎、田中康子)
[写真:長尾亜紀]