SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2018年7月 6日

#592 ジョー ウィーラー 『ハイテンポのラグビースタイルが自分に合っている』

サンゴリアスに加入して3シーズン目を迎えるジョー・ウィーラー選手。フォワードリーダーのひとりとして安定感を増してきたウィーラー選手の技と心に迫りました。(取材日:2018年6月25日)

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◆リーダーシップの部分で成長した

――サンゴリアスのラグビーを2シーズンやってみてどうですか?

とても楽しんでいます。自分の人生の経験も自分の妻もそうですけれど、ラグビー選手としても成長していると実感しています。

――だんだんと自信を持った顔に変わってきていますよね

最初に来た時は、チームに馴染むことに時間がかかりました。チームでプレーをする時には、選手として他の選手からリスペクトされなければいけない訳ですが、自分のプレーを見た選手たちと、徐々に信頼関係を築いていけたのではないかと思います。その部分はここ2年間で変わったところであり、カルチャーや言葉の部分でも少しずつ慣れてきました。

――日本語が上手くなってきましたね

ちょっと良くなってきた(笑)。日本語のストラクチャーはたぶん外国語を話す人からしたら難しいと思います。日に日に良くなって来ていますが、ハイランダーズ(ニュージーランド/スーパーラグビー参加チーム)に6ヶ月戻ってしまうと、また元に戻ってしまうところも少しあると思います。

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――「成長している」というのはどこですか?

自分にとっては海外に来ることによって、自分の居心地の良い状況から外れてしまいます。自分がハイランダーズにいた時よりも日本に来るといろいろな意味で変わってくるので、コウ(妻)と手助けし合わなければいけない状況になって、2人の信頼関係がより良くなったと思っています。
ラグビーに関しては、選手としてもちろん良くなっていますが、ラインアウトのリーダーシップではハイランダーズにいた時に比べて言葉の壁がありながらも、向こうにいる時よりもリーダーシップを取らなければいけないこともあって、難しい部分がたくさんあった訳ですが、そういう部分でも成長したと思います。

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――具体的に言うと、ラインアウトでのウィーラー選手のリーダーシップの役割はどういうものですか?

フォワードコーチのヤマさん(山岡)と一緒になって、ストラクチャーの部分や動きの部分で意見を言い合います。ラインアウトになった時は、自分はコーラーなのでコールをしっかりしなければいけません。そして他の日本人選手のスキルを把握して、彼らがしっかりと動けるようにということを意識しています。

――コーラーとして一番大事なことはなんですか?

自分たちが一生懸命練習をして「こうくるだろう」と思っていても、相手によって変わってくることもあります。相手が今までと違うことをしてくることはもちろんあるので、ラインアウトからの相手のアタックやディフェンスがどのようにしてくるかを、相手の絵を自分たちがパッと見た時に見極め、調整していくことがとても大事です。それをいかに冷静にできるかが、かなり大事な要素になってきます。

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◆キャッチパスは一番大事

――ウィーラー選手はキャッチが抜群に上手いですね

スキルはクリケットの経験から来ているかもしれません。クリケットをやっていて、幼い頃から常にずっとボールを扱っていたので、スキルはそういうところからきていると思います。

――ボールが飛んでくると、どこまで見ているんですか?

自分がコバ(小林)とか他の選手に言うのは、「相手がボールを持ってキックをする時からしっかりと見ていろ。相手がボールを持ってキックをして、最高到達点に行った時も絶対に目を離すな。全てを見ろ」と。

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――回転もよく見えるんですか?

ずっと見ていれば見ることができます。どこに着地するかは感覚で体に染み込んでいるので、プロセスでというよりは体で覚えています。

――ボールの受け方にも秘訣があるのでは?

前に向かって行くのではなくて、ボールに対して横向きになることを意識しています。少し横になっていれば、ボールを落としても後ろに行く。どうしてもそうできない時は前になってしまいますが、基本的にそうやって取ろうとしています。基本的に横に跳んで、落としてもノックオンにならないようにしています。

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――そのすべてのもとは目ですか?

フッカーの投げるラインアウトから見るし、蹴る時も蹴る前から見るし、パスの時も来るところを見ています。

――あとキャッチのフォームが良いですよね

どう答えて良いか分からない(笑)。

――ウィーラー選手のキャッチだけでも見に行く価値があると思います

褒め過ぎです(笑)。褒められるのは慣れていないです(笑)。

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――あれだけキャッチが上手ければ、サッカーのゴールキーパーやハンドボールも向いていたと思います

パスキャッチはタイトフォワードとしては一番大事なところだと思います。そこが強みということもありますが、パスキャッチはラグビーでとても重要な部分になってくるので、スキルセットは日々練習してやっていかなければいけないと思っています。日本人の選手と一緒に毎日やっていますし、常に向上させていかなければいけない部分だと思っています。

――サッカーとかハンドボールではないということですね?

その2競技だと、タックルができないので(笑)。

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◆選手の育成も大事に

――サンゴリアスで2年間やってきて感じるサンゴリアスの良さは?

チームメイトはオンでもオフでも欠かせませんが、みんな良い人ばかりです。練習はプレーもスタイルもバランスもとても良いし、キックをしたりボールを持って長く時間を使ったりすることもあるし、しかもハイテンポなラグビースタイルが自分にとても合っていると思います。
3年前の良くない成績からここ2年間は優勝して、流、マツ(松島)、元樹(須藤)、石原を始めとしたメンバーがジャパンに選ばれています。今もやっている選手も含めてみんな我々の代表として出てくれていますし、そういう選手たちが3年間で育っているということは、自分にとっても嬉しいし、このチームだからだと思います。

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――今シーズンの目標は?

チャンピオンシップでしっかり勝つことが、まず最初の目標です。さらにチームとして、選手たちが成長してどんどん良くなっていくことを自分も望んでいます。選手の育成という部分でも、タイトフォワードやロックの選手たちを育成していくことを、自分として大事にしています。来年またスーパーラグビーも始まってくると思うんですけれど、そこに自分も参加できたら良いという希望もあります。

――プライベートの目標は?

昨年の11月に結婚をして、今年の12月に子どもが生まれる予定なので、それがとても楽しみです。自分たち夫婦にとって嬉しいニュースです。子どもが生まれたらライフスタイルは変わってしまうかな(笑)。それもまた楽しみです。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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