SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2018年2月16日

#572 西川 征克 『勝つことだけが面白い』

2017-2018シーズン、終わってみれば、全試合出場の西川征克選手。常に黙々とプレーする西川選手に、現在の心境とこれからの展望を訊きました。(取材日:2018年2月5日)

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◆自分をコントロールできた

――2017-2018シーズンはどうでしたか?

満足です。極論から言うと、全試合に出られたことと、1年間、怪我なく通せたことが良かったことに繋がってくると思います。

――全試合に出られたのは初めてですか?

初めてです。8年目にしてようやくです。

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――「ようやく」という言葉にはどういう思いが入っていますか?

8年間はスパン的にも長いですし、その中で一番は、怪我なくできたということです。

――怪我をしないのも初めてですか?

若い頃はありませんでしたが、4年目からは毎年何かしら怪我をしていました。

――怪我をしない秘訣は?

自分をしっかりとコントロールできたことが大きいと思います。休む時は休んで、やる時はやるという、オンとオフがきっちりできていたことが、結果的に自分でコントロールできたことに繋がっていると思います。

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――今までやり過ぎていたということですか?

やり過ぎていたというよりも、以前はやらされていたという感覚が大きかったので、今は無理なら無理と考えられるようになりましたし、その辺が練習で上手くいっていたと思います。

――無理なら無理と言えるだけの判断ができるというのは何が変わったんですか?

歳をとったんだと思います(笑)。体がすぐに示してくれるようになりました。

――体の声を聞いている感じですか?

そうですね。年齢も年齢になってきたので、無茶できないなという。

――体が示す年齢というのは、例えばどういうところですか?

試合後になかなか疲れが抜けないということを、一番感じます。

――今まではそういう時でも、やらされている練習をしてしまっていたということですか?

そうですね。自発的にやる練習と受身になってやらされる練習と、上手く区別をつけられていなかったと思います。その区別が簡単ではなかったですすね。怪我がつきもののスポーツなので、気をつけていても怪我をしてしまうこともありますし、そこは難しいです。

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◆ラグビーの知識を体現できた

――2017-2018シーズンで成長したところはどこですか?

サントリーのラグビーを1年間通して理解して、成長できる場面をしっかりと過ごせたということが、成長だと思います。

――サントリーのラグビーも1年間を通じて成長しているということですか?

そうですね。サントリーとしても最後の決勝まで、ずっと成長していたと思います。

――個人的にはタックルの部分で成長を感じていましたが、自分自身ではどう感じますか?

1年間やっている中でしっかりとコミュニケーションを取れるようになっていましたし、タックルを外される回数は減ったのかなと思います。

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――ブレイクダウンもボールキャリーも含め、どの試合でもコツコツとプレーしていたように見えました

ボールキャリーに関してはチームに良いフィニッシャーがいるので、良い球を出すということと、ゲインラインを少しでも超えるということを意識していました。以前までだったら相手を抜いてやろうという意識があったんですが、供給というところを意識してできたのは良かったです。

――その方がゲインしているんですか?

ゲインは昔の方があったと思います(笑)。

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◆途切れることがない

――今のサントリーのラグビーの面白さは?

勝ちにこだわってやっていて、ゲームに勝つことが面白さです。それに向けて練習もしますし、それで勝った時は楽しいと思えます。その姿勢がサントリーとしてやっていて面白いです。

――今までも勝ちを目指してやっていたと思いますが、どこが変わりましたか?

自分たちで考えてやることが多くなったということが、今までとの違いかなと思います。

――具体的に「考える」とは?

こういう場面ではこうプレーしようとか、ここではボールを取りに行くとか、そういうことを考えています。状況判断のところは良くなったと思います。

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――自分で判断するから動き出しも速くなったんですか?

そこは玄人になってきたというか(笑)。8年間の経験で、例えば相手ボールのラックで、「狙いたいな」、「球出しを遅らせたいな」と思う時はある程度プレッシャーをかけに行きますし、無理だと思ったらそのラックは捨てます。8年目にして判断は良くなったと思います。

――そうすると面白さはどうですか?

僕としては、大きく言えば、勝つことだけが面白いと思います。それに向かって積み重ねていると思えるからモチベーションになりますが、練習だけだったら全然面白くないと思います。目標があってそこに向かう過程で、勝つことが面白いです。

――出来たという感覚が全試合で積み重なっていく感じですか?

積み重なっています。怪我がないということは、それが途切れることが無いということですし、普通にやっていれば落ちることもないと思うので、そこで今回は上手くいきました。

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◆負けたくないという気持ち

――今の課題は何ですか?

2017-2018シーズンに関して言えば優勝をしましたし、勝ち負けは結果論なので優勝したことが良かったと思います。課題はこれからオフ期間中に、次のシーズンでまた自分が成長するために、何が必要かを考えます。

今は本当にまだ何も考えていませんし、練習もしていません。休むべき時にはしっかりと休みたいので、何も考えず、今は本当にオフです。

――今の目標は?

来シーズンも試合に出られるためには何が必要かを、しっかりと春シーズンから考えてやっていくことです。

――今のところ直感的に何が必要だと思いますか?

まだやってみないと分からないですが、ベースのウエイトトレーニングやフィットネスはしっかり戻して春に挑みたいです。

――過去のBチームのキャプテンなどの経験も活きましたか?

Bチームがというよりも、試合に出られていない時にチームが優勝して、グラウンド外でその姿を見ている時の悔しさを経験して、グラウンドに立ってやりたいという気持ちがありました。だから、負けたくないという気持ちが出ていました。

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――チームの中でリーダー的な役割を担うことは?

自分自身なかなかそういうタイプではないので難しいんですが、体を張ることでチームを引っ張っていけたら良いと思います。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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