2017年12月28日
#567 キャンベル マグネイ 『来た時よりも良い選手に』
オーストラリアからやってきた21歳のキャンベル・マグネイ選手。若いながらもリーグ戦初出場でしっかりと結果を残しました。新しい若きチャレンジャーの心境を訊きました。(取材日:2017年12月12日)
◆自分がやりたいラグビー
――この年齢でサントリーに来るのは若いと思いますが、どういう決断をしたんですか?
オーストラリアとサントリーのシーズンは違いますよね。機会があったことがまず最初で、そこから怪我をしてしまったということもあって、サントリーに来るチャンスを自分で選びました。ジョージ(スミス)もヘンディー(ツイ ヘンドリック)も一緒にレッズでプレーしていたのですが、その時にサントリーはアタッキングラグビーをやっているという話を聞いて、それはまさに自分がやりたいラグビーだということで決断しました。
――オーストラリアのラグビーへの未練は?
プレシーズンの時に怪我をしてしまって、シーズン通してしっかりとラグビーができたことがなかったので、とりあえず自分としてはラグビーをやりたい、プレーしたいという気持ちが強くなって、その時に日本に来るチャンスがあったので選んで来ました。
――実際にサントリーに来てどんなことを感じましたか?
まずは速いラグビー。あとはスキルレベルが高いと思います。スキルの部分は自分も成長しなければいけません。ヒューイ(ピーター・ヒューワット前BKコーチ)と敬介さん(沢木監督)が自分のスキルに対して助けてくれたので、自分としては凄く楽しめています。
――日本のレベルは想像していたレベルでしたか?
自分が期待していたよりももっともっとスピードが速いし、アタックをしているということを凄く感じました。
――そこは望んでいたんですよね?
そこの部分をレベルアップしたいです。
――最初、試合に出られない期間がありましたが、その間はどうでしたか?
ストレスが溜まっていました。最初に怪我をしてしまいましたが、そこからヒューイと敬介さんが自分の向上しなければいけないポイントを、ビデオを見ながらたくさん教えてくれて、最初は出られなかったけれどそういう意味では成長できました。
――初試合はどうでしたか?
最初の試合はNTTコミュニケーションズとの練習試合で、ちょっと緊張しました(笑)。しっかりと練習していたので、プレーできて凄く良かったです。言葉やスタイルは違うけれども、自分としては1位になれたような気持ちでした。
怪我をした時は、常にここがもっと成長できるチャンスだと思ってポジティブに捉えていました。もちろんフラストレーションも溜まるけれど、その中でステップアップ、レベルアップができる機会だと思うようにしていました。
――基本はポジティブなんですか?
そうなろうとしています。
――本当はポジティブではないんですか?
ポジティブです(笑)。
◆ヒーローみたいな感覚
――もともとラグビーをやり始めたのはいつですか?
15人制は高校の時から始めました。それまではラグビーリーグを7歳からやっていました。父がラグビーリーグをやっていたので、同じように始めました。
――兄弟は?
弟と妹です。凄く身長が高くて、弟は2m10cmあってバスケットボールをやっています。
――他のスポーツは?
水泳と陸上です。
――ラグビーのどこが面白かったのですか?
ナッジーという高校があって、そこの周りにたくさん友達がいました。イヤー8~12の時から同じチームでプレーして、最後にイヤー12で1回負けた以外ずっと無敗でした。勝てていたから凄く楽しかったです。
――ポジションは?
ウイングかセンターです。
――ラグビーに合っていると思ったのはいつですか?
イヤー12の最後の時です。全校生徒が見に来る凄く良い環境のスクールゲームで、1万人来るくらい有名なゲームをいつもやっていたので、そこで僕は凄く盛り上がってしまいました。ヒーローみたいな感覚になりました。
◆どんどん決まって行きました
――そして17歳でクイーンズランド・レッズと契約したんですね
はい。レッズで3番目に若い選手でした。
――レッズに入ってみてどうでしたか?
勝つよりも負けることの方が多かったんですが、友達、地域のためにプレーするということは自分にとって良かったです。
――レッズに入った段階で、ラグビーで生きていくと決めたんですか?
レッズに行く前に「1軍になる」ということがまず最初の夢でした。高校でラグビーを始めてオーストラリアスクールボーイズの代表になって、そこの段階で上にいくのは早かったですね。それが楽しくて、高校の時にラグビーをやっていきたいなと思いました。そこから代表入り、レッズ入りとどんどん決まって行きました。
――決めた時には子供の頃の楽しさと同じイメージですか?
同じですね。スキルはあまりなかったですが、サイズは自分の強みだと思っていました。父からはアグレッシブにハングリーになれと試合中によく言われました。
――あまり怒らないんですか?
プレーの時だけで、スイッチを入れます。
――もともとは優しいんですね
はい。ピッチ外では良い人です(笑)。
――お父さんは何をしているんですか?
シッピングカンパニーを経営しています。でも、自分にはあまり合わないと思います。自分としては、ラグビー以外で、いま家の売買のディベロッパーに少し興味があるので、勉強しています。いろいろな人とラグビーを通じて出会えますし、そこからの人脈ができてきています。
◆フィニッシュでしっかりとやりきる
――トップリーグに出て日本のラグビーの手応えはどうですか?
タックルが凄く低いと思いました。なかなか浸透しきれていませんが、凄く楽しんでします。サントリーのアタックスタイルが好きです。
――その先はどう考えていますか?
まず勝ちたい。サントリーでタイトルを獲る。サントリーは世界的にもエリートなチームです。最終的にはワラビーズ(オーストラリア代表)でプレーしたいという思いは、もちろんあります。
――サントリーにはライバルがいっぱいいますよね
練習でいつもお互いにチャレンジしています。ギッズ(マット・ギタウ)、カーペンター(デレック)、亮土(中村)、大志(村田)、たくさん良いセンターがいます。
――勝つためには?
練習をしっかりとしなければいけません。コンディションがベストでなければいけない。
――自分で波はあると思いますか?
これまで怪我がありましたが、試合は出られればしっかりと安定したコンスタントな選手になれると思っています。もちろんミスをすることもあるけれど、怪我から学んでいく。
――怪我をしないことが大事ですが、そのためには何を意識していますか?
下半身を調整していたり、練習の量もコントロールして調整したりしています。日本のラグビーのスタイルに慣れていくためにやっています。走ったりすることも多くなってくると思うので、自分でやったりしていて、今のところ上手くいっています。
――いまの課題は?
センターとしての判断の部分です。判断してしっかりとやりきる。ウイングの選手にセットアップして、ウイングの選手がトライを取れるように良い動きをしなければいけません。
――もともと足が速いんですか?
両親は速かったみたいです。自分も速い方だと思います。陸上もやっていたので。
◆レベルアップした自信
――今シーズンの目標は?
今シーズンが終わる時には、自分が来た時よりも良い選手になって今シーズンを終わらなければいけないと思っています。自分としてもレベルアップした自信があって、周りには仲間がいます。最終的にはトップリーグで勝つことです。
――日本はどうですか?
みんな丁寧だし、優しくしてくれるし、親切です。今までに10回、日本に来たことがあります。
――なぜ?
両親がスキーをやるので、北海道や白馬に行きました。おじさんが以前IBMでプレーしていて遊びに来たりしていました。
――ファンにはどんな自分を見てもらいたいですか?
チームの一員になって、そこで自分が全てを出し切っているところ見てもらいたいです。
――出し切ることが自分のモットーですか?
自分のベストを出しているところを見てもらいたい。チームプレーヤーとしてやっているところも見てもらいたいです。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]