SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2017年11月23日

#562 長友 泰憲 『いかに行くか、追求していきたい』

リーグ前半戦の最後になって、ようやく今シーズン初出場を果たした長友泰憲選手。すっかりベテランとなった10年目のシーズンを戦う意識と目標について訊きました。(取材日:2017年10月30日)

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◆負けている時も冷静に周りを見る

――前半戦最後の2試合(トヨタ自動車戦、パナソニック戦)に出てみてどんな感じですか?

1試合目は出場時間が2秒です(笑)。ペナルティゴールが外れるのを祈ったというくらいでした。あれは僕が出たから外れたんですよ(笑)。多くの人に出ていたか出ていないか分からないくらいで、「長友いた?」と思われたと思います。

――長友選手が出たから外れたのなら、良い交代だったんですね

良い交代でした(笑)。

――2試合目(パナソニック戦)はどうでしたか?

2試合目は前半の終わりから出場したんですが、難しい状況でした。ディフェンス面が多くてアタックがあまりできなかったので、もう少しアタックをしたかったなという感じでしたね。

――ディフェンスが良かったと思いますが、どうですか?

裏に蹴られているということがあったので、出るにあたって裏のスペースのディフェンスをシャットアウトしないとやられるので、そこをしっかりとコントロールしようという意識はありました。
やっぱり何をするにしてもディフェンスがしっかりしていなければアタックもできないので、昔からそこはしっかり意識してやろうと思っています。

――そこを意識しながら相手にそういう攻めをさせずに、更に良いタックルが何回もありましたね

そうですね。キャッチした瞬間とかアタッカーが一番動く時はスムーズなステップが切りづらいので、そこをディフェンスで狙って行くようにはいつもしています。それがしっかりとはまったかなという感じですね。

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――ある程度イメージした通りにプレーはできましたか?

ディフェンスに関しては、まだチームとして上手くいかなかった部分もあって、コミュニケーションをもっと取らなければいけないと感じたので、修正していく部分はあると思います。全体的には、そんなに崩れる部分はなかったので、負けはしましたけれど、そんなに悪くはなかったと思っています。

――攻めの方はどうですか?

僕自身、焦りがあったわけではありませんが、負けていても落ち着いて、前を向いて判断するプレーがもっとできていたらと思う部分がありました。ブラインドサイドを攻めたり、相手が来たくなったらオープンに持って行くということを、もっとやれば良かったと凄く思っています。負けている時も冷静に周りを見るということが課題だと思いました。そこはもっと練習からやっていくべきだと思います。

――冷静になれなかったのはなぜですか?

点差も点差だったので追いつかなければということと、ボールを保持しなければということが、チームとしてのマインドになっていたので、それで単調なプレーになってしまいました。僕ももっとリーダーに主張していかないといけなかったと思います。

――そこは次の改善点ですか?

そうですね。やっぱりそこが大事だと思います。

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◆しっかり練習でファイト

――コンディションはどうですか?

ちゃんと試合の準備はしているので、そんなに悪くはないですよ。

――前半のラスト2試合に出ているということは上がってきたということですか?

何年もハードな練習をしてきているのでコンディションが崩れるということはないと思っています。シーズンが進むにつれて少しずつ上がってきていると思いますし、試合で使ってもらえているということはそんなに悪くはないかなと思います。でも、「めっちゃ良い」という感じではないです。常にしっかり準備はしておこうというマインドだったので、それがあったからすんなり入れたと思います。

――準備をしっかりしておこうというマインドはどこから生まれているんですか?

シーズンが進むと怪我人も出たりしますし、メンタルが落ちていたら試合に出ても良いパフォーマンスができないと思います。しっかり練習でファイトしておいて、モチベーションを落とさないことが大事だと思っています。

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◆ヒップ周りを鍛える

――2試合は出られました。さぁこれから!ですね

試合に出たい、チームに貢献したいという思いだけです。

――その先にある目標はなんですか?

優勝するピッチに立っていたいということが一番の目標です。ずっとラグビーをやってきて、日本で一番になるということはやっぱり凄いことだと思います。何回か経験してきましたけれど、ピッチに立って優勝した時の気持ちを、メンバーと分かち合いたいということが一番です。

――サントリーは特に近年、速いウイングがどんどん出てきて本当に熾烈な争いがありますが、そういう若手たちを見ていてどうですか?

勢いがあるということが一番の印象です。例え僕のスピードが上がったとしても、スピードの部分では敵わないと思うので、どこで勝つかを僕なりに探していかなければいけないと思います。そこを模索しながらやっています。

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――強み、ここで勝つ、というポイントはどこですか?

ディフェンス力とフィジカル面で圧倒していかないと、スピードに特化している選手になかなかタッチできないので、そこをもっと成長させて強い体を作っていって、スペースの使い方とかをもっと向上させていけたらと思います。

――強い体を作るとは具体的にどういうことなんですか?

以前もよくやっていたプレーなんですが、倒れたらすぐ起き上がってゲインすることや、プレーする上では体幹がやっぱり大事だと思うので、ブレない体を作って極力倒れない体を作ることを意識しています。体幹がブレると倒れたりするので。

――それを作るコツは?

バランス力や不安定なところでキープすることも大事になってくるので、ヒップ周りを鍛えれば安定すると思います。そこをまず重点的にやって、上手くいかなかったら他のところをどんどん変えていく形で良いのかなと思っています。

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◆全部を教えると覚えないかもしれない

――若手にアドバイスすることはよくありますか?

アタック面ではそれぞれ自分の持ち味があるので、自分の持ち味を出していってほしいと思いますが、ディフェンスは難しいところもあるので、そこをアドバイスしながらやっています。

――難しいところとは?

ハーフやバックスリーとのコミュニケーションが凄く大事です。例えば、ポイントができていたらフルバックが一方に寄るので、そうしたらウイングは間のスペースを埋めなければいけません。そのために周りをしっかりと見て、シンクロということを凄く大事にしていかなければなりません。後ろだけではないので、前の選手が飛び出したら一緒にシンクロして前に出ないといけないなど、事前のコミュニケーションも大事です。そういうところはアドバイスします。

ウイングのポジショニングがバラバラの時があるので、具体的な声を出すことや、もっと事前に「俺はここにいる」ということをどんどん発信すべきだと伝えています。もしかしたら周りが気づいていないということもあるので、常に発信することを意識させるようにしています。

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――最初のうちはなかなか全体が見えないと思いますが、長友選手はどうやって克服してきたんですか?

僕は最初、小野澤(宏時)さんに結構言われていました。「アタックはお前の好きなようにやっていいから、ディフェンスはもっとシンクロしてちゃんとやれ」とか「向こうのスタンドオフの動きをしっかり見ておけ」という話です。ビデオで向こうのスタンドオフの動きとか、アタックをどうしているんだろうとか、ずっと見ていました。それで対応していきました。

――小野澤選手から長友選手、長友選手から若手に受け継がれる感じですか?

そうだと思います。今とシステムが違いますが、大枠は大体一緒なので、少しずつ教えていってという感じにしています。あまり全部を教えると覚えないかもしれないので、本人が体感するのが一番良いかなと。それで失敗したら、話したり、練習試合で試したりできるので。

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◆やっぱり攻めたい

――今の時点でラグビーをやっていて楽しいと思う時はいつですか?

やっぱり一番面白いのは、試合に出て勝った時です。そういう時はどんな試合でも楽しいです。

――勝たない時がこの前ありましたが、どうでしたか?

やっぱり面白くないですよね。もし自分のパフォーマンスが良かったとしても、勝たないと意味がないので、凄くモヤモヤ感はありますよ。

――"勝つ"ということはどんなイメージなんですか?

どんなことをしてでも貪欲に勝ちたいです。どんな勝負でも勝たないと楽しくない、気持ち良くないですし、みんなそこを求めていると思うので、貪欲に勝ちに行きたいです。

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――そこの熱は高い方だと思いますか?

高い方だと思います。結構負けず嫌いです。

――負けず嫌いのモチベーションがあったら、チームの同僚にも負けたくないという気持ちがあるのでは?

目の前の選手に何もさせないように「バチバチ行ったろ」とか、練習からそういうモチベーションがあります。敬介さん(沢木監督)によく言われていたんですけれど、敬介さんが現役の時は、いつも相手を潰すつもりでやっていて、そこで相手に勝てば自分が試合に出られるという話を聞いて、自分の中で納得しましたし、それからは練習でもコンタクトがある時は激しく行こうとは思って取り組んでいます。

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――2試合やってみて、やっぱり攻めたい、走りたい、という気持ちは?

ディフェンスも好きですけれど、もっと攻めたいですよね。昔はディフェンスが苦手で、持ち味がアタックしかなかったので、そこを特化してやってきました。今の時代は相手チームもしっかりとシステムを組んでディフェンスしてくるので、そういう相手に対していかに行くかということも大事になっています。そこは自分で研究しながらやらなければいけない部分で、ただ力任せにやるのではなく、技術も凄く大事になるので、そこをもっと追究していきたいと思います。

――自分で感じるスピード感はどうですか?

速くはないです(笑)。

――そうすると何でカバーするんですか?

フィジカル、技術、安定性、少し相手をずらすこと、緩急。遅かったら遅い分、遅くした中での緩急が、凄く大事になってくると思います。ステップで確実に相手をずらすことをやっていくことが一番良いです。

――後半戦でそこを見たいですね

まず練習試合で試してやってという感じです。自分の技を見つけたいですね。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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