2017年10月20日
#557 垣永 真之介 『3番を着続ける』
今シーズン、徐々に存在感を発揮し始めた垣永真之介選手。決して多弁ではありませんが、ブレない芯の強さを感じさせてくれます。現状そして目指すものについて訊きました。(取材日:2017年10月2日)
◆細かいところにこだわる
――順調に段階を経ながら第4節から3試合連続でスタメンでしたね。どんな調子ですか?
徐々にゲーム数も増えて、自分の中でも調子は上がっていると思います。
――以前と比べて更にパワーアップしているところはありますか?
細かいところにこだわるようになりました。そうならなければ試合には出られませんし、そういう選手がチーム内で評価されています。
――細かいというのは例えば?
1つ1つの当たり方とかですね。
――NTTドコモ戦でのトライも細かいフォローをしていたからですか?
あれはたまたまです(笑)。
――体の方でパワーアップしているところはありますか?
体も悪くはないですね。何か変わったという実感はありませんが、上手くゲームを読んで、上手くプレーできるようになっていると思います。最近、出場時間が伸びてきて、ブランクによる試合勘の部分を克服できたかなと思いますが、まだ目指すところではありません。
――目指すところはどの辺ですか?
もっとチームに影響力を及ぼすことを目指しています。セットプレーでもそうですが、「今日も垣永やっているな」と言われるぐらいになりたいですね。
――声出しは「今日もやっているな」と感じますよ
あれは僕しかやらないことなので(笑)。1つの強みだと思っています。
◆28歳に向けてピークを
――いまの課題は?
フィットネスのベースアップです。もう少し体を絞ってスピードアップに繋げたり、そういうところがもっともっと必要なのかなと思います。
――いま目指すところの何%くらいまで来ていますか?
まだ40~50%くらいだと思います。目指す姿へのスケジュールは長期的に考えていて、ラグビー選手は28歳くらいで全盛期がくると言われていますし、代表選手の平均年齢も27~28歳くらいなので、そこに向けてピークを作っていきたいと思っています。そして、そのピークを維持し続ける、更には経験と共に向上させていくことを考えています。
――自信は?
何とも言えないですね(笑)。
――それは体の問題ですか?
そうですね。以前とは疲労度も全然違いますし、体にくる痛みも全然違います。年齢的にはまだ若い方だと思いますが、これからは怪我へのカバーが必要になってくるとは思いますし、怪我とも上手く付き合っていくことが必要になってくると思います。
――グラウンド外でやるべきことが多くなっていきますね
例えば、リカバリーウェアを着て寝るなど、翌日に疲れは持ち越さないようにしています。今まではほとんどやっていませんでしたが、少しでも疲れを感じたら、特別に色々と試したりしています。今の練習量で試合をしていて怪我せず継続できているのは、進歩しているということだと思います。
――体を絞って、逆にパワー減に対する不安は感じますか?
そこは感じないですね。毎日かなりハードに練習していて、コンタクトしない日はないですし、そういうところで自分は強くなっているのかなと思います。
◆サントリーというチームに相応しいプレーをしなければ
――27~28歳まであと2~3年で、ちょうど日本でのワールドカップが終えたあたりですね
いま特にワールドカップという意識はありません。もちろん出たいですが、サントリーの3番を獲ることが一番の近道なので、それが必然的に繋がっていけば良いかなと思います。
――3番を獲得する手応えはどうですか?
いまいちですね。言葉にするのは難しいんですけれど、感覚的にそう感じています。
――持って生まれたネガティブさではなくて?
それもあると思いますけど(笑)。もっと自分が良くなり、サントリーというチームに相応しいプレーをしないければいけないと思っています。
――NTTドコモ戦は色んな選手がトライをして11トライを挙げました。いまの状況はどう感じていますか?
個々が何をしなければいけないということをみんな理解しています。本当に自立したチームだと思いますね。その中でそれぞれが判断できているから、色んなシチュエーションができて、色んな人がトライするという状況だと思います。
――判断に対してみんなが理解しなければ上手くいきませんよね?
そこはトレーニングでばっちりやっているので。
◆自分がやることって変わらない
――ポジション柄スクラムがポイントになってくると思いますが、今どうですか?
スクラムはまだ納得できていないですね。その中でアオさん(青木佑輔)にもすごくサポートしてもらっていて、アオさんのおかげで良くはなりつつあるんですけれど、まだまだ納得できるレベルではありません。プロップなので、そこが一番の課題です。
――他のセットプレーはどうですか?
モールもまだ上手くいかない時があるので、いかに上手くいく時を多くするかだと思います。
――上手くいくというのはどこが上手くということですか?
それは結果ですよね。結果の前にはプロセスがあって、そのプロセスをどうするか。それを一定にすることが結果に繋がると思います。
――メンバーや相手が変わる中で一定にするというのは大変なことですよね
でも、自分がやることってあまり変わらないと思うんですよ。人が変わったらプラス αでやる。その根底ができていないと結果には繋がらないんです。
――自分がやることとは?
スクラムだったら3番が重要なので、しっかりと止めきって、後ろの流れを感じてどう動くか。モールだったら基本的に3番が核になるので、そこでしっかりと道を開いていくという、与えられた最低限のことを十二分にできるようになりたいですね。
十二分にやるためには、まだまだやるべきことがあると思っています。「あいつが組んだらスクラムは安定する」、「あいつがモールに入ったら絶対に押せる」という信頼を得られるようにならなければいけないと思っています。
――その部分を自身の強みにできそうですか?
強みにしないと試合に出られないので、なんとか日々成長していきたいですね。
◆もっと成長できる
――ハードワークと体調のバランスは?
ハードワークをするためには体調が良くなければいけないですし、体調を良くすることにもハードワークが必要です。
――それは今できていますか?
特に体調不良もなく、1日1日を全力で過ごしています。時には上手くいかない時もありますが、同じことを2回しないように気をつけています。
――今シーズンの目標は?
個人的には3番を着続けることで、チームとしては2冠、優勝です。
――チームとしては進化し続けていますか?
上手くいっていることもありますが、上手くいかないこともたくさんあるので、まだまだもっと成長できると思っています。
――ファンの人たちはどこを楽しみに応援すればいいでしょうか?
プレッシャーをかけてください!
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]