2017年7月13日
#543 成田 秀平 『周りを活かしつつ自分でもトライを取る』
快足を誇ったOBの成田秀悦選手と入れ替わるようにサンゴリアスへ加入してきた成田秀平選手。憧れの従兄を超える選手を目指しています。新人としての初めてのシーズンへの意気込みを訊きました。(取材日:2017年6月27日)
◆U20で成長できた
—— 成田選手と言えば2015年度まで在籍した成田秀悦選手ですが、10歳年下の従弟から見て、彼はどのように見えていましたか?
憧れです。出身高校である秋田工業高校も従兄が行っていたということもありますし、ラグビーを始めたきっかけも従兄なので、ずっと憧れていました。
—— 教えてもらったりもしたんですか?
いや、実際そんなに会うことはなくて、テレビで見るくらいでした。僕が東京に来た時に会うことはありましたが、地方の秋田では高校の夏合宿で1回くらいしか会わなかったと思います。それぐらいしか記憶にないです。
—— どの辺に憧れていましたか?
やはり僕が高校生の時にトップリーグの試合に出て活躍していてすごいと思いました。まずトップリーグでプレーすることが自分にとっての憧れだったので、すごく身近な存在がそういう場で活躍していましたし、7人制の日本代表にも選ばれていたので、そういうところで憧れを抱いていました。
—— ポジションも一緒ですか?
もともと従兄はスクラムハーフで、僕は高校時代ずっとフルバックで、大学からウイングをやり始め、どちらのポジションでもプレーできるように準備をしています。従兄はサントリーでウイングでもプレーしていましたが、同じポジションというイメージはありません。
—— 従兄と大学は違いましたが(法政と明治)、社会人では同じサントリーを目指したんですね
サントリーに入りたいと思っていました。従兄がサントリーということもありましたが、やはりU20日本代表の時に監督だった敬介さん(沢木監督)のもとでやりたいと思いました。U20に選んでもらいましたし、そこで自分がすごく成長できたと感じたんです。それでサントリーに入るチャンスをいただき、ここが一番成長できる場所だと思ったんです。
—— U20の時にはどう成長できたと思いますか?
今もディフェンス面はまだまだ力不足だと思うんですが、U20で敬介さんに指摘されてから、毎日のようにタックルの練習をしました。それによって結果を残すことができたので、自分にとって大きなプラスになったと感じています。
—— 苦手だった部分で成果が出たんですね
そうですね。それまではあまり得意ではないと思っていたんですが、そういう苦手なこともやっていかないと上は目指せないなということをすごく感じましたね。今は好きですよ(笑)。
◆自分がトライできるポジション
—— いつ頃からラグビーを本格的にやると決意したんですか?
高校の時から思っていました。ただ高校の時は、大学ではなくすぐに社会人でやろうと考えていました。秋田工業では、高校を卒業したらトップイーストのチームでプレーする人が多かったので、僕も同じような道を考えていたんです。けれど、当時の明治大学の監督が吉田義人さんで、秋田工業のOBでもあったので、そういうご縁もあって、明治大学に進むことにしました。
—— 明治大学時代はどうでしたか?
大学に入って初めてウイングでプレーしたので、色々なことを学びました。フルバックでプレーしていた時は比較的自由に動くことができましたが、ウイングでは両サイドにいることが多くて、最初はボールタッチもできず、上手くいきませんでした。
—— ウイングの面白さはどこですか?
やはりトライを取ることだと思います。フルバックは自分から仕掛けることもありますが、周りを活かす方が多いと思います。ウイングは活かされてトライができるポジションなので、トライをすることも高校時代と比べて多くなりました。
◆飛ばしたり、抜いたり
—— いま思うラグビーの面白さはどこにありますか?
相手とぶつかっても前に進んだり、スピードで抜いたりすることがすごく快感というか、楽しいと感じていますね。どちらかと言えば、相手を抜いていく方が気持ち良いですし、見ている人も盛り上がるプレーだと思います。
—— 相手を抜くコツは?
スピードで間を切りに行く感じです。それに僕はオフロードパスを得意と思っているので、相手に捕まっても味方に繋げられるので、それで仕掛けられるということもあると思います。けれど、まだこの時期だと、まだ前に行けると思っていても捕まってしまうこともあります。
トップリーグで1試合でも多く出場したいと思っているんですが、今のままだと全然通用しないと思うので、今シーズン中にはトップリーグレベルまで持って行きたいですね。その手応えはありますし、良くなってきていると感じています。
◆お酒が好き
—— ラグビーを始めたのはなぜですか?
小学1年生から始めたんですが、従兄がやっていたというのもありますし、周りの友達がみんなラグビーをやっていて、僕が住んでいた地域はラグビーが盛んだったんです。土日に友達と遊ぼうとしても、みんなラグビーだったので、それで僕もやるしかないという流れでした。
—— ラグビーをやってみて、どこが面白いと感じましたか?
走って相手を抜いてトライするというところですねそこは今も変わっていません。
—— 小学1年生から始めて、サントリーに入ったというわけですね
従兄からサントリーの話を聞いていましたし、従兄がいたからよくサントリーの試合も見ていて、自陣からでも攻めるアタッキング・ラグビーというプレースタイルに憧れましたね。やはりアタックするラグビーの方が面白いと思います。
—— 仕事の方はどうですか?
今は先輩に同行させてもらって仕事を覚えているところです。練習があり、仕事に使える時間も限られてくるので、その中で仕事を早く覚えて、ラグビーと仕事を両立できるようにしなければいけないと思っています。
—— 自分自身ではどんな性格だと思いますか?
ポジティブだと思います。人見知りをしませんし、誰とでも話せます。あとはお酒が好きなので、素晴らしい会社に入れたと思っています(笑)。
◆楽な場所なんて1つもない
—— 今シーズンの目標は?
1試合でも多く試合に出ることです。
—— 将来的な展望は?
やはり同年代の松田(力也/パナソニック)などが日本代表で試合に出ていますし、そういう姿を見ていると、2019年にはワールドカップがありますし、2020年にはオリンピックもあるので、僕も早く試合に出たいと感じます。
—— 大学時代で一番印象に残っているプレーや試合はありますか?
3年の時の対抗戦での早稲田大学戦です。1年からメンバーに選んでもらいウイングでプレーしていたんですが、ずっとノートライで、1年の時も2年の時も負けていたんです。3年の時にやっとトライすることができましたし、その試合で勝って対抗戦で優勝できたので、その試合が一番印象に残っています。
—— 理想とする選手像はありますか?
ウイングとしては、トライが取れるウイングが理想ですが、自分の中では15番で試合に出たいという思いの方が強くなっています。周りを活かしつつも自分でもトライが取れるフルバックが理想で、目指したいプレーヤー像ですね。
実際、ワラターズ戦では15番で出たんですが、それを全く予想できていなかったので、それは本当に自分の準備不足だと思いました。途中から入ったのに何もできないまま終わってしまって、チームにも迷惑をかけてしまいました。フルバックで出たいということは自ら発信して、準備ができているということをアピールしていきたいと思います。
—— ラグビーの厳しさはどこに感じますか?
本当に全部が厳しいと思います。僕はラグビーに楽な場面なんて1つもないと思っています。
—— 厳しい中を切り裂いていく感じですね
そうですね。僕がサントリーに入ろうと思ったのも、このチームが一番厳しいと思ったからです。厳しい環境でしか成長はないと思いますし、日本代表を目指すためにはサントリーでスタメンとして試合に出ることが一番の近道だと思っています。