2017年6月16日
#539 長友 泰憲 『まずは出し切ること』
いつの間にかベテランの領域に入った長友泰憲選手。試合出場の機会が減った昨シーズンを経て、今シーズンに向けて何を思い、何を目指しているのでしょうか?ラグビーへの思いと共に訊いてみました。(取材日:2017年5月31日)
◆悔いのない人生
—— 昨シーズンはどういうシーズンでしたか?
個人的な部分で色々とあり精神的に辛い時期がありましたし、試合にも2節のホンダ戦にしか出られなかったので、あまり良いシーズンではなかったですね。シーズンが進んでもなかなかコンディションが上がってこず、弱気になっていた部分があったと思います。
—— 昨シーズンを経験して、何か感じたことはありますか?
大きく言うと、悔いのない人生を送りたいと、強く思いましたね。僕の年齢では、引退も遠い未来の話ではないと思いますし、色々なことを経験したいと思っています。他のスポーツを経験することで吸収できることがあると思いますし、仕事でも今は営業しかやっていないので、他の仕事にも興味があります。
色々なことを考えると、自分の体を使うということをポイントにしていて、ラグビーでは様々な動きがあるので、その動きをするためには色々な体の動かし方があります。全ての動きを極めることは難しいんですが、ラグビーをしていて相手を抜くことやボールを持ってぶつかること、タックルするという動きが好きですね。
◆間合いが大事
—— 相手を抜く時のコツは?
僕の場合は相手の重心をずらして抜いていて、相手を先に動かして、その動きと逆の方向に抜きに行くんです。僕が2年目や3年目の時は、それが思うようにできていて、一時期壁にぶつかっていましたが、今はまた戻ってきている感覚があります。
—— 相手を抜くということはコンタクトを避けることだと思いますが、逆にコンタクトプレーではどう動いているんですか?
自分がボールを持っていてコンタクトする時の一番のポイントは、プレーの積み重ねで相手に「当たってこないだろう」と思わせておいて、ぶつかりに行くことです。タックルの時には、相手の目線から自分を切れさせることです。ギリギリまで相手に近づくまでは我慢して、瞬時に低くなると相手から見えなくなるので、その瞬間にタックルするんです。そうすると、相手が見えていないところからタックルされるので、次の動作ができなくなるんですよ。どちらも間合いが大事ですね。
そういうプレーをするためには、思い通りに体が動くことや見る力が必要ですし、自分の中の感覚であったり、経験からの予測も必要で、その全てが組み合わさらないと上手くいかないと思います。そして、それをもとに、反復練習をしなければ身につきません。
—— 高い集中力が必要になりますよね
そうですね。週の初めの練習から試合を意識して取り組むことが大事です。練習のための練習では絶対に身につかないので、どんな練習でも試合を意識して取り組まなければいけないと思います。試合形式の練習の時には、少しルールを変えてみて、そういう状況になった時にいかに対応できるかという練習もしています。常に頭を使ってプレーするので、対応力も身についていると思います。
◆体をぶつけながら前進していく
—— いまプレーしていて面白いと思うところはどこですか?
考えてプレーすることは、新たな気づきがあるので面白いですし、やっぱりラグビーはコンタクトスポーツなので、体をぶつけることは好きですね。痛いことが好きなわけではありませんが(笑)、ただ走るだけよりも、体をぶつけながら前進していくことは面白いですよ。力を出し切った気持ち良さがあります。あと相手を抜いた時には、また違った気持ち良さがあるんです。
—— 冒頭に悔いのない人生を送りたいという話がありましたが、それを踏まえて、今シーズンでは何をやろうとしていますか?
1日1日の練習で出し切りたいと思っています。それが無ければパフォーマンスにも繋がらないと思いますし、試合にも出られないと思うので、まずは出し切ることを考えています。
—— どういう選手になりたいですか?
フィジカルで強い選手になりたいですね。相手から掴んでも止められないとか、倒したのに止められないと思われたいです。以前、このインタビューでターミネーターと言われたことがあるので、またそう言ってもらえるようになりたいと思います。