SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2017年6月 9日

#538 流 大 『ワラタスに勝って歴史を作ろう』

社会人2年目にしてキャプテンを任され、見事チームを2冠に導いた流大キャプテン。日本代表にもサンウルブズにも参加し、代表でもキャプテンを経験し、まさに成長そして発展を続ける流選手に、直近のワラタス戦、そして今シーズンについて聞きました。(取材日:2017年5月25日)

◆チャンスが目の前にある

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—— 6月11日に秩父宮ラグビー場でNSWワラタスとの試合が控えていますが、チームとしてのターゲットは?

今シーズンの最初のチームミーティングで、敬介さん(沢木監督)から、「この春シーズンの最初のターゲット」と提示されて、チーム全員がそういう意識でワラタス戦に向けて取り組んでいます。

—— 2001年にサンゴリアスがウェールズ代表に勝利し、そのシーズンはウェールズ戦も含め全てのタイトルを取り、5冠と言われていますが、NSWワラタス戦もそういう意味合いがあるのでしょうか?

試合の前ですし、今シーズンのトップリーグが始まるまでには、まだ少し時間があるので、そこまでは考えられていませんが、大きなビッグマッチと考えて選手たちは準備をしていて、毎週スーパーラグビーのワラタス戦の映像を選手同士でチェックして、分析を始めています。

コスさん(小野晃征)や他の選手とも、「ワラタスと試合をするチャンスは、ラグビー人生の中でもほとんどないことで、そのチャンスが目の前にあるんだから、サントリーとしてしっかりと勝って、歴史を作ろう」という話をしました。

—— 試合に対しては、どういうイメージを持っていますか?

秩父宮ラグビー場で試合ができるので、多くのお客さんに来てもらいたいですね。日本代表対ルーマニア代表(於 熊本)の次の日なので、土曜日に日本代表を見に行かれる方もいると思いますが、そういう人もぜひ日曜日は秩父宮ラグビー場に来ていただきたいと思います。

また6月の試合で暑く、気候的にも僕らの方が有利だと思っているので、最後まで走り勝てるイメージを持っています。

—— 試合でのポイントは?

相手は体が大きいですし速いので、まずは運動量で上回ることと、昨シーズンに積み上げて来たものに加えて、今シーズンの春から積み上げて来たものが、どれだけ通用するかという部分でチャレンジしたいと思っています。

昨シーズンから"インターナショナル・スタンダード"を掲げ、色々なことを積み上げてきたので、それが本物になっているのか、とチャレンジする場だと思っています。

—— もちろん出場して活躍したいですよね

まだ今のタイミングでは代表に呼ばれるかも分かりませんが、そのチャンスがあれば、必ず出場して勝利に貢献したいと強く思っています。勝つための準備をしていますし、まだ時間があるので、その時間の中でしっかりと良い準備ができれば、必ず勝つチャンスがあると思います。

◆キャプテンは誇り

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—— 日本代表としては、5月のアジアチャンピオンシップでキャプテンを務めましたね

すごく貴重な経験になりました。サンウルブズや他のチームで活躍する選手たちがいない中でのジャパンでしたが、そこでキャプテンを任せられたことは誇りに思いましたし、若いメンバーや他のチームから来たメンバーがいる中で、コミュニケーションを多く取ってチームをまとめていくという経験は、自分にとってもプラスになったと思います。

ただ、個人としてもチームとしても納得のいくパフォーマンスではありませんでしたし、ファンの方々も見ていてスッキリする試合がほとんどなかったと思うので、そこは残念でした。その経験を次に活かしたいと思っています。

—— 日本代表での初キャップということに関してはどうでしたか?

小さい頃から日本代表として試合に出ることを夢に見ていたので、初キャップを取れたことは、単純に嬉しかったです。ただ、それだけでは満足できなくて、僕の中には2019年のワールドカップに出るという目標があるので、その目標に向けての第一歩は出せたかなと考えています。

—— 日本代表に選ばれた時にはどういう思いでしたか?

最初、NDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)キャンプがあり、そこでリーダーシップを意識しながら慎太郎さん(石原)や他のサントリーのメンバーと取り組めたので、そこをジェイミー(ジョセフ/日本代表ヘッドコーチ)が認めてくれたのかなと感じました。

—— 3月にはサンウルブズにも加わりましたね

試合に出るつもりで行きましたが、1週間だけの帯同となりました。そこで、スーパーラグビーのチームがどういう準備をしているのか、どういうミーティングをしているのかなどを体験できたことは良かったと思います。

◆上り幅が大きくないと勝てない

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—— 昨シーズンの経験に加えて、今シーズンは更に多くの経験ができていると感じますか?

色々な経験をすることはできていますが、サントリーに戻ってきて感じていることは、チームに残っていたサントリーの選手たちが意識高く取り組んでいるので、もちろん日本代表は一番であるべきなんですが、その中でもサントリーのプライドは忘れずにやらなければいけないと感じました。

—— 選手たちが高い意識を保っているモチベーションは、どこにあると思いますか?

昨シーズン、レギュラーで出ていたメンバーたちの多くがサンウルブズや他のチームでプレーしているので、試合に出られていなかったメンバーたちは、その選手たちがチームから離れている間に自分自身のレベルを高めて、チームの中での自分のポジションを確立できなければ、また試合に出られなくなるという思いがあると思います。サントリーの中には約束されているポジションは1つもないので、みんなが競争意識を持って取り組めていると思います。

—— 昨シーズンと今シーズンとでは、キャプテンとしての意識で違う部分はありますか?

まず基準は昨シーズンよりも絶対に上げなければいけないと思います。他のチームも確実にレベルアップして僕らを追いかけてくるので、昨シーズンと同じプレーの精度や取り組みをしていたのではダメで、他のチームよりも僕らの上り幅が大きくないと絶対に勝てないと思っています。だからそのスタンダードは上げましたし、みんなに求めるレベルも上げました。

—— 今の段階で、上がっていると感じる部分はありますか?

シーズンの春は、僕が長い期間サントリーでトレーニングができておらず、実際にまだ感じることはできていないので、そこはこれからだと思います。

◆絶対に2年連続2冠

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—— 昨シーズンに社会人で初めてキャプテンをやり、改めて感じたキャプテンの楽しさなどは?

最後に勝った時に「キャプテンをやっていて良かった」と感じることが、凄く大きかったですね。正直、色々なプレッシャーや不安を抱きながらやっていたので、キャプテンの面白さを感じる時は、やはり最後に勝った時だと思います。

2年目になりますが、寄せられる期待は昨シーズンよりも確実に大きいわけですし、今シーズンもチャンピオンになって欲しいと色々な方から思っていただいています。そして、他のチームは僕らをターゲットに色々な取り組みを行っていると思うので、確実に昨シーズンよりも難しいシーズンになると思います。

—— 難しくなることはチャンスだと思いますか?

そうですね。絶対に乗り越えなければいけませんし、そこを乗り越えられれば、僕らが取り組んできたことが本物になると思っているので、絶対に2年連続2冠を取らなければいけないと思っています。

—— 今、ラグビーにおいて面白いと感じる部分はどこですか?

全員が判断しなければいけないことが面白いと思います。例えば、スクラムやセットプレーで前に出なければいけませんし、ボールキャリアーになれば前に出ることだけを考えるんですが、そこにフォワードもバックスも判断をしなければいけないんです。パスをするのか、キックをするのか、ランをするのかなど、全員が判断してプレーしているので、難しい部分でもありますが、僕はラグビーをする上では、そこが一番面白い部分だと思います。

練習の中では、判断がずれたり、意思疎通が足りずにミスをしたりすることもありますが、その都度話し合いますし、ご飯を食べた後に映像を見ながら「こういう場面では、こういうプレーをして欲しい」と話し合ったりしていて、5月の菅平合宿でもそういう光景が多くありました。

ルーキーとベテランがそういう話をしていたり、食堂で実際にスクラムを組む姿を見せるために肩を当て合ったりしていたので、これが続いていけば、最後には全員が同じ絵を見ることができて、良いラグビーができるんじゃないかと思っています。

◆大きなポイントとなる試合での集中力

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—— 個人的な課題は何ですか?

まずはディフェンスですね。タックルの成功率を上げなければいけないと思っていますし、僕と日和佐さんの大きな違いは、ディフェンスをオーガナイズして、チームとしてのディフェンスを機能させる部分で、その力がまだまだ足りていないと思っています。

あと、個人としてのタックルの部分でもストレングスを強化しなければいけないと思っているので、体作りは継続して取り組んでいます。数値としては上がっているので、それをラグビーにトランスファーしていかなければいけないと思っています。

—— キャプテンをやったことで、スクラムハーフとしての力も高まりましたか?

昨シーズンの1年間で、スクラムハーフとしての力もすごく上がったと思います。キャプテンということもあり、僕自身がチームの中で一番良いパフォーマンスを出さなければいけないという思いを持っていましたし、そのプレッシャーの中で練習や試合をやっていたので、スキルレベルも上がりましたし、状況判断も良くなったと思います。

—— 逆に大変だったことは?

昨シーズンの春と夏に、自分たちの中では良いトレーニングができたと自負していたんですが、トップリーグが開幕したら、最初の何試合かは上手くいかないことが多かったので、そこで責任を感じたというか、その時期は結構しんどかったですね。

その中で第4節のパナソニック戦がポイントになったと思います。どの試合も負けられないので、全てがポイントになると思うんですが、シーズンの中では大きなポイントとなる試合が必ずあります。そういう試合での集中力が本当に大事なんです。

◆ワラタスに勝つ

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—— 今シーズンのターゲットは?

今の時期は、ワラタスに勝つことがチームとしてのターゲットです。シーズンとしてのターゲットは、もちろんチャンピオンになることで、それしか考えていません。

—— そのターゲットをクリアするための役割は何だと考えていますか?

そこは昨シーズンと変わらない部分で、自分がぶれないことと、チームに対して言いたいことを言うこと、そして自分自身が良いパフォーマンスを出すことの3つです。今シーズンでは、そこにプラスα して、もっと色々な選手の意見を引き出したいと思っています。

例えば、コスさんやジョージ(スミス)が言ったことは、誰もが耳を傾けて聞くと思うんですが、ルーキーの誰かが言ったことに対しても、耳を傾けて聞けるような環境を作りたいと思います。それにはルーキーが話しやすい環境を作ることも必要ですが、聞く側の選手たちが、誰の発言に対してもリアクションをするようなコミュニケーションを取っていきたいと思います。

—— いま、心配なことはありますか?

ないです。自信満々です(笑)。

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