2017年4月20日
#531 垣永 真之介 『ハードワークするだけ』
社会人初年度からサンゴリアスで活躍し、日本代表キャップ9を数える垣永真之介選手。昨シーズンは開幕前のアクシデントでプレーできず、ようやく1年ぶりの復活を遂げようとしています。リハビリ中の心境と今シーズンへの展望を訊きました。(取材日:2017年4月5日)
◆周りから応援されていた
—— 調子はどうですか?
まあまあ、順調ですね。チームの練習には一部分だけ復帰させてもらっていて、今のターゲットは春の合宿での本格的な復帰を考えています。
—— これだけの長期離脱は初めての経験ですか?
中学1年の時と大学1年の時、そして昨年と、これまで3回ほど経験しました。初めてではなかったので、気持ちの面では意外と冷静だったと思います。
—— なぜ冷静でいられたと思いますか?
「やってしまったものは仕方ない」という気持ちと、想像以上に周りの人たちが悲しんでくれたというか、「マジか・・・」と落ち込んでくれたので、逆に気丈に振る舞わなければいけないと思いましたね。
—— 焦りなどはありませんでしたか?
ハタケさん(畠山健介)や元樹(須藤)が調子よかったですし、歯がゆさのようなものはありましたが、そこで何かができるわけでもなかったので、本当に「時が流れるのを待つ」という感じでした。怪我をする前は、体をしっかりと作る時間がなかなか取れていなかったので、そういう時間を取れたことは良かったと思います。
—— 怪我をしないことに越したことはありませんが、怪我をしたことで、怪我をした時の対処法などで成長したところはありますか?
今回は色々なことを試し過ぎて、どれも中途半端に終わってしまったので、ターゲットを絞って、その部分を極めるやり方を取ればよかったと思います。やったことで成果は出ましたし、すごく勉強になったと思いますが、もっと焦点を絞ってやっても良かったなと思います。
—— 現時点での課題は?
だいぶ体が絞れましたし、筋肉量も増えているので、あとは怪我をした箇所がいかに馴染むかだと思います。食事についても更に気をつけて、チームスタッフやジョン・プライヤー(元日本代表S&Cコーディネーター)に話を聞いたりして、体脂肪が3%くらい落ちて、今は13%くらいです。そこは成果だと思いますし、それがラグビーでどれだけの成果に繋がるかが楽しみですね。
—— 昨シーズンのサンゴリアスを見ていて、どうでしたか?
全員のラグビーに対する意識が変わったので、そこが一番だと思います。あと、優勝してみて分かることもあって、周りからこれほど応援されていたんだと、改めて感じましたね。実際にグラウンドに立っていたら、もっと違うことを感じたと思いますが、そこはこれから経験できればいいかなと思っています。
◆やり過ぎないように
—— 春の合宿に向けて、今の状態は?
80%くらいまでは来ていると思います。
—— 今の時期に気をつけなければいけないことは何ですか?
再受傷であったり、他の箇所を傷めないようにすることだと思います。あと、勘を取り戻すまで時間がかかると思うので、それまでは辛抱強く我慢しなければいけないと思いますし、やり過ぎないようにブレーキをかけることも必要だと思います。
—— そこに関しての自信は?
いかに自分をコントロールするかだと思います。ラグビーができなければ意味はないと思いますが、その状態に戻るまでは我慢が必要です。
—— 先ほど言っていた課題の他に、新たな課題はありますか?
サントリーのラグビー自体がかなり進化していると思うので、そこのスタンダードに持っていけるかどうかということと、スクラムでもフィールドプレーでもブランクがあるので、いかに以前の状態まで戻して、そこからいかにレベルアップできるかだと思います。
—— それに対する自信はあるんですね?
あるかないかで言えば、あまりないんですが(笑)、やるしかないので頑張ります。
—— 状態が100%に戻ったら、何が楽しみですか?
・・・・・・。今は恐怖を感じることもありますが、そこで逃げてはいけないので、歯を食いしばってやるだけです。僕は、何かを達成して初めて楽しさを感じると思っていて、今はまだ何も達成していないので、楽しさを得られるように頑張るだけだと思っています。
そもそも僕の中では「ラグビーは楽しいのか?」と思っていて、達成した時に得られるものが大きいからラグビーをやっているんだと思います。復帰して、その大きなものを得られればいいなと思っています。
—— 自分の中で、怪我をする前と変わっていない部分は何ですか?
ハードワークするということだけです。
◆チームメイトに救われた
—— 今シーズンでの目標は?
今はレギュラーを取ることしか考えていないですね。
—— 日本代表やサンウルブズについては?
サントリーでレギュラーを取って、そこで初めてついてくるものだと思うので、まずはレギュラーですね。
—— 何かを達成した時に感じる喜びとは、今の段階ではどういうものだと思っていますか?
それは、達成した時にしか分からないでしょうね。今はまだ分かりませんが、これまでに経験した何よりも大きいものだと思います。
—— 苦しい時に、一番応援してくれた人は誰ですか?
サントリーのチームメイトには本当に救われました。怪我をした時もそうでしたが、その後も、みんなが気にかけてくれましたし、1人じゃないと感じましたね。1人でトレーニングすることが多かったんですが、その中でも孤独を感じることがなかったので、みんなには本当に感謝しています。
—— ファンに向けて、注目してもらいたいポイントは何ですか?
「元に戻るように頑張っています」という感じでしょうか。元よりもすごくなっているかもしれませんが、それはやってみないと分からないので、練習や試合を重ねるごとに、積み重なっていければと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]