2017年1月20日
#519 塚本 健太 『がむしゃらさ』
潜在能力が開花し始めている感のある塚本健太選手。4年目のシーズンはこれまでのどのシーズンよりも、明るい表情をしているのではないかと思います。成長途上の塚本選手に現状そしてこれからを訊きました。(取材日:2016年12月26日)
◆練習から100%
—— 現在の調子は?
調子は基本的に変わりませんが、調子が変わらなくても気持ちの面やその日の準備によってパフォーマンスが変わったりします。これまでは上手くやろうと考えパフォーマンスに繋げられていなかったんですが、ひとつひとつのプレーでがむしゃらにやろうと考え取り組んでいることが、上手くパフォーマンスにも繋げられるようになっていると思います。
例えば、1歩でも前に行く意識であったり、そういうがむしゃらさを持って取り組むことによって、試合のメンバーに選んでもらえることが多くなったと思います。練習中にまだ指摘をされる時があり、練習中から100%で出来なければ、試合で100%を出すことは難しいと思うので、常にがむしゃらさを意識していかなければいけないと思っています。
—— 試合でのパフォーマンスについては?
ランニングの部分で自分の持ち味を出せているとは思います。あと、ランとキックの判断についても良くなってきていると思います。キックについては、どちらかと言えば得意な方だと思っていますが、満足はしていないので、更に精度を上げていかなければいけないと思います。
—— 精度を上げるために必要なことは何ですか?
常に試合を意識して、あらゆる状況を考え、キックをしていかなければいけないと思います。
—— 小さい頃からキックは得意だったんですか?
中学時代は遊び感覚でキックをしていましたが、大学の頃からは毎日練習をしていましたね。
—— 1年目のシーズンでは10トライを取りましたが、その時と比べてランニングについては磨かれた感覚はありますか?
スピード自体は変わっていないと思いますが、体が大きくなっているので、当時と比べてコンタクトの部分では強くなっていると思います。あと、昨シーズンは脚に痛みがあったんですが、若井さん(ヘッドS&Cコーチ)や沼田さん(S&Cコーチ)などに相談をして、新しいトレーニング方法を取り入れたら痛みがなくなったので、コンディション的にも良くなっています。
—— ヤマハ発動機戦では、終了間際にトライを取りましたね
あのトライは本当に嬉しかったですね。あのような舞台でプレー出来ることへの嬉しさもありましたし、トライを取ることが久しぶりで、トライを取ることが全てではありませんが、トライは良いですね(笑)。
—— 更にトライを狙っていきますか?
他にやるべきこともありますし、トライにこだわってはいませんが、取れるのであれば取りたいです。
◆同じ絵を見るための取り組み
—— 今シーズンはフルバックで出場していますが、ディフェンスでも重要なポジションですよね
ディフェンスでは1対1の場面が多いんですが、更に精度を上げなければいけないと思っています。他の選手に比べてまだまだ経験が足りないと思うので、練習中から試合を意識してあらゆるシチュエーションを経験していかなければいけないと思います。
—— 4年目のシーズンとなっていますが、これまでのシーズンと比べてステップアップしている感覚はありますか?
1年目の時は周りのスペースなど見れず、ただただ走るだけだったと思いますが(笑)、その部分については今シーズンでかなり成長していると思います。それに、スペースを見つけてボールを呼んで、そこに運んでいけると、更に面白さを感じます。
—— 他に意識していることは?
コミュニケーションは意識しています。意識しなければコミュニケーションが取れないということはありませんが、より密度のあるコミュニケーションを取れるようにしなければいけないと思います。
—— 今シーズンも残りわずかとなりましたが、個人としての目標は?
全ての試合で先発フル出場することです。チームの状況としては、今はとても良い状態で、選手みんなが同じ絵を見るための取り組みを行っていますし、ラグビーに対する考え方が良い方向に変わったと思います。
僕の場合は、これまで深く考えずに取り組んでしまっていて、相手の映像を見て分析したり、それに対してどう対応するかというところが足りていませんでした。今シーズンはその取り組みを行っているので、相手の動きを予測出来たり、ラグビーナレッジも上がっていると思います。
◆盛り上げたり、流れを変えたり、試合を決定づけるプレー
—— 理想とする姿と比べて、現在の自分はどのくらいまで来ていると思いますか?
まだ試合に出続けられているわけではありませんし、常に高いレベルで安定したパフォーマンスを出せているわけでもないので、まだまだだと思います。
—— どんな選手になりたいと思っていますか?
日本代表に選ばれたいと思っていますし、自分のプレーでチームを盛り上げられたり、相手に傾いている流れを変えられたり、試合を決定づけるプレーが出来て、それが毎回できるような選手になりたいと思っています。
—— ポジションにこだわりはありますか?
やっぱりフルバックで試合に出たいですが、チームから求められればどのポジションでも出たいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]