2017年1月 6日
#517 江見 翔太 『僕の武器はボールキャリー、ボールタッチを増やして強気で行く』
昨シーズンのトライゲッター江見翔太選手に、いよいよエンジンがかかってきた模様です。終盤の活躍に期待を抱かせる熱気あふれるインタビューとなりました。(取材日:2016年12月13日)
◆ひとつひとつ焦らずにやっていく
—— 第10節のNTTコミュニケーションズ戦が、開幕戦以来の出場となりましたね
約3ヶ月振りのトップリーグとなりましたが、やはり時間が空いてしまうと、今までの感覚に戻すことが大変です。やろうとしていることを理解していないわけではないんですが、求められているプレーが出来なかったり、動きの部分で今までとは違う感覚になってしまっているので、フィットネスやコミュニケーションなど他の部分でカバーをしなければいけないと思っています。
試合を重ねるごとに効率的に動けるようになっていかなければいけないんですが、2試合を経験してまだまだ100%の状態ではないのが正直なところです。自分の中での感覚の問題になってくるんですが、アタックでもディフェンスでも開幕前に積み上げてきた間合いの部分が、今は少しずれてしまっているような感じがしています。
ただ、その中でも目指すべきところは見えていて、徐々にその状態に近づいてきています。復帰する時には不安を感じていましたが、トレーニングをしながらコンディションを上げていったり、ラグビー勘を取り戻していったりしているので、今まで出来ていたことが出来ないという部分は減ってきています。
—— どの辺りで、以前の状態に戻りそうですか?
毎週セレクションのつもりで練習をしていますし、復帰してからはメンバーに選んでもらえているので、毎試合に向けてピークを持っていけるように取り組んでいます。そしてそのピークを、試合を重ねるごとに高めていければと思っています。
ヤマハ戦と東芝戦の間に1週空くので、まずはヤマハ戦にピークを持って行き、そこから全勝で優勝するまではピークをキープしていきたいと思っています。
ここ2試合(NTTコミュニケーションズ戦、コカ・コーラ戦)のパフォーマンスを振り返ると、コーラ戦ではトライを取りましたが、まだまだ納得する内容ではありませんでしたし、反省点が多いので、早くチームからの信頼を取り戻さなければいけないと思っています。
クリアにしなければいけないポイントはいくつかあって、例えばボールキャリーのインパクトやディフェンスでのコミュニケーションなど、ひとつひとつ焦らずにやっていくしかないと思っています。
◆試合に出続けたい
—— 3年目の今シーズン、成長していると感じる部分は?
まだまだ足りないと思いますが、ラグビーの理解力の部分が成長したと思います。ただラグビーの理解力を上げればいいということではなく、その力を試合で発揮することが一番大切なので、そこをこれからも成長させていかなければいけないと思っています。
2ヶ月間のリハビリ期間があったんですが、僕がリハビリをしている間にも周りの選手たちは成長していっていたので、怪我を治すことだけに集中していたのでは周りに置いていかれるという気持ちを持っていました。
リハビリに集中してコンディションを100%に戻してプレーするということは選手として大切なことだと思うんですが、それだけでは出来ないのがラグビーというスポーツだと思っています。15人の中の1人として戦う中で、例えコンディションが100%でなくとも、チームからの信頼を得て試合に出続けて貢献したり、相手の動きを予測してコミュニケーションでカバーしたり、コンディション以外の部分も成長させることによって、よりチームに貢献できると思います。
—— 怪我をしたことで自分自身の体の状態がより分かるようになりましたか?
体のケアの仕方が、その日の練習内容やコンディションによって分かるようになってきたと思います。ケアの部分は、まだ明確になっていない部分もありますが、練習前の準備は100%の状態になるように取り組んでいます。
シーズンの終盤ですし、残りの試合数も少ない状況になっているので、もうつまずきは許されないと思っています。チーム内のポジション争いも激しいですし、試合に出るために出来ることを100%やり、試合に出続けたいと思っています。
—— 試合に出てチームに貢献するため、自分の武器は何だと思っていますか?
トライを取れたことで少し自信を取り戻すことが出来ましたが、僕の武器はボールキャリーの部分なので、ボールタッチを増やして強気で行くことが大事だと思っています。
◆優勝に向けて11番を背負っていきたい
—— シーズン終盤となりましたが、改めて個人としての目標は?
ウイングというポジションなので、やはりトライを取っていきたいと思っています。そして、トライ以外のディフェンスやサポートプレーなどの部分でもチームに貢献できるようになっていきたいと思います。
グラウンド内でのコミュニケーションは、グラウンド外でのコミュニケーションとリンクしていると思うので、普段から意識して取り組むことが大事だと思っています。
—— ファンに向けて注目ポイントをお願いします
僕はまだ安定してポジションを確保できていませんし、昨シーズンはトライゲッターを取りましたが、今のヅルさん(中靏隆彰)のトライ数を見てもらえれば分かる通り、その栄誉を返上したいくらいに思っています(笑)。
「江見が出てきてから安定しなくなった」と言われないように、チームの優勝に向けて11番を背負っていきたいと思っています。これからトライゲッターを取ることは不可能ではないと思いますが、目指すところはそこではなく、個人の賞は後からついてくるものなので、チームのためにどれだけ貢献できるかということを考えて、残りのシーズンに取り組んでいきたいと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]