SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2016年7月 6日

#491 日和佐 篤 『流がキャプテンだろうが、自分がずっとレギュラーを取っていく』

昨年のラグビーワールドカップや、サンウルブズでの経験を得て、またひと回り大きくなった日和佐篤選手。今年は同じスクラムハーフの2年目、流大選手がキャプテンになって、レギュラー争いにより一層注目が集まります。今シーズン、そして今後に向けた日和佐選手の思いを聞きました。(取材日:2016年6月20日)

◆2番、9番、10番、15番がクイックトーク

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—— ワールドカップ後、トップリーグ、サンウルブズと続き、現在スーパーラグビーの中断期間となっていますが、現在の状況は?

ワールドカップ以降もずっとシーズンが続いている感じです。通常、サントリーと日本代表だけであれば3月はオフとなるんですが、そこにサンウルブズが加わったので、そのオフがなかったという感じです。オフはないんですが、ラグビーをやっていて楽しいと思いますし、スーパーラグビーはボールがスピーディーに動くので面白いですよ。

—— 初めてスーパーラグビーで戦ってみてどう感じていますか?

最初はどこが通用して、どこが通用しないかという部分が分かりませんでしたが、実際に戦っていくうちに、速いラグビーをやれば通用すると、改めて分かったので、あとはどう80分を組み立てるかというところを考えて取り組んでいます。

—— その中で、どこを武器にして戦っていますか?

やはり速いラグビーだけでは足りないですし、自分も含め味方がもたないので、どうコントロールするかが重要になります。だから、あえてキックを入れたり、球出しをワンテンポ遅くしたり、ペナルティーで一度タッチに出して、落ち着く時間を作ったりしています。海外のチームはフィジカルが強いので、日本人はフィジカルレベルをある程度保ちつつ速いラグビーをしないとトライを取れないと感じましたね。

—— その上で、現在の課題は何ですか?

キックの部分と、自陣22mからどう脱出をして、敵陣22mに入ってどうスコアするのかという部分です。試合では、サンウルブズとして基本となるゲームプランがあるので、それを中心に2番、9番、10番、15番の選手が「この場面ではどうするか」というクイックトークして、プレーの選択を決めています。サンウルブズに入ってサントリーとは違うラグビーをしているので、色々な考えを吸収出来ていると思いますし、それによって視野も広がっていると思います。

—— 移動が多く練習の時間も限られているので、難しいことですよね

難しいですよ。だから、まだ1勝しか出来ていないですし、勝てそうでも勝ちきれないところは、足りない部分がまだたくさんあるからだと思います。

—— スタートするまでは、もう少し勝てると思っていましたか?

もう少し勝てると思っていましたし、もう2つくらいは勝てたんじゃないかと思いますね。

—— 選手として、サンウルブズが日本代表の強化に繋がっていると感じますか?

それは選手としては分かりませんが、サンウルブズはプロのチームになるので、まずは勝たなければいけないと思います。今後、日本人選手が増えれば嬉しいとは思いますが、外国人選手がいることに関して、僕らとしたら特に何とも思っていません。

◆同じ絵を見せる

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—— 今シーズンのサンゴリアスについては、どう感じていますか?

若い選手が増えたんですが、それによってサントリーでの勝ちを知らない選手も増えているので、僕や他に勝っている時期を知っている選手が、そういう選手たちをリードしていくことが重要だと思います。その中でも、2番、9番、10番、15番のポジションの選手がポイントになるので、そのポジションの選手たちが中心となってチームを引っ張っていきたいと思っています。

—— 今の時期のチーム状況に関して、これまでのシーズンと今シーズンとを比較してどう感じていますか?

僕がサントリーに入って1年目の今と同じ時期には、「このままで大丈夫か」という心配がありました。2年目のシーズンからは心配もなくなりましたが、久しぶりにその時の感覚と似た感覚を、いま持っています。それは、新しいチームがスタートして、チーム全体として順調に成長してきているんですが、今は停滞しているような感覚があるので、ここをチーム全体で乗り越えて開幕まで進んでいきたいと思います。

—— その心配なところは?

今のチームはハマれば強いんですが、失敗し始めると止まらなくなると思います。それをどう止めるか、更にはハマっている状態をいかに長くしていくかがポイントだと思います。そのためには、9番、10番の役割が大切で、更に選手それぞれが積極的なミスをした方が良いと思っています。それによって、全員が同じ絵を見られるようになっていくと思います。

—— 理想の姿と比較して、今はどのくらいまで来ていますか?

7割くらいだと思います。この先、サンウルブズや他のチームでプレーしている選手など、全員が合流して、ひとつのチームになれたら良くなっていくと思います。

—— そこに向けて、日和佐選手の役割は何だと思いますか?

言葉と態度で示し、同じ絵を見せることだと思います。

◆楽しみはスクラムハーフのコンペティション

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—— 今シーズンの楽しみは?

いちばんはスクラムハーフ3人のコンペティションですね。芦田が上手くなっていようが、流がキャプテンだろうが、僕としてはポジションを渡すつもりはなく、ずっとレギュラーとして試合に出続けるつもりです。

—— その流キャプテンはどうですか?

流はキャプテンとしてもスクラムハーフとしても、図太いので大きな素質があると思います。

—— レギュラーを取るための武器は?

キックですね。オフェンスでもディフェンスでもスペースに対する視野が広まっているので、精度の高いキックをもっと使っていきたいと考えています。

アタックでのキックについて言うと、ただスペースに蹴るだけではウイングが追い付けなくなってしまいます。大切なことは、ウイングと同じ絵を見なければいけないということです。ただし、ウイングと同じ絵を見るためには、僕発信ではなく、ウイング発信でなければ上手くいかないと思うので、そういう形になるためのリードをしていきたいと思います。

◆ワールドカップにもう一度

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—— 日本代表にとって、いま大切なことは何だと思いますか?

勝つことが重要だと思いますが、ワールドカップ以降は勝てていませんし、サンウルブズでも1勝しか出来ていません。勝つことによって、もっと勝ちたいと思えるんです。

—— もっと勝つためには何が必要ですか?

サンウルブズで言えば、2年目のシーズンになればもっと良くなると思っています。チームとしても、スーパーラグビー参戦としても1年目だったので、今シーズンはベースの部分を共有しあっていて、ようやく同じ絵が見られるようになってきたと思います。

—— 世界に向けて、今後の日和佐選手の目標は?

ワールドカップにもう一度出たいですね。そのためには、まずチーム内の競争に勝たなければいけません。そして、サンウルブズにも呼ばれる限りは参加したいと思っています。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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