SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2016年4月13日

#479 竹本 隼太郎 『グラウンドに立って1分でも長くプレーする』

2010-2011、2011-2012シーズンとキャプテンだった竹本隼太郎選手。最年長世代として、チームとしての再生、そして自分自身の成長をどう考えているのでしょうか?見た目も大きくなった竹本選手に話を聞きました。(取材日:2016年3月29日)

◆コンタクトの力が増す

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—— まず昨シーズンはどんなシーズンでしたか?

個人的にはこれまでの中で一番筋肉が増えましたし、コンタクトスキルやフィットネスを上げることが出来たので、過去最高のパフォーマンスを出すことが出来たと思っています。試合にはあまり出られませんでしたが、個人的には良い準備が出来たシーズンだったと思っています。

—— パフォーマンスが上がった要因は?

筋肉量を上げたことです。筋トレの時間を増やしましたし、食事も変えたんです。3年、4年前くらいまでは100kgを超えると体が重くて走れないという思い込みがあり、94~95kgくらいで戦っていて、それ以上体重を増やすことが怖かったんです。

ただ、ラグビーのキャリアアップをするためには体重を増やすことが必要だと感じ、意識を変えて取り組みました。コンタクトの力が増すと、コンタクトでの体力の消耗が減るんです。そして走る筋肉を鍛えれば、ゲームフィットネスが落ちないことが分かり、進んだ道は間違えていなかったと思いました。

—— 体重は何キロまで増やしたんですか?

シーズン中は100kgちょっとありました。次のシーズンでは筋肉を2kgくらい増やして、101~102kgくらいでやっていこうと思っています。

◆モチベーションの根本にプライド

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—— 昨シーズンのチームについては?

チームとは指導者やリーダーがリードするものだと思っていて、プレーヤーはプレーヤーとしての責任を果たすことが一番という考えがあるので、自分のパフォーマンスにフォーカスして伸ばさせていただきました(笑)。昨シーズンのチームとしての成績は、なるべくしてなったというか、必然だったのかなと思います。

—— そこから脱却するために、今シーズンで一番大切なことは何だと思いますか?

チームの方向性とモチベーションを持ってトレーニングをしているので、もう既に脱却していると思います。モチベーションの根本にはプライドがあって、家族のプライドやこれまでやってきたことのプライド、サンゴリアスのプライドなど、色々なプライドがあってモチベーションに繋がっていると思います。

改めて、自分たちの誇りを築き上げよう、歴史を作ろうという雰囲気がチームの中にあるので、とても良い状態だと思います。サンゴリアスのスピリッツとして「PRIDE」「RESPECT」「NEVER GIVE UP」を掲げていますが、その原動力となるのは、やはりプライドだと思います。プライドが無ければ、ネバーギブアップもありませんし、リスペクトにも繋がらないと思います。

そして、目指すべき方向性が国内のレベルではダメなんです。こんなに素晴らしい環境や日本のトップレベルでやらせてもらっていて、みんな自分に挑戦したいという気持ちはあるんですが、これまでチームとしては2冠を掲げていました。

2冠を取ることはすごく難しいことで、ライバルに圧倒的に勝つくらいの力が無ければ出来ないことだと思いますが、優勝を目指すことは当たり前のことで、更にその先を目指していくんです。目指すところがシンプルで分かりやすいので、チームの雰囲気も良いんだと思います。

—— その中で、チームとしてはどこを強化していくべきだと思いますか?

フィジカルとフィットネスと、あとはラグビースキルだと思います。まず考える習慣が薄かったと思いますし、これまではやらされているだけになってしまっていたと思います。

◆こうすれば絶対に強くなる

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—— 色々なシーズンを経験してきた中で、今シーズンの入り方はこれまでのシーズンと比べてどうですか?

良い入り方だと思います。過去のことを悪く言うつもりはありませんが、過去2シーズンは目標や目的がチームとして共有出来ていなかったと思います。その中でチームをどうにかしようと取り組みましたが、役に立つことが出来なかったと思います。

更に遡って2年連続2冠を取っていた時は、チームの中にしっかりと規律があって、みんなが極端にハードにトレーニングをしていたと思います。ただ、その時も全てがラグビーに繋がっていたか言えば、そうでは無かったと思います。僕も当時、チームから課された1km走のタイムを切るために体重をコントロールしていて、言ってしまえば、それは1km走を走るための準備であり、ラグビーをやるための準備では無かったんです。

今シーズンはラグビーをやるために、この時期には個人としてはこれをやる、そして次にユニットではこれをやる、最後にチームとしてはこれをやるということが明確になっているので、今の時期に伸ばすべきところを集中して伸ばせていると思っています。

—— とても楽しみですね

とてもやりがいがあります。例えば、無駄なことや同じことを繰り返すことにはモチベーションはありませんが、大まかな組み立てが出来ていて、だいたいの道筋が分かっているので、分かりやすいですし、やりがいの方が強いですよね。

先日NHKの「白熱教室」でモチベーションの話があったんですが、目標達成を山登りに例えていて、簡単な山であれば楽しいと思いますが、難しい山になるとしんどいだけで、「登りたい」と心から思える人は少ない中、それでも登るのはなぜだという話でした。

なぜかと言えば、前に進んでいるからとか、達成感を味わいたい、成長したいということになると思いますが、僕の場合、今まで山道に雲がかかっていたというか、山頂が見えない、もしくは封鎖されている状況で登らなければいけなかったと思います。今はこうすれば勝てそうだ、こうやれば絶対に強くなるというゴールが見えているので、それに向かって一歩ずつ歩き出している感じです。

◆チャレンジする姿勢

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—— 最年長世代となりましたが、チームの中ではどういう立場になろうと考えていますか?

年齢でシニアメンバーという括りにされていますが、僕の中にはシニアという気持ちはありませんし、ラグビー知識だって、まだまだ乏しいと思っています。それでも試合に出られる何かがあるとは思っているので、引き続きプレーヤーとして成長していき、その成長する姿勢や結果を出すプロセスを示せればと思っています。

年配だから偉そうに若手を怒るという儒教の精神の世界では無いんです。どうしても組織の中では「年上が何かを言う」という雰囲気があると思いますが、はっきり言って、サンゴリアスに入って来た人たちは上に言われても言われなくても伸びてきた人たちなんですよ。

だから勝手に伸びると思っていますし、逆に言われることによって主体性を無くすとか、自信を無くすことの方が良くないことだと思います。だから、僕としては自分のパフォーマンスを伸ばして、グラウンドに立って1分でも長くプレーすることが、若手に対するコーチングだと思っています。

—— ファンにはどういうところを見て欲しいと思いますか?

すぐに練習試合を行う時期になると思いますが、練習試合では勝利だけではなく、プロセスと勝利の両方を目指して取り組まなければいけないと思うので、チャレンジする姿勢などを見てもらいたいと思います。今シーズンはチャレンジしている姿勢が見えやすいと思いますので、練習試合などにも来ていただければと思います。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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