SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2015年12月 9日

#459 ツイ ヘンドリック 『チームのためにボールを前に運んで行く』

ニュージーランド出身のツイヘンドリック選手。来日して帝京大学で日本一を経験し、パナソニックワイルドナイツを経てサンゴリアスに加入し3年目のシーズンを迎えます。今シーズンは小さい頃からの夢だったラグビーワールドカップに出場し、プール戦4試合の全てでプレー。帰国後まもなくトップリーグを戦う中で、ツイヘンドリック選手は未来に向けてどんなイメージを描いているのでしょうか。気は優しくて力持ちなラガーマンの1人であるツイ選手に聞きました。(取材日:2015年12月1日)

◆南アフリカ戦の後からプレッシャー

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—— 少し時間が経ちましたが、ワールドカップを振り返ってみて、ツイ選手にとってはどんな大会でしたか?

とても良い経験が出来て、チームにとっても成功したワールドカップだったと思います。そこに参加することが出来たことは、自分にとっても嬉しいことでした。

—— 4試合すべてに出場しましたが、その中で最も印象的だった試合は?

南アフリカ戦は先発で出場し、他の3試合は途中からの出場となりましたが、その中で最も印象的だったのは、やはり南アフリカ戦です。自分たちがハードにトレーニングしてきたことを、自分たちのプラン通りに出来たと思います。南アフリカに勝てたことは、とても嬉しかったです。

—— 南アフリカ戦は、気持ちの部分ではどういう状態でしたか?

南アフリカに対してたくさんの練習を行ってきて、自分たちが行うことに対しては自信を持っていたので、グラウンド外のところではとてもリラックスしている状態でした。南アフリカに逆転勝ちをしたことで、その後は状況が変わりました。多くの人たちから期待をされるようになりましたし、世界から注目されるようになったので、南アフリカ戦の後からはプレッシャーを感じるようになっていました。

—— 南アフリカ戦の後の方が大変でしたか?

少しだけですけどね。コーチ陣が試合に対してしっかりと準備をしてくれましたが、中3日でのスコットランド戦は難しいものでしたね。スコットランド戦の後は小さな街に移動して、周りの環境が静かだったので、チームとしてもう一度集中することが出来ました。

◆ゲームフィットネス

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—— 今回のワールドカップでは3勝することが出来ましたが、その中で良かったところはどこでしたか?

個人個人がしっかりと準備をして、チームとしてひとつになれたことが良かったと思います。自分の時間を作って楽しむという時間はありませんでしたし、自分の体は自分で管理しなければいけない状況でしたが、それに対して、チームとして時間を無駄に使うことは無かったと思います。

個人としては、ワールドカップに向けてポジションを変えてプレーしなければいけなくて、バックスの動きも学ばなければいけなかったので大変でした。難しかったんですが、そこはチームのためにしっかりとやらなければいけないと思ったので、一生懸命取り組みました。

—— ウイングでプレーしてみてどうでしたか?

僕がウイングをやるのは変な感じがして、あまり好きじゃありません(笑)。けど、とても良い経験になりましたし、チームから求められれば、またウイングでもプレーします。

—— ワールドカップを経験して、更なる成長のための課題は何ですか?

ワールドカップでは80分間プレーすることがなかったので、まずはゲームフィットネスを戻して、チームのストラクチャーの中でしっかりとプレー出来るようにしていかなければいけないと思います。

◆アクションからチームをリード

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—— ワールドカップが終わり、今後の目標は?

もちろんサントリーで2冠を取ることです。今シーズンのトップリーグではタフなスタートとなってしまいましたが、僕も含め選手はチームを信じています。2010-2011シーズンの時も、開幕から3試合戦って1勝2敗という成績でしたが、そのシーズンは日本選手権で優勝しました。だから、まだチャンスはあると思っていますし、まだまだ勝てます。

—— その中でのツイ選手の役割は何だと思っていますか?

僕はリーダーという役職にはついていませんが、グラウンド上でみんなをリードしたり、チームのためにボールを前に運んでいくことだと思います。あとセットピースに関しては、ラインアウトをしっかりと機能するようにすることも役目だと思っています。

—— 自分の性格はどういう性格だと思いますか?

他の人が僕を見て、フレンドリーで話しやすいと思ってくれたら嬉しいです。

—— 負けず嫌いだとは思いますが、自分のリーダーシップについてはどう思っていますか?

自分のアクションからチームをリードしていきたいと思っています。ハードにプレーして、他のみんなが自分のアクションに対してついてきてくれるようなプレーを目指しています。

—— 今回の日本代表にはメンタルコーチが帯同していましたが、ツイ選手はメンタルコーチとどんな話をしていましたか?

メンタルコーチは多くの時間をリーダーシップグループと過ごしていましたが、全選手に対してセミナーをやってくれることもありました。その中で、「ワールドカップは通常の試合とはレベルが違うから準備が大事」という話をしました。試合で興奮しすぎてもいけませんし、冷静であり過ぎてもいけなくて、その真ん中くらいのクールな状態でいなければいけないんです。

—— その部分はコントロール出来ましたか?

南アフリカ戦に向けては少しナーバスになる時もありましたが、その他では問題ありませんでした。

◆宝物のような経験

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—— サンゴリアスの中で、ツイ選手は他の選手よりも勝ちたいという思いを強く持っているのではないかと思います

負けるのは大嫌いですし、僕は2013-2014シーズンの時にサントリーに入ったんですが、僕がサントリーに加わってからタイトルを取れていないので、勝ちたいと強く思っています。

—— その思いをサンゴリアスの中でも出しているんですか?

グラウンドでは出すようにしていますし、他の選手のサポートをしたりしています。ラインアウトで言えば、正確な動きで合わせられるようにサポートしたりしていて、それが出来ればラインアウトから良いボールをバックスに繋がることが出来ると思っています。

—— ワールドカップを経験し、改めて感じるラグビーの面白さはどこですか?

まず僕はワールドカップでプレーすることが小さい頃からの夢でした。その夢を叶えられて、本当に宝物のような経験をすることが出来て、更にラグビーが好きになりました。僕はラグビーを仕事にしていますが、ラグビーを仕事にしたくても出来ない人もいて、僕は凄くラッキーだと思います。

ラグビーの面白いところはチームメイトと一緒にプレーするというところです。ラグビーを楽しんでいる仲間と一緒にプレーすることはとても楽しいことです。だから仲間のためにもっと激しくプレーしようと思います。特に隆道(佐々木)とプレーする時には、彼をサポートしたいという気持ちから僕自身も激しくプレーすることが出来ます。

—— ワールドカップを一緒に戦った日本代表メンバーがそれぞれのチームに戻りましたが、そのチームメイトと試合をするというのはどういう気持ちになりますか?

そこはあまり気になりません。僕の仕事を全力でやるだけです。試合中は激しくプレーしますが、試合が終われば、またベストフレンドに戻ります。

—— 2019年には日本でワールドカップが開催されます

もちろん出場したいと思っています。

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(通訳:吉水奈翁/インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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