SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2015年7月 1日

#436 竹本 竜太郎 『これまでの自分とは動きのキレが違う』

昨シーズン、ラグビーから離れる時期もあった竹本竜太郎選手。そういう特別な時間を経験して、より大きな視野でラグビーを見ることが出来るようになったようです。今シーズンへ懸ける意気込みを訊きました。(取材日:2015年6月22日)

◆まだ何も成し遂げていない

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—— 昨シーズンは怪我があり、長くチームから離れていましたね。今年1月に復帰した時にはブランクを感じましたか?

チームを離れている間も体をしっかりと作っていたつもりでしたが、動きのキレやフィットネスは下がっていたと思います。今はもう戻ってきていますが、復帰して2~3週くらいで、ある程度までは戻せましたが、一気に戻そうとしてしまったので、その時期は負担が大きくなっていたと思います。急に元に戻そうとすると、どこかでしわ寄せが来てしまうので、日々積み重ねていくことが大事だと思いました。

—— 復帰後、練習試合には何試合出場しましたか?

2試合です。その時には、まだ無意識ですが恐怖感を抱いていたと思います。今はスタッフや仲間のサポートのお陰で元に戻っていますし、先日のヤクルトとの練習試合でも調子が良いと感じました。

—— 昨シーズンの調子と比べて、今の状態はどうですか?

日々、前年超えをしていくことがベストですし、今は凄く良い状態だと思います。シーズンを終えて振り返った時に、良いシーズンだったと思えるようにしなければいけないと思うので、それを考えた上でも、今は良い時間を過ごせていると思っています。

ずっとラグビーをしてきて、ラグビーのない生活があり得ない人生を送ってきたんですが、チームから離れ、全くラグビーをやらない生活を送った時に、ラグビーを引退した後のことを考える時間が持てました。

引退後のことを考えた時に、ラグビーが出来る今をやり切るしかないと思いましたし、やるからには楽しいと思えるようにしていかなければいけないと思いました。ラグビーをやる喜びや試合に出る喜びを感じたいですし、それに僕はまだ何も成し遂げていないんです。チームが優勝した時も、僕はグラウンドに立てていなかったので、結果を残すためにどう行動し、振り返った時にどうすれば後悔しないのかということを、真剣に考えられたと思います。

あと、昨シーズン、賢二さん(宮本)が引退した時に言っていたんですが、「ラグビーをずっとやってきて、嫌なことや辛いことがあっても、良い意味でも悪い意味でも好きなラグビーに逃げられる環境があったのに、これからはそれがなくなる」と言っていたんです。僕も小さい頃からラグビーをやっているので、いつその日が来ても良いように、後悔をしないようにやっていかなければいけないと考えるようになりました。そう考えるようになったことで、心が晴れたように感じ、賢二さんの言葉は凄く印象に残っています。

◆仕事もラグビーも分かりやすい

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—— サントリーとしての仕事はどういうことをしているんですか?

大志(村田)と同じく、本部担当と言って、チェーン展開をしているスーパーの本部のバイヤーの方と、各店舗で取り扱っていただく商品の数量や、チラシなどでどういう告知をしていくかなどを商談しています。本部担当になって3年目なので、仕事でも順調に成長出来ていると思います。

—— 仕事ではどういう時に達成感がありますか?

やはり多くの商品を扱ってもらえた時です。良い取り組みをすれば、多くの場合で結果にも表れてくるので嬉しいですね。仕事での結果は営業の数字で表れますし、ラグビーでもウエイトの数字や試合での得点などで目に見えて、最後は勝ちか負けかなので、どちらも分かりやすいと思います。

—— 仕事で大変なことは何ですか?

今年から担当する本部が持っているチェーンの規模が大きくなったので、仕事量は増えました。規模によって出来ることと出来ないことがあって、大きければ出来ることも多くなるので、その多くなった引き出しをどう有効的に使うかを考えなければいけません。

その引き出しの使い方と、使うまでにどう持っていくかが難しくて、他の社員の方たちに教えてもらいながらやっているところです。やはりスーパーの客層によって売れる商品も変わってくるので、そのお店ではどういう商品が売れるのかを見極めて、それに合った提案をしなければいけません。

あとは、お花見や花火など時期によって需要が多くなる時がありますが、それも地域によって時期が若干ずれたりするので、そのタイミングをしっかりと見計らって商談することも大事だと思います。

—— 商談を上手く進めるためのコツは?

そこは信頼関係だと思います。言われたことをやるのは当たり前ですが、約束した日よりも早くやることなど、そういうことを積み重ねていくことが大事だと思います。

—— 仕事での喜びは?

担当しているお店に貢献出来た時は嬉しいですね。提案したことを取り入れてくれたのに、あまり売上に繋がらなかった時には本当に申し訳ない気持ちになります。ただ、そこで終わってしまうのではなくて、そこから次に繋げていけるような提案をしていけるように心掛けています。

—— 昨シーズン、仕事に専念した時期がありましたが、ラグビーと両方やっている時との違いは?

ラグビーを言い訳にはしたくありませんが、仕事に専念していた時は、担当の方と会う回数が圧倒的に増えました。そのお陰で、サントリーの商品を扱いやすい売り場を作ることが出来ましたし、今はそのお店は石原に引き継いでいるんですが、石原が今年の春にニュージーランドに留学に行った時には、代わりに僕が商談をしたこともありました。

基本的に石原のフォローは、圭輔(阪本)がメインでやってくれていたんですが、圭輔の手伝いをした時に、久しぶりに担当の方と会い、商談をさせてもらった時には、仕事に専念していた時に数多く会っていたことで、信頼関係が築けていたんだと感じました。

—— ラグビーをやりながら仕事をする上で気をつけていることは?

効率よく仕事をすることです。あとは仕事でのルーティーンを作ることも必要だと思います。週初めや、月初めはこれをやると決めて、それをやるためにどういうスケジュールを組み、それを行うためにはどう行動するかを考えています。

どういうスケジュールを組み、それを行うためにはどう行動するかを考えています。

◆10番で出たい

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—— 今シーズンの目標は?

チームとしては2冠を獲得することです。そして、その試合に僕が出場していることが目標です。試合に出場するからには、10番で出たいですね。

—— 同じポジションには強力なライバルがいますね

試合に出るためにはチャレンジをしていかなければいけないですし、そのための準備をしていこうと思っています。僕は他のポジションも出来るユーティリティーなので、チームから求められることには応えられるように、チャンスの芽をつぶさないようにしていくことが大切だと思っています。

—— 自分の強みはどこだと思いますか?

トゥシ(ピシ)は自分でゲインラインを切れる選手ですし、コスさん(小野晃征)は判断が良いと思いますが、その中で僕の強みは自分でゲインラインが切れるところだと思っているので、自分の強みを出していきたいと思います。

—— これまでよりも進化しているところはどこですか?

動きのキレ味は、これまでとは全然違うと思います。これまでの自分とは動きのキレが違うと感じていますし、試合での動きを見てもらえれば、それが伝わると思います。菅平合宿前の期間で、レスリングのトレーニングをしたり、スピードトレーニングをしたりしていました。あと、トレーニングの前に、しっかりと体を準備させるようにしています。以前もトレーニング前に体の準備はしていましたが、それにより力を入れてやっています。

トレーニングをやる前にストレッチをして、それを数値化させることによって、自分の体の状態がより理解出来るようになりました。毎日、しっかりとフォームを意識してストレッチをすることで、数字が良くなっていますし、体の状態も良くなっていっています。

スピードトレーニングについては、1年目の時から継続して行っているので、走り方が良くなってきています。そういう積み重ねが、今の動きのキレに繋がってきていると思います。

—— 動きのキレとは、竹本選手の場合は、具体的にどういう動きになりますか?

ナリさん(成田秀悦)のように細かなステップで相手を抜いていく動きとは違い、相手のちょっとしたスペースをハンドオフしたりコンタクトしながら抜けていく動きです。それには体の使い方が重要で、そういう動きが強みだと思っています。

—— 今年で5年目になり、チームの中でも中堅になりますね

僕の性格は明るくて陽気だと思っています。その性格を活かして、チームにエナジーを吹き込み続けられればと思っています。今年は選手会長をサポートする役目を担っていて、どうすればチームが良くなっていくのかを考え、行動しています。

そこも含めて、後悔がないようにポジティブに行動していきたいと思います。上手くいっている時はより上手くいくように、そして上手くいっていない時は上手くいくようにするために、どう行動するかを考え取り組んでいこうと思っています。

—— 継続してやっていくために必要なことは何だと思いますか?

フーリー(デュプレア)が言っていたことなんですが、「人生と同じで、シーズンは旅みたいなもので、その中では浮き沈みがあって、良い時もあれば悪い時もあるんです。だから、シーズンの最後に振り返って良いシーズンだったと思えるように、シーズンを通して行動しなければいけない」ということだと思います。それを更に細かく見ると、試合も同じだと思います。最後に振り返って良かったと思えるように、後悔がないように行動したいと思います。

全てが辛いことなんてないですし、面白くするため、良くしていくためにはどうすればいいのかを考え、取り組んでいこうと思います。シーズンの最後に振り返って、良いシーズンだったと思えるのは、2冠を取ることだと思います。簡単に出来ることではありませんが、一喜一憂せずに、先を見ながら取り組んでいきます。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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