2015年6月17日
#434 鈴木 亮大郎 『山岡さんを超えるためには、あと130キャップ』
4年目のシーズンを迎える鈴木亮大郎選手。これまで10キャップを獲得している鈴木選手に、サンゴリアスキャップ139という心強い新コーチがチームに戻ってきました。大学でもサンゴリアスでも大先輩である山岡コーチと共に、「勝負の年」「飛躍の年」に臨みます。(取材日:2015年6月4日)
◆2番のジャージ
—— 3年目だった昨シーズンはどういうシーズンでしたか?
昨シーズンはトップリーグの開幕戦からリザーブに入ることが出来て、ファーストステージ第5節の神戸製鋼戦では3年目にして初めて先発で出場することが出来ました。試合内容も自分のパフォーマンスもあまり良いものではありませんでしたが、トップリーグでの先発を経験出来たので、自分にとってはプラスになったシーズンだったと思います。
1年目の時もリザーブでは出場させてもらいましたが、やはり先発で出場出来たことは嬉しかったですね。2番のジャージを着て試合に出ることを目標にしていたので、本当に嬉しかったんですが、緊張もしました。
—— 選手入場の時も緊張していましたか?
冷静な雰囲気を装っていたんですが、不安もあり、内心は緊張していました(笑)。ただ、キックオフのホイッスルが鳴った時には試合に集中出来ていたので、試合が始まってからは、ほぼ緊張していなかったと思います。
—— 先発で出場した試合を振り返ってみての自己評価は?
ほとんど良いところはなかったと思います。僕の持ち味はセットプレーだと思っているんですが、スクラムやラインアウトで自分の持ち味を出せなかったことと、それまでの試合では走った距離も良い数字を出せていたんですが、神戸製鋼戦ではあまり走れていませんでした。
そもそも試合に勝てなかったので満足することは出来ないんですが、ラインアウトもほとんど取れなくて、セットプレーで負けたことが試合で負けた最大の原因だったと思います。
◆理解度は高まっている
—— ラインアウトが良くなかった原因は何だと思いますか?
その時に出ていたロックの選手と、僕が投げるボールの質やタイミングが合わなかったんだと思います。その試合は、昨シーズンで引退された田原太一さんも一緒に先発で出ていて、太一さんもラインアウトには自信を持っていたんですが、そこでボールが取れないことが続いて、悪循環に陥ってしまったと思います。
その試合だけに限ったことではありませんが、自分の力不足の部分を感じましたし、試合の流れを知るということが足りなかったと思います。僕はまだ試合の経験は少ないんですが、神戸製鋼戦を経験したことで、練習中から試合の状況を考えたり、辛い練習の後でも正確なボールを投げられるように取り組むようにしました。
—— その成果は出ていますか?
セカンドステージではメンバーに入れず、日本選手権1回戦の筑波大学戦まで試合に出られなかったんですが、それまでの練習試合やサテライトでは安定したパフォーマンスを出せたと思っていますし、試合の理解度は高まっていると思います。
◆3食をどのように摂るか
—— 体の状態はどうですか?
5月上旬に若井さん(S&Cコーチ)と少し体を絞るという話をして、順調に体重も減ってきていますし、体脂肪も減ってきています。これからは練習試合も始まってくるので、若井さんや栄養士の金剛地さん(ウイダートレーニングラボ)と相談をして、良いパフォーマンスが出せるようにしていきたいと思っています。
—— どの時期までには仕上げていきたいですか?
菅平合宿を経て、6月20日のヤクルトとの練習試合では良いパフォーマンスが出せるようにしたいですね。
—— 体質としては太りやすいんですか?
食事内容を気にせず食べてしまうと、すぐに太ってしまいます。ただ、しっかりとした食事を摂らなければ、練習で力が出なくなってしまうので、1日の中で3食をどのように摂るかを考えて、食事をするようにしています。
◆この前の試合に勝ったから
—— 仕事はどのようなことをしているんですか?
僕は最初は酒屋さんなどを回る営業をしていたんですが、今年からはチェーン展開しているお店も任されるようになりました。チェーン展開しているお店は卸さんがいるので、お店と卸さんと3社で話し合って、どれだけ商品を入れていただけるかを調整しています。
—— 仕事での面白さは?
どれだけ商品を入れてもらえるかというところで、商談をして相手に上手く提案出来て、希望の数を入れてもらえた時は面白いですね。相手に伝わりやすいように商談資料を作ったり、それをもとに相手に伝わるように上手く説明することを心掛けています。
担当者さんの中に、サントリーの商品が好きという方が必ずいるとは限りませんし、他に好きな会社さんがある担当者さんもいるので、そういう方にもサントリー商品をより多く取り扱っていただけると嬉しいですね。そのためにはその方に直接会いに行くことが大切だと思いますし、商品の良さをしっかりと伝えられれば、「サントリーは面白いことをやる」と思ってもらえて、商品を取り扱ってくれると思います。
—— お勧めの商品はありますか?
いまプレミアムモルツの中で、「マスターズ ドリーム」という商品があって、プレミアムモルツよりも香りや色合い、味わいの全てにおいて奥深い商品になっているので、特別な日や何かのご褒美などとして飲んで頂ければと思います。
コンビニやスーパーでも販売をしてもらっていますし、最近はマスターズドリームを飲むことができる飲食店さんが増えてきているので、ぜひ機会があれば飲んでいただきたいですね。
—— 仕事をする上でラグビーをしていて良かったと思うことはありますか?
ラグビーが話のきっかけになっていますし、試合を見に来てくれて、「ラグビーを見たけど凄いね」と言ってくださる方もいて、そういうことを言われると嬉しくなります。それに「この前の試合に勝ったから、この提案をやってみようか」と言われることもあったので、ラグビーをやっていて良かったと思います。
—— 仕事での目標は?
やはり目標の数字があるので、その数字を達成することです。トップリーグが開幕する前には、その目標に出来る限り近づけたいと思っています。
◆メンタルの部分
—— 今シーズンに向けて、どういう課題を持って取り組んでいますか?
昨シーズンの最初は小澤さんが先発で、僕がリザーブで出場することが多くて、シーズンの途中で青木さんが復帰されてからは、なかなか出場機会がありませんでした。メンバーに入っていた時は、安定したセットプレーと走れるというところ評価してもらっていたと思います。それが神戸製鋼戦の後からメンバーに入れなくなったのは、大事な場面で安定したパフォーマンスが出せるかどうかというメンタルの部分であったり、いかにチームに貢献できるかという部分が足りなかったと思います。
今シーズンはフッカーが4人になって、試合に出るチャンスがより少なくなると思います。その中で試合に出るためには、練習や練習試合の限られたチャンスの中で、どれだけ良いパフォーマンスを出せるかだと思います。
緊張は誰でもすると思いますが、不安を残したまま試合に臨むことが良くないと思います。毎日の練習で、自分がどう動いているかということを映像などでチェックして、不安を無くしていかなければいけないと思います。
—— 大学でもサンゴリアスでも大先輩の山岡俊さんがコーチとして戻ってきましたね
プレーの部分でもメンタルの部分でも、指導して頂いていて、自分の足りない部分がはっきりと見えてきたり、今までよりも更に努力をしなければいけないと気づかせて頂いたので、自分の成長に繋がっていると思います。
毎日時間を取っていただき、山岡さんとミーティングをさせてもらっていますし、その日の練習での目標をしっかりと設定して、それに向けて取り組んでいます。最初は慣れることに大変でしたが、徐々に体が慣れてきていますし、それが意識せずに取り組めるようになれば、もっともっと成長できると思います。
—— 山岡コーチからいちばん学びたいところはどこですか?
色々と学びたいことはありますが、やはりサンゴリアスで139キャップを獲得していますし、35歳を超えるまで現役としてやってこられた方なので、ラグビーに対する取り組みや考え方がその結果に繋がっていたんだと思います。僕は現役時代の山岡さんとは一緒にプレーはしていませんが、長い間、現役を続けられて、多くの試合に出てこられたことを吸収していきたいと思います。
◆勝負の年
—— 鈴木選手のキャップ数は?
いまはちょうど10キャップです。山岡さんを超えるためには、あと130キャップが必要ですね(笑)。
—— 今シーズンの目標は?
今シーズンは全試合に出場しなければいけないと思っていますし、4年目の今シーズンは僕にとっては勝負の年だと思っています。僕は明治大学出身ですが、大学の時からジャージを着たら負けてはいけないという精神でやってきましたし、大学の時から体を張って前に出ていくというスタイルでやってきたので、それをサントリーでも体現しなければいけないと思います。
それに試合に出るからには先発で出たいと思いますが、2番のジャージを着るためには、チームからの信頼を掴まなければいけないと思います。チームのルールを守ることや日々のトレーニングの目標数値を達成することを積み上げていくことなど、チームから求められていることができて初めて信頼を得られると思いますし、チームを盛り上げていけるようにならなければいけないと思います。
—— これまでの3年間で、順調に成長できていると思いますか?
順調ではありませんが、波がありながらも成長してきていると思います。僕が理想とする姿からは、まだまだ程遠いところにいるので、今年は飛躍の年にしなければいけないと思っています。ここで飛躍できなければ後が無いという気持ちでやらなければいけないと思います。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]