SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2015年1月 7日

#411 大島 佐利 『心と体を常に良い状態に持っていけるような準備』

いつの間にかチームの中で“中堅”のポジションに位置づけられるようになった大島佐利選手。期待に応えキャップ数を増やしていくために、いま何を考え、どこを目指しているのか?シーズン後半に入ったところで訊いてみました。

◆言ったからには責任を全うしなければ

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—— 今の調子は?

良い方向に進んでいると思います。今年で5年目ですが、これまでの中で、今が一番良い状態だと思います。1~2年目の時は、見えなかった部分が見えたり、チームのことを考えながら、自分個人のことも考えられるようになってきたので、その部分が一番成長出来ている部分だと思います。

—— 見えてきた部分はどこですか?

個人の部分であれば、1~2年目の時はサントリーラグビーをするというよりも、個人で勝手に動いたり、周りとタイミングを合わせず自分のタイミングだけでボールをもらいに行ってミスをするなど、そういうことがとても多かったと思います。いま振り返ると、わがままにプレーしていたと思います。最近になって、タイミングの部分や周りとの連携の部分を考えてプレー出来るようになりました。

—— 周りを考え過ぎて、積極的にプレー出来なくなることはありませんか?

積極的なプレーであれば良いと思うんですが、僕の場合は、周りのことを何も考えずにプレーしていたと思います。

—— なぜその部分が見えてきたんですか?

サントリーに入ってすぐの頃からずっと言われてきましたし、先輩たちにも指摘してもらって、やっと出来るようになってきたと思います。

—— 大学時代はどうだったんですか?

大学時代にも指摘されていたのかもしれませんが、自分の頭の中で、ちゃんと理解していなかったんだと思います。

—— 周りの選手とリンクするという部分はあらゆることに繋がっていますよね

その理解度が上がってきましたし、チームで円陣を組んだ時に、去年くらいから積極的に話せるようになって、思うことを言えるようになってきました。そして、言ったからには、その責任を全うしなければいけないと考えるようになりました。そういう部分でも成長出来ていると思います。

◆努力の方向性

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—— 今シーズンはセカンドステージ第4節を終えた時点で2試合の出場ですが、これまで何キャップですか?

昨シーズンまでで4キャップだったので、今シーズンを含めると6キャップです。1年目の時に3試合に出場して、2年目と3年目は出場がなく、4年目でセカンドステージのヤマハ戦に出場しました。

—— 2年目と3年目に出場出来なかった時は、苦しかったのではないですか?

かなり苦しかったですね。怪我をしてしまったこともありますが、「なぜ試合に出られないだろう」とか「どうしたら出られるんだろう」と考えましたし、どうしたらいいのか分からず苦しんだ時期でした。

—— どう解決しようとしたんですか?

先輩に相談をしましたし、最初の頃は悩んでも答えが出なかったので、ただガムシャラにやるしかないと切り替えてやっていました。色々と言われたことで、いま考えるようになったのが、努力の方向性です。先輩から努力の方向性について言われて、より成長出来るようになったと思います。

ただガムシャラにやっていた頃は、例えば、ウエイトトレーニングでガツガツ重いものを上げて頑張っていたり、体のケアをするよりも体をいじめ抜いて、ガムシャラに何でもやるという感じでトレーニングをしていましたが、僕に足りなかった部分はそこではなくて、チームの組織としてやるべきこと、サントリーのラグビーを理解することが欠けていたのに、ウエイトトレーニングや激しいトレーニングをしてしまっていたと思います。

ただガムシャラにトレーニングをするのではなくて、自分の足りないところとか、求められているところに対して、どう努力をするかを考えるようになったことが大きいと思います。

—— 理解するためには何をしたんですか?

単純なことですが、練習や試合の映像はたくさん見ましたし、海外のチームのプレー映像も見ました。昨シーズンは、「1つ自分の中でテーマを持って、例えばブレイクダウンであれば、このプレーをするということを自分の中で決めて、それをチームにも浸透させるような発言をしていき、言ったからには自分がやるという状況を作るということを意識してトレーニングに臨むようにしていました。

—— 日によってテーマを変えるんですか?

週初めのミーティングで出たことを、自分の頭の中で絶対に忘れないようにして、そのターゲットがチームとして出来ているのか、出来ていないのかを考え、出来ていないのであれば、なぜ

出来ていないのかを自分の中で噛み砕き、何が一番大切なのかをチームに発言するようにしています。

—— バックスとしての発言が多いんですか?

僕の場合は、フォワードもバックスもプレーしているので、あまりどちらとかは関係なく、チームとして集まった時に感じていることを伝えるようにしています。

◆積み重ねが大事

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—— 大島選手の中で、フォワードとバックスの割合は?

フォワードもバックスもあまり関係がなくなったという訳ではありませんが、僕がそのポジションに入ったらチームとしてどう動くかということしか考えていません。

—— ガムシャラにやってきたことで、フォワードでもバックスでもプレーが出来るということですよね

ガムシャラにやってきたことは良かったことだと思いますが、少し方向性を変えるだけでも自分を変えることが出来たのかなと思っています。

—— これまで獲得したキャップ数では、フォワードとバックスのどちらが多いんですか?

1年目がフォワードで1、バックスで2キャップ取って、4年目の時はフォワードで1、今シーズンはバックスで2キャップ取っているので、フォワード2キャップ、バックス4キャップです。 今シーズンはずっとセンターでプレーしているので、出場する可能性が一番大きいのは、センターだと思っています。ただ、チームから求められれば、どのポジションでもやるつもりでいます。

—— 今シーズンの2試合はリザーブからの出場でしたが、先発から出るためには何が必要だと思いますか?

プレーの一貫性というか、チームが計算出来る選手とか、ミスをしない選手になることが必要だと思います。試合の中で、これまで良いプレーをしていたのに、急に変なプレーをしてしまったり、試合の中で波があったりするので、そこが課題だと思っています。

波が出てしまうのは、疲れであったり、集中力が切れてしまっているとか、もう一歩頑張らなければいけないところで頑張り切れていなかったりするからだと思います。例えばブレイクダウンでも、体力がある時にはしっかり立ってプレー出来ていることが、疲れが出てくると、プレーが雑になるというか、判断が50%50%のプレーに頼ってしまうことがあるので、一貫性を持ったプレーを80分間出来るようにならなければいけないと思います。

疲れてくると判断力はどうしても鈍ると思うんですが、迷った時に「いいや、行ってしまえ」となるのではなくて、疲れた状態で迷った時にもしっかりと判断が出来るような選手にならなければいけません。それを改善するためには、単純に体力を上げるというだけではなくて、日々のトレーニングが大事だと思います。

—— 体力を上げながら、精神的にも鍛えなければいけませんね

意識して良くない部分を周りに言うようになってきたので、言ったことに責任を持ちやり続けることしか、メンタルを鍛える方法はないのかなと思っています。まだ改善すべきところはあるので、発展途上の段階で、一気に変えることは出来ないと思うので、積み重ねが大事だと思います。

◆気分転換

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—— 社会人になった当初考えていたことよりも、5年目で6キャップというのは少ないと感じていると思いますが、その状況を突破するための勢いはどう作っていこうと思っていますか?

正直、地道にやっていくしかないのかなと思っています。

—— イメージしている選手像はありますか?

チームから信頼してもらえる選手ですね。

—— 自分の良いところはどこだと思いますか?

例えば、ラインブレイクなどは僕の武器だと思うので、そこはこれからも伸ばしていきたいと思っています。良いところを伸ばすために、以前よりも体のケアを大事にするようになりました。体が良い状態だと、前に出るプレーも強くなります。今は重いものを上げてパワーをつけるというよりも、今あるものをより良い状態で、より効率よく発揮することを考えています。

あとは体だけじゃなくて、心の状態も大切だと思うので、心と体を常に良い状態に持っていけるような準備を心掛けています。心の準備は、普段の生活の中でルーティーンを作ったり、オンとオフの切り替えをするようにしています。

—— 心の準備の仕方も変わったんですか?

以前はどこまで考えていたかは分かりませんが、今は試合に出られなかったとか、良いプレーが出来なかったことを引きずるのではなくて、自分の準備のことを考えたりしています。気分転換をして、変に悪いことを引きずり過ぎないようにしています。

—— もともとは引きずるタイプですか?

引きずるタイプだったと思います。まだまだネガティブな考え方になる時が多いんですが、悪かった時の改善策を見つけて、次からはその方法を取ればいいと、自分に言い聞かせるようにしています。

—— サンゴリアスの選手の中で最もポジティブな人とネガティブな人は?

ポジティブは竜太郎(竹本)で、ネガティブは太一さん(田原)だと思います(笑)。僕は若干ネガティブ寄りだと思います。

—— 普段のルーティーンはどのくらいあるんですか?

僕の場合は、試合の日の朝は絶対にうどんを食べるとか、試合の前日にはどういう物を食べるかとかを決めています。あと、僕が野球をやっていた時から続けているんですが、試合に入る直前には絶対に右足からラインを越えることをやっています。

—— 生活面で気をつけていることはありますか?

まだまだ出来ていないことが多いんですが、忘れ物をしないとか、ロッカーを綺麗にするとか、身の回りのことをきちんとやれるように意識しています。

◆徹し切れる選手に

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—— チームには世界的な外国人選手が多くいますが、その選手たちから学ぶことはありますか?

どの選手もクラブハウスにいる時はずっとラグビーの話をしているんですが、クラブハウスを離れるとほとんどラグビーの話をしないので、上手くオンとオフの切り替えをやっていると感じています。

スカルク(バーガー)と話をしていると面白い話が聞けますし、スカルクはスカルクで日本でプレーするために色々と考えています。世界的な選手でも悩んだり、チャレンジすることで苦労することもあると感じるので、それを考えると、僕の悩みはまだまだ小さいのかなって思います。

—— 自分が理想とする姿に向けて、完成度はどのくらいですか?

7合目くらいまで来ていると思います。

—— セカンドステージ終盤、そしてプレーオフトーナメントに向けて、大島選手の役割は?

僕の役割は、試合ではフィジカルの部分になると思います。これからフィジカルの強い相手との試合が続いていくので、僕の武器を最大限に活かしたいと思っています。これからは1戦1戦ミスが出来ない試合ばかりですし、ミスをした方が負ける試合になると思うので、しっかりとチームがやることを理解して、徹し切れる選手にならなければいけないと思います。

ミスをゼロにするのは不可能だと思うので、例えミスをしたとしても、その後にミスの部分を取り返すとか、しっかりとケアが出来るようにならなければいけないと思います。その部分がチームから求められる部分だと思っています。ミスをミスと感じさせないようにカバーが出来る選手になりたいですね。

—— 今シーズンのこれからの目標は?

負けるのは悔しいので、試合に出て優勝することです。もうそれだけです。

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(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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