2014年9月10日
#394 松島 幸太朗 『僕の持ち味はスピードとステップ』
◆相手に掴まれても前進できるように
—— 今シーズンの開幕戦でトップリーグデビューを果たしましたね
開幕戦では、チームとしてやりたいことがあまり出来ず、良いコミュニケーションが取れなかったことが、ああいう結果に繋がったと思います。あとは集中力の部分で、少し欠けていたかもしれません。
試合の序盤からノックオンが多く、気持ちの面でチーム全体のモチベーションが下がってしまい、それにつられて僕自身のモチベーションも下がってしまっていたと思います。
—— 開幕戦はフルバックでの出場でしたが、15番が自分のポジションだと思っていますか?
そうですね。フルバック以外に、ウイングやセンターも出来るので、フルバックにこだわり過ぎずにやっていければと思っています。一番やりたいポジションはフルバックですが、チームから他のポジションを求められれば、そのポジションでプレーします。
—— 昨シーズン途中での加入で、公式戦には出られませんでしたが、サテライトや練習試合に出場して感じることはありましたか?
公式戦には出られませんでしたが、サテライトや練習試合で、雰囲気は掴めていましたので、今シーズンの開幕戦に出る時もそんなに焦らずに試合に入れました。
—— サンゴリアスに入る前、シャークスアカデミーで試合に出ていた時とトップリーグとではレベルの差はありましたか?
コンタクトの部分では、やはり南アフリカの方が高いと思います。トップリーグではまだ1試合しか出場していないので、あまり分かりませんが、プレシーズンマッチで対戦した東芝は南アフリカに近い雰囲気がありました。
—— コンタクトが高い相手に対しても、自分の持ち味は出せそうだと思いますか?
僕の持ち味はスピードとステップなので、その部分をもっと出していきたいと思います。
—— ステップについては、重点的にトレーニングをしているんですか?
サントリーではスピードトレーニングをやっていますし、そのお陰で、徐々に進化していると思います。
—— 更に成長させたい部分はどこになりますか?
フィジカルの部分はもっとレベルアップさせて、相手に掴まれても前進出来るようにしていきたいです。
◆家族も日本にいる
—— サントリーでの公式戦デビューよりも日本代表としてのデビューの方が早かったですね。海外のチームと試合をしてみてどうでしたか?
日本代表での最初の頃は、あまり噛み合っていない部分もありましたが、徐々に経験値も上がってきて、自分のやりたいことが出来るようになっていき、結果を出せるようになってきたので、良い方向に進んでいると思います。
—— 昨シーズンの途中でサントリーに入る決断をした大きな要因は何でしたか?
日本代表としてやる上で、南アフリカだと距離的な問題もあるので、日本でプレーすることを選びました。その中でサントリーに入ることを決めたのは、選手のプロ意識が高くて、環境も良いことが大きかったですね。
—— 日本代表に選ばれる前は、南アフリカ代表に選ばれる可能性もあったわけですが、日本代表を選んだ理由は?
迷いましたが、多くの時間を日本で過ごしましたし、家族も日本にいるので、日本代表を選びました。
—— 兄弟はいますか?
いえ、一人っ子です。一人っ子なので、母親からは可愛がられてきたと思います(笑)。
—— 日本には何歳からいるんですか?
6歳くらいです。それまでは、日本と南アフリカを行ったり来たりしていました。
—— 南アフリカはどんな国ですか?
僕はケープタウンという海沿いの街に住んでいたので、景色が綺麗なところでした。ご飯も美味しかったので、住みやすいところでした。
—— 南アフリカの人たちの人柄はどうですか?
みんなフレンドリーで、親しみやすいですね。
—— 日本の印象は?
日本人の人柄は、初対面では少し構える傾向があると思いますが、一度話をするとすぐに親しくなれますね。
—— ラグビーのレベルだけを考えると南アフリカの方が高いと思いますが、それでも日本を選んだのはなぜですか?
今は日本でプレーしていますが、これから再度海外に挑戦する選択肢はあると思っています。
—— ワールドカップへの想いはありますか?
日本代表として選ばれたら、しっかりとプライドを持ってやっていきたいと思います。
◆ラインブレイクが面白い
—— 日本語は問題なく話せますか?
問題ありません。あとは英語が話せます。
—— 南アフリカでの言葉は?
英語かアフリカーンス語というオランダ系の言葉があります。アフリカーンス語は聞き取れるくらいですね。
—— 6歳からは日本にいたということで、どういう小学校、中学校生活を送っていましたか?
毎日、外で遊んでしました。あと、小学6年生まではサッカーをやっていました。点を取るポジションをやっていましたし、そのお陰で、ラグビーでもキックは得意です。
—— ラグビーを本格的にやり始めたのは?
12~13歳くらいです。その時期はちょうど南アフリカに行っていた時期で、その時からラグビーを始めて、それからはずっとラグビーをやっています。
—— ラグビーのどの辺が面白かったんですか?
やっぱりラインブレイクした時は面白かったですね。サッカーにない面白さでした。
—— サッカーはどこが面白かったんですか?
サッカーはゴールを決めた時ですね。今はトライをするよりもラインブレイクする方が面白いと感じています。
—— 当時から足は速かったんですか?
速い方でした。
—— サッカーやラグビー以外のスポーツ経験は?
他はないですね。遊びで少しやる程度でした。
—— 中学時代はどの辺りに住んでいたんですか?
東京の文京区に住んでいました。中学時代はクラブチームでラグビーをして、高校は桐蔭学園高校のラグビー部に入りました。
—— 高校時代で一番印象に残っていることは?
やっぱり花園ですね。3年間出場することが出来ました。そして3年の時に初めて優勝しました(東福岡高校と同点での両校優勝)。けれど、負けた時の方が印象に残っています。
—— 高校卒業後、シャークスアカデミーでは何年間過ごしたんですか?
2年間アカデミーで過ごして、1年間は契約をすることが出来たので、3年間は向こうにいました。1年目は怪我が多かったんですが、2年目では結果を出すことが出来て、順調だったと思います。シャークスの1つ下までは行ったんですが、3年目の終りの時に契約を更新するか、サントリーに入るかで、サントリーを選びました。
—— 2019年に開催される日本でのワールドカップは意識しますか?
それまでに何が起きるかは分かりませんが、日本でのワールドカップも目標として取り組んでいます。
◆チャンスメイクを多く出来るように
—— トップリーグで試合をしたことで、自分の中での変化はありますか?
どんどんラインブレイクをして、チャンスメイクを多く出来るようにしていきたいと感じました。その中で、自分で持っていける状況であれば、トライも狙いたいと思います。
—— トップリーグでの個人タイトル(トライ王、新人王等)は意識しますか?
あまり意識はしていませんが、自然と良いプレーが出来ていれば、獲得できると思っています。そのために、まずは良いプレーをして、結果を残したいと思います。
—— サントリーには、フーリー・デュプレア選手、スカルク・バーガー選手、ジャスティン・ダウニー選手と、南アフリカの選手が3人いますが、松島選手にとっても良い影響があるんじゃないですか?
凄く親しみやすいですね。ジャスティンとは、クラブハウスのロッカーが隣同士なんです。
—— 日本人選手で仲の良い選手は?
みんなとよく喋りますが、特に1~2年目の選手とはよく一緒にいることが多いですね。
—— いま松島選手は21歳ですが、ラグビーキャリアとしてはどの辺りまできたと感じていますか?
まだまだスタートしたばかりです。個人としてはスピードの部分で成長出来ていると思いますが、まだチームとしての経験が少ないので、噛み合っていない部分もあったりします。噛み合っていない部分については、シーズンを過ごしていけば改善出来る部分だと思っています。
—— スピードの部分については、理想とするところからはどのくらいの位置にいると思いますか?
あと20~30%は伸ばせると思います。誰も止められないくらいまでになりたいです。日本代表でサモアと対戦した時に、ラインブレイクも出来ましたし、それが自信になっています。
—— ラグビーから離れた時はどういうことをしていますか?
テレビや映画を見たり、ゲームなどをしてリラックスしています。
—— 最近はどんな映画を見ましたか?
『るろうに剣心』を見ました。
—— テレビでスポーツ番組を見ることもありますか?
テニスを見たりします。
—— 今シーズンの目標は?
どんどんチャンスメイクをしてチームを良い方向に向かわせることが出来れば良いと思っています。昨シーズン、タイトルを逃した時からチャレンジャーとして取り組んでいます。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]