2014年8月27日
#392 真壁 伸弥 『新しいことを取り入れ、率先して取り組む』
キャプテンとして3年目のシーズンを迎えた真壁伸弥選手。日本代表に定着し、身体も精神面も、さらに大きくなってきた雰囲気を醸し出しています。今年のスローガン「We want it back!」を率先する意気込みを訊いてみました。
◆ラインアウトをレベルアップすることが出来た
—— 日本代表から戻ってきたのはいつですか?
6月の終わりの頃です。
—— 調子はいかがでしょう?
サントリーのラグビーはスピードが速いですし、1人1人がレベルアップしているので、僕がまだフィットしきれていない感覚があります。チーム合流から1ヶ月くらい経ったので、徐々にトップリーグ仕様になってきています。
—— 日本代表での調子は?
悪くはなかったです。自分の役割もしっかりと分かっていましたし、コンディショニングの部分でも悪くはなかったですね。
—— 多くの代表チームと試合をしましたが、世界と対戦してみてどうでしたか?
体力は負けていなかったと思いますが、外国人選手と戦う為にはパワーであったり、スピード、テクニック、スキルをもっともっと伸ばさないといけないと感じました。
—— 外国人選手と対面していて、手強いと感じる部分はありましたか?
やっぱりセットピースの部分ですね。考え方であったり、キャッチなどの基本的なスキルなどでは、まだまだ国際レベルの選手には自分はなれていないのかなと感じました。その中でもレベルが上がった部分もあって、ラインアウトスキルはだいぶ成長したと思います。
—— それは個人としての成長ですか?
個人としてですね。僕の場合は、あれもこれも出来るというタイプではないので、まずはラインアウトスキルをしっかりと伸ばして、これまでは「真壁は跳べない」と思われていたところを、少しずつ仲間の意識も変えることが出来たんじゃないかと思っています。
太一さん(田原)から色々と教えてもらいましたし、代表ではキンさん(大野均/東芝)や鐘史さん(伊藤鐘史/神戸製鋼)のラインアウトをしっかりと見ながら勉強をして、レベルアップすることが出来たと思います。
ただ、セットピースの部分で、キックオフであったり、スクラムでは、まだまだ力不足の部分もあるので、そこを伸ばしていかなければいけないと思っています。ラインアウトジャンプスキルを伸ばせれば、キックオフスキルも伸ばせると思うので、共通する部分は繋げて伸ばしていければと思っています。
◆自分たちで考えるラグビー
—— チームに合流して、キャプテンとして感じるチームの雰囲気はどうですか?
今まで出られなかったメンバーが試合に出るようになって、チャレンジ精神を凄く感じています。試合に出ていなかったメンバーが試合に出たことで、「もっと試合に出たい」という気持ちになったことが伝わってきます。東芝とのプレシーズンマッチ2戦目でも、「勝ちたい」「試合に出たい」という気持ちが前面に出ていたので、チームが良い雰囲気になってきたと思います。
—— 誰が試合のメンバーに選ばれてもおかしくはないという感じでしょうか?
そうですね。今まで試合に出ていたメンバーも、若手も、誰が試合に出てもおかしくはないと思います。
—— 今シーズンはコーチングスタッフも変わりましたが、何か違いはありますか?
これまでは言われたことをやっていた部分もありましたが、今シーズンからは自分たちで考えてやるラグビーに変わったと思います。そのためには、コーチと選手とのコミュニケーションや選手間でのコミュニケーション、そして考える力が非常に重要になります。
—— 今シーズンのバイスキャプテンは?
小野晃征です。ラグビーのことを分かっていますし、外国人選手とのコミュニケーションも問題ありませんし、何よりもネガティブなキャプテンに対して(笑)、ポジティブな発言をしてくれるので、凄く信頼をしています。
—— キャプテンから見て、チームの課題はどこだと思いますか?
自分もそうですが、言われたことをやることに関しては強いチームだと思います。だから、自分たちの形がハマっている時は強いんですが、崩れた時の脆さがあるので、それを感じるから、アンディさん(フレンド/ヘッドコーチ)は選手自身で考えさせるようにしているんだと思います。その部分がもっともっと成長しないと、昨シーズンと変わらないと思います。自分たちの形が出来なかった時の打開策を見つけられるような臨機応変さが足りていないと思っています。
—— どうやってその部分を伸ばしてくんですか?
練習から取り組むしかないと思います。自分たちの形が出来なかった時に、どうすればいいのかを選手自身が考えないとダメだと思います。サントリーのラグビーは強いと思いますが、もし誰かが他のチームに移った時に、そのチームでレギュラーが獲れるかどうかですよね。
—— 良い打開策を出すためには、選手同士が同じ考えでないといけないと思いますが、それはどうやって生み出すのでしょう?
それを築き上げていくためには、日々の練習しかないと思います。そのために、特に日本代表メンバーが更に声を出して、フィットしていく必要があると思います。
◆1回1回の練習を大切に
—— 今シーズンのスローガンは「We want it back!」ですね
なくしたものを獲り返すということです。トロフィーもですが、プライドなどについても獲り戻すために、日々練習をしています。それがチームの今シーズンの目標です。
—— 個人としての目標は?
サントリーの選手らしく戦いたいと思っています。チームの根本である「PRIDE」「RESPECT」「NEVER GIVE UP」の部分で、昨シーズンは本当にそれが出来ていたのかと思うことがあります。それをしっかりと再確認して、1回1回の練習を大切にしていかなければいけないと思っています。
—— キャプテンとしては、その部分をチーム全体に浸透させる役目がありますよね
その通りですね。チームに浸透させるために、キャプテンがしっかりと取り組まなければいけないと思います。
—— キャプテン3年目となりますが、それぞれのシーズンで違いはありますか?
やっぱり違います。昨シーズンの反省点は、その前のシーズンのままというか、「これをしていればまた2冠を獲れるだろう」という考えがどこかにあったことだと思います。チームが進化するように、新しいことを取り入れ、率先して取り組まなければいけないと思います。チームが停滞してしまったら、そこからは落ちていくだけだと思うので、変化を恐れず今シーズンはキャプテンとしても進化出来るように、自分から動いて、チームを引っ張れるようにしたいですね。
—— キャプテンとして、アフターマッチファンクションで話をすることにも慣れましたか?
慣れましたね(笑)。ただ、ラグビーの根本の部分を、まだまだ理解できていないと思うので、晃征や先輩、後輩の意見をしっかりと組み取れるようにやっていこうと思っています。
まだ晃征とかに言われて初めて気づくこともあるので、自分から気づけるようにならなければいけないと思います。それはまだ周りに目を配れていない自分がいるからだと思うので、そこを無くしていきたいですね。
—— それが出来るようになるのはいつ頃だと思いますか?
すぐにでも変えたいですね(笑)。
(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]