SPIRITS of SUNGOLIATH

スピリッツオブサンゴリアス

ロングインタビュー

2014年7月23日

#387 中村 亮土 『完璧じゃないと満足出来ない - 2』

新人・中村亮土選手のスピリッツ初登場の後半です。サントリー、そして今シーズンへの想いを中心に訊きました。

◆負けず嫌い

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—— 勝つことに対して貪欲だと思いますが、小さいころから負けず嫌いですか?

何かと負けず嫌いでしたね。テレビゲームでも自分が勝つまでやっていました(笑)。

—— ラグビー選手は、身体のぶつかり合いが好きな選手が多いと思いますが、中村選手もコンタクトプレーが好きですか?

ディフェンスが好きと言いましたが、コンタクトが好きなわけじゃなくて、勝つことが好きなんです。他のスポーツでも勝ち負けはありますが、僕に合っているのはラグビーだと思います。

—— ラグビー以外のスポーツ歴は?

幼稚園から中学3年生まではサッカーをやっていました。父親はハンドボールをやっていたみたいなんですが、ラグビーが大好きで、子供にはラグビーをやらせたかったみたいです。ただ、鹿児島はあまりクラブチームなどがなく、練習も週に1回とかだったみたいで、まずはサッカーをやらせて体力をつけさせようとしたみたいです。それで高校からはラグビーに転向しました。

—— 高校でラグビーを始める時には何か言われたんですか?

父親から「ラグビーするか?」と言われました。そう言われて、最初は悩みましたが、家にラグビーボールがあったり、ルールを知らないのにラグビーの試合に連れてかれていたので、父親がラグビーをやらせたいのは気づいていました。

—— 実際にラグビーをやってみてどうでしたか?

凄く楽しかったです。サッカーをやっていたので、キックが楽しかったですし、タックルも楽しかったですね。サッカーをやっていた時も結構激しく相手にぶつかったりしていたので、もしかしたらコンタクトが好きだったのかもしれません。

—— 高校からラグビーを始めて、他の選手よりもキャリアは短いと思いますが、それでも大学1年生の時に試合のメンバーに選ばれなかったときは悔しかったんですね

メンバーに選ばれなかった時のやり切れない気持ちは凄くありました。同じチームメイトなのでエールを送りながらも、気持ちは凄く悔しかったですね。

—— 日本代表でも試合に出続けたいですか?

もちろんです。ここ3年間くらいは、日本代表で悔しい思いしかしていません。試合に出たら良いプレーをする自信はあるんです。ただ、試合に出なければ、そのプレーは発揮できないので、良くないサイクルに入ってしまいそうになるんです。

今でもあまり試合には出ていないので、まだ壁は越えていないんですが、もうやるしかないと思っています。日本代表に選んでもらっている以上は、どこかに期待をしてもらっていることだと思うので、そこを信じてやるしかないですね。

◆もっと情熱的に

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—— サントリーを選んだ理由は?

強いチームに行きたいと思っていましたし、それに仕事もちゃんとやりたかったんです。強いチームで試合に出ていれば、日本代表にも呼ばれる可能性が大きいと思います。あと、高校の時によくトップリーグの試合を見ていて、なぜかサントリーが好きだったんです。それまでは何の接点もなかったんですが、なぜか好きだったんですよ。

でも、好きな選手はトニー・ブラウン(元三洋電機/現パナソニックアドバイザー)でした(笑)。プレーを見ていて、気が強い感じがしましたし、その中でも計算されたゲームコントロールをしていて、情熱の中に冷静な部分があるところが好きでした。

—— 中村選手は情熱の中に冷静な部分がありますか?

少し良い子ぶりすぎていて、もっと情熱的になっても良いと思う部分があります。どちらかと言うと平和主義なので、スイッチの入れ方を勉強しているんです。

最近、格闘技の選手は凄いと考えるようになりました。知らない相手に対して、恨みなどもないのに殴り合いが出来るので、どうやってそういう精神状態に持っていくのかと思っています。そういうスイッチの入れ方は大事だと思います。

そこが僕に足りない部分で、明らかにレベルが上の相手であれば、必然的にスイッチが入るんですが、どういう状況でもスイッチが切り替えられるのは、これから学んでいかなければいけないところです。

—— 今までの中で、一番気持ちが入った試合はどの試合ですか?

最近で言えば、大学4年生の時の日本選手権で、トヨタ自動車との試合だと思います。本当に「勝つ」という気持ちで試合に臨みましたし、試合の映像を見たりするんですが、今でも悔しくなれる試合はなかなかありません。

◆家に戻ってきたような感覚

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—— 日本代表に参加していたので、チームの合流が遅くなりましたが、実際にサントリーに入ってみてどうですか?

最初は不安だったんですが、すぐに慣れました。まだ過ごしている時間は短いんですが、チームに戻ったら、家に戻ってきたような感覚がありました。周りの人たちが、僕に対してよそよそしくないですし、温かく迎えてくれたんですよ。

—— 人見知りはしますか?

人見知りするんですよ。だからリーダー的な存在ではないんです(笑)。普段は人見知りをするんですが、サントリーではすんなりとチームに溶け込めました。

—— サントリーで練習をしていて、チームの良さなどは感じますか?

帝京大学と似ているところもあって、新人だから雑用をやらなければいけないという感じではなくて、選手たちが率先して行っていますし、ロッカーでも選手から呼びかけて綺麗にしていますし、小さいことですが、その小さいことが徹底されていると感じます。

—— サントリーでも試合に出続けたいですよね

開幕戦から出たいですね。

—— サントリーに入ったことで期待していることは何ですか?

プレー面ではスキルアップです。アタッキングラグビーなので、ボールを持って判断することが多くなると思います。その回数が他のチームよりも多くなると思うので、その中でスキルアップが出来ると思っています。

—— フィットネスには自信はありますか?

80分間プレーする体力はあります。

—— これまで通り冷静にプレーは出来そうですか?

常に冷静でいたいですね。ミスをしたとしても焦ったような顔はしたくないですし、そういう顔をしたら負けたような気がします。普段からあまり顔に出さないようにしていますが、今は顔に出すくらいの勢いがあってもいいかなとは思っています。

どんな環境でも負けたくはないので、自分の色を出していきたいと思っています。サントリーでも日本代表でも関係なく、ぶれずに自分を出して取り組んでいこうと思います。

◆トライに繋がるプレー

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—— ラグビーを始めて8年目ですが、ラグビーの面白さはどこですか?

プレーで言うと、タックルが決まった時とか、仕掛けて抜けた時とか、自分のパスが通ってトライに繋がった時とかが面白いですね。コレだからラグビーが面白いって1つには絞れません。全てのプレーとか、相手との駆け引きが面白いと思います。

ラグビーは1つだけじゃなくて、色んなシーンで楽しめるんですよ。それに僕は結構下手なんです。だからみんなにカバーしてもらっている部分もありますし、1人になったら大した選手ではないと思います。それに、トライを獲るよりも、トライに繋がるプレーをしていた方が好きです。

他のスポーツとラグビーの違いは、身体がぶつかるという部分だと思います。身体でも負けたくないですし、身体で負けないために、気持ちでも負けたくないということだと思います。

—— 将来の目標はありますか?

大きな目標の中で一番近い目標としては、2015年のワールドカップに出場して、1分でも長く試合に出ることです。その目標を達成するために、サントリーで試合に出続けて、日本代表に選ばれたいと思います。そこを経験することで、2019年があると思います。2019年の日本で開催されるワールドカップでは、日本代表の中心選手として試合に出たいと思っています。

—— 怪我には強いですか?

怪我はあまりしません。身体は強い方だと思います。

—— ファンにはどういうところを見て欲しいですか?

抽象的に言うと、見ている人が何かを感じるようなプレーをしたいと思っています。例えば、試合を見ていて「あの人、めっちゃ気合い入っている」とか「あの人、めっちゃ走っている」とか、「あの人、凄い」とか、何かが伝わるようなプレーをしたいんです。

そのためには、全力を出すことが大事だと思います。下手でも、ミスをしても、全力でやっている人は、応援をされると思います。そういうプレーをしたいと思っているので、そこを見て欲しいと思います。逆に、そういうプレーが出来ていなければ、「もっとやれよ」と言って欲しいですね(笑)。

スピリッツ画像

(インタビュー&構成:針谷和昌/編集:五十嵐祐太郎)
[写真:長尾亜紀]

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